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法華狼の日記

2014-09-03

[][]「(池上彰の新聞ななめ読み)慰安婦報道検証」について

池上彰連載中止と掲載拒否のハードル - 法華狼の日記で掲載中止についてまとめたコラムが、紆余曲折をへて掲載された。朝日新聞側と池上彰側のコメントとあわせて、WEBでも確認できる。

お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル*1

一読して、注目された部分を注目された方向性でまとめた、予想以上に「中立」的な内容だと思った。デマを流している読売新聞や産経新聞と、人権問題と認識はしている毎日新聞の中間くらいか。

それらの報道機関と同じく、過去の自身をかえりみるという態度も見られない。とりあげているのは朝日検証のみで、他紙についてふれるどころか、むしろ比較するべきでないと主張している。そして従軍慰安婦問題を検証した全体ではなく、一部の訂正記事のみを問題にしている。


まず、吉田清治証言についてふれた部分から見ていこう。

 過ちがあったなら、訂正するのは当然。でも、遅きに失したのではないか。過ちがあれば、率直に認めること。でも、潔くないのではないか。過ちを訂正するなら、謝罪もするべきではないか。

 6日付紙面で、現代史家の秦郁彦氏は、朝日の検証について、「遅ればせながら過去の報道ぶりについて自己検証したことをまず、評価したい」と書いています。これは、その通りですね。

 しかし、今頃やっと、という思いが拭い切れません。今回の検証で「虚偽」と判断した人物の証言を掲載してから32年も経つからです。

朝日の社会部記者が「吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという」と検証記事は書きます。この時点で、証言の信憑(しんぴょう)性は大きく揺らいだはずです。朝日はなぜ証言が信用できなくなったと書かなかったのか。今回の特集では、その点の検証がありません。検証記事として不十分です。

コラム全体として、「訂正」が遅れたことと、「謝罪」がないことを問うている。「検証」も遅かったという認識のようだ。

しかし訂正すべきという「この時点」がいつのことか、よくわからない。1997年時点の特集で検証記事を公開したことは朝日検証でも書かれている。

「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断:朝日新聞デジタル

 東京社会部の記者(53)は産経新聞の記事の掲載直後、デスクの指示で吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという。

 97年3月31日の特集記事のための取材の際、吉田氏は東京社会部記者(57)との面会を拒否。虚偽ではないかという報道があることを電話で問うと「体験をそのまま書いた」と答えた。済州島でも取材し裏付けは得られなかったが、吉田氏の証言が虚偽だという確証がなかったため、「真偽は確認できない」と表記した。その後、朝日新聞は吉田氏を取り上げていない。

引用直後のことなのに、この特集を池上氏はふれていない。朝日検証が1997年の再確認と認識できていれば、おそらく違う表現になっただろう。

もともと朝日検証内でも、朝日新聞の対応が遅いと指摘するインタビューが掲載されていた。コラムで引用されている秦郁彦記事だけでなく、池上氏がふれていない吉見義明記事でも書かれている。

被害者に寄り添う報道必要 吉見義明さん(中央大教授):朝日新聞デジタル

証言が虚偽でもこの問題に与える影響はない。今回、関連する記事を訂正したことには賛成するが、問題の研究が進んだ1990年代の早い段階でできなかったかと残念に思う。

 慰安婦と女子挺身(ていしん)隊の混同についても同様に、もう少し早い対応が望まれた。

微妙な違いだが、こちらは1997年特集を前提にしても違和感ない表現だ。訂正が全体にあたえる影響についても書いている。おそらくは、同時代にとりくんだ研究者として訂正部分の比重を理解しているから、過ぎた批判をしなかったのだろう。

池上氏は朝日検証における訂正の比重を読み違えたまま批判しようとして、1997年特集を無視したコラムを書いてしまったのではないだろうか。

普段の朝日新聞ならば、自社批判であっても問題なく掲載するくらいの内容だとは思う。しかしこのコラムを掲載して誤解を広げることをよしとするならば、吉田証言を1992年にとりさげなかったこともよしとしなければなるまい。


従軍慰安婦と挺身隊の混同についても、同時代的な訂正と、訂正しなかったこと自体の検証を求めている。

「読者のみなさまへ」というコーナーでは「当時は、慰安婦問題に関する研究が進んでおらず、記者が参考にした資料などにも慰安婦と挺身隊の混同がみられたことから、誤用しました」と書いています。

 ところが、検証記事の本文では「朝日新聞は93年以降、両者を混同しないよう努めてきた」とも書いています。ということは、93年時点で混同に気づいていたということです。その時点で、どうして訂正を出さなかったのか。それについての検証もありません。

しかし、研究の変化にそって用語解説を変えた時、さかのぼって訂正を出す必要がどれほどあるか。

むろん努力目標として訂正を求めてもいい。しかし訂正しなかったことについて、わざわざ検証する必要があるのか。

はっきりいって、検証まで求めることは理解に苦しむ。


引用を前後するが、コラムでは他紙にふれたこと自体も批判していた。

証言に疑問が出たのは、22年前のことでした。92年、産経新聞が、吉田氏の証言に疑問を投げかける記事を掲載したからです。

 こういう記事が出たら、裏付け取材をするのが記者のイロハ。朝日の社会部記者が「吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという」と検証記事は書きます。

 今回の検証特集では、他紙の報道についても触れ、吉田氏の証言は他紙も報じた、挺身隊と慰安婦の混同は他紙もしていたと書いています。問題は朝日の報道の過ちです。他社を引き合いに出すのは潔くありません。

まず微妙な矛盾がある。「記者のイロハ」という努力目標をもちだしながら、具体的な他紙報道については「他社を引き合いに出すのは潔くありません」と批判している。その努力目標が適用されるべき報道の比重だったか、池上氏が検証しているようには読めない。

そもそも朝日検証は自紙の過ちを訂正するためのものではないだろうし、他紙報道を持ちだしたのも相対化だけが目的ではないだろう。当該記事を読んでも、訂正や謝罪は要求していない。あくまで現時点の認識をたずねていただけだ。

他紙の報道は:朝日新聞デジタル

 朝日新聞社は、ここで取り上げた記事について各社の現時点での認識を尋ねました。毎日新聞社と産経新聞社からは次の回答がありましたが、読売新聞社は回答しませんでした。

 〈毎日新聞社社長室広報担当の話〉 いずれの記事も、その時点で起きた出来事を報道したものであり、現時点でコメントすることはありません。

 〈産経新聞社広報部の話〉 当該記事では、吉田清治氏の証言と行動を紹介するとともに、その信ぴょう性に疑問の声があることを指摘しました。その後、取材や学者の調査を受け、証言は「虚構」「作り話」であると報じています。

同時代における歴史研究の状況を示し、どのくらい証言や学説が信じられていたかを調べる。これは当時に報じた判断を「検証」するならば必要なことだ。

また、後追い報道で新たな情報をつたえることが事実上の訂正になるという慣例も明らかにされた。まさに「どうして訂正を出さなかったのか。それについての検証」となっているわけだ。

他紙報道にふれただけで批判したことから、このコラムの要求が「検証」でないことは明らかだ。


最後に、コラムで従軍慰安婦問題そのものについてふれた部分を引用しよう。

 朝日の記事が間違っていたからといって、「慰安婦」と呼ばれた女性たちがいたことは事実です。これを今後も報道することは大事なことです。

 でも、新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことではないでしょうか。

短いため明らかな事実関係の誤りこそないが、朝日検証で明らかにされた間違いの範囲と、報道するべきという事実がかけはなれている。

強制連行されたりして国家に人権侵害された人々がいること、その人権侵害や国家責任を否認する動きがあること、そうした表現を抜きにして、ただ「いたこと」の報道を求めるだけ。なるほど、この表現ならば反発されることは少ないだろう。

しかし「日本の植民地だった朝鮮で戦争中、慰安婦にするため女性を暴力を使って無理やり連れ出したと著書や集会で証言した男性」が「いたこと」も事実だ。今後も報道することがなぜ大事なのか、このコラムからはわからない。それを明記することを恐れているかのように。

「潔く」を求めているコラムに潔さがないこと。これはコラムの妥当性や掲載拒否などより、はるかに深刻な問題と思える。

*1:以降、「コラム」と呼称を略し、直前にリンク元を示さない引用枠内はこのコラムから引用する。

Arturo_UiArturo_Ui 2014/09/04 08:52 当該記事にのブックマークにもコメントしたのですが、
>92年、産経新聞が、吉田氏の証言に疑問を投げかける記事を掲載したからです。

とあっても、その「疑問」が(現時点から見ても)妥当な内容だったか否かが書いてくれていない、というのは端的に言って片手落ちでしょう。産経は縮刷版を出してないから、一般読者は検討のしようがないわけで。

推測ですが、朝日新聞としては「事実誤認と思われる箇所があるから再確認を願いたい」ぐらいの言い方でリテイクを要請する、ぐらいのことはやっているはずです。また、そうしたやり取りを踏まえず、いきなり「掲載拒否」というのは社会人レベルの常識からしてありえない。となると、池上氏側にも不誠実ないし不適切な対応があったのでは?という感を拭えません。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/09/04 08:56 id:finaldaysさんへ
> "ただ「いたこと」だけの報道を求める。なるほど、この表現ならば反発されることは少ないだろう"だいたい同意だけど、「だけを求めてる」とまでは読めないとおもう。 2014/09/04

指摘すみません、より正確に「の報道を求めるだけ」へ訂正しました。
池上氏自身の認識が表明されないこと、そのこと自体の不健全さを批判したかったわけです。池上氏の内心で「いたこと」以上の報道を求めている可能性もたしかにありますし、その上でその内心が表明されないことの問題は残ります。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/09/04 09:07 >とあっても、その「疑問」が(現時点から見ても)妥当な内容だったか否かが書いてくれていない、というのは端的に言って片手落ちでしょう。

まあ縮刷版がなくても秦郁彦著作等で当時の記事内容は伝わっているんですけど、ぶっちゃけ1992年に村の老人5人から聞きとって、そのような話を聞いたことがないという証言をとったくらいなんですよね。あとは1989年の新聞記事を見つけたくらい。
聞いたことがないという証言だけで、はたして裏づけ取材が必要なものとして考えるべきかどうか、悩むところではありますね。よくいわれるように、なかったという証言だけでは観測範囲外でありえたことを否定できないわけですから。

>いきなり「掲載拒否」というのは社会人レベルの常識からしてありえない。

朝日新聞が社会人レベルの常識を守るかというと、それはそれで疑問ですけどね(苦笑)。

senbeesansenbeesan 2014/09/04 10:07 池上氏のコラムは、誰でも書けるようなことを書いているだけという印象でした。
そもそも、朝日も含めて各紙の報道を比較して論評するのがテーマのコラムなのに、
「問題は朝日の報道の過ちです。他社を引き合いに出すのは潔くありません」の一言で切り捨てたらテーマの放棄でしょう。
私が担当編集者だったら、テーマに沿った内容を書いてくださいと言って書きなおさせるでしょうね。
まあ外部ライターによる自社への批判を突き返すのは、それはそれで勇気がいることですが。

あなたは日本の良心ですあなたは日本の良心です 2014/09/04 13:10 このような記事を書いていただき、とてもありがとうございます。
朝日新聞が1つの記事を直しただけで、すべてが嘘だと言う日本人があまりにも多いです。日本人は歴史を学ばないです。韓国の誠実な研究者たちは、20万人の幼い少女が日本人により強制連行されたことを、ただしく証明しています。
この歴史を見ない日本人が多い中、あなたのような良心的な日本人がいて本当にうれしく思います。

初見初見 2014/09/04 14:02 >しかし訂正すべきという「この時点」がいつのことか、よくわからない。

コラム中の「この時点」の前の文、

>朝日の社会部記者が「吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという」と検証記事は書きます。

これは朝日検証中の、

>東京社会部の記者(53)は産経新聞の記事の掲載直後、デスクの指示で吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという。

この部分のことを指しているように思えます、つまり92年4月30日の産経記事の掲載「直後」。
池上氏が97年特集を無視しようとしているかはわかりませんが、ここで彼が言いたいのは、
なぜ信用性が揺らいだ時点(92年)で検証しなかったのかが、
朝日検証では説明されていない、ということではないでしょうか。
新聞社として、記事の検証体制が不十分ではないですか?という意味です。

eiei 2014/09/04 14:38 「「潔く」を求めているコラムに潔さがないこと」が「掲載拒否」より深刻って結びはいくらなんでも無理がありません?
表現の自由を錦の御旗に活動される大新聞社がこの程度のコラムを「掲載拒否」した事実の方が遥かに深刻な問題だと思いますよ。
なぜ掲載拒否したのか、ぜひ検証記事を待ちたいところです。

>その人権侵害や国家責任を否認する動きがあること
日韓基本条約…

rawan60rawan60 2014/09/04 15:40 問題の本質をほったらかしにして、「朝日はいかに悪かったか」の主張の正当性をだけを言い募るバッシング合戦に池上も加担しちゃっていますね。

「問題は朝日の報道の過ちです。」ですからねぇ、「お断り」のコメントでもそんな感じ。それ以外には関心を示していない。

まあ、この大衆を喜ばせる「浅さ」が池上の人気の元だと私は思っていますが。

Arturo_UiArturo_Ui 2014/09/04 16:51 >初見 さん
>なぜ信用性が揺らいだ時点(92年)で検証しなかったのかが、
>朝日検証では説明されていない

「裏付け取材」と簡単に言うけど、相応の時間と労力はかかることを池上氏がご存知ないはずがないんですがね。

さらにこの件を巡っては、裏付け取材を進めていく過程で「吉田証言」以上に有力かつ信憑性も高い資料や証言が続々と見つかり、結果的に「従軍慰安婦」が国策として進められたこと、現場での待遇は非常に劣悪であったことetc.が判明したわけです。
本来ならこの時点で「吉田証言」の価値など無に帰したと見なしてもいいところ、朝日は97年に「吉田証言の真偽は確認できなかった」と紙面で明らかにしたわけですから、むしろ誠実な対応と言っても良いのでは?と私は思いますが。
そうした過程を知らずに、あるいは無視して件のコラムが書かれたのであれば、当然ながら朝日新聞としては事実誤認を指摘したはずで、こういう事態に至ったからには是非とも経緯を明らかにして頂きたいものです。付言すれば、あくまで一般論としてですが、「〆切り間際でよほど時間がない」などの事情でもない限り、「問答無用で掲載拒否」なんてことはやらないものです。

上毛三山上毛三山 2014/09/04 20:30  webではなく紙媒体の方ですが、件のコラムの上に内閣改造に関するオピニオンがありまして、金田一秀穂氏、守和彦氏(北海道中小企業家同友会代表理事)と並んで小林よしのり氏のコメントが・・・
 偶然なのでしょうが、「慰安婦」問題に関して言えばなんとも複雑な気持ちになりました。

 それから、コラム名「池上彰の新聞ななめ読み」というのが、ある意味中身を象徴していますね。

Ougon_mekkiOugon_mekki 2014/09/04 21:23 言ってることはそりゃその通りですね、と言う事しか言っていないと思いました。
この程度の文だったら別に掲載拒否なんかしなくてもハイハイと流しても別にいい気もするんですが、何が気に入らなかったんでしょう?
当たり障りのない分だと思いました。
でもあれだけ叩いておいて「慰安婦はいました」と言っちゃうんですね。
流石にここから慰安婦全否定やらかす根性は無いんですね。

AiAi 2014/09/04 21:29 池上彰のコラムはずいぶん内容の薄いものでしたが、「「慰安婦」と呼ばれた女性たちがいた」という表現は、おっしゃる通り悪い意味で中立的だと感じました。
あの表現からは、慰安婦とされた人たちが戦争犯罪の犠牲者だったことも、現在行われている愚劣な中傷の被害者であることも、全く伝わってきません。
そもそも伝えるつもりもないし、おそらくまともに理解してもいないのでしょう。

読んでいて不愉快なコラムでしたが、しかし掲載を拒否する合理的な理由があるとは思えないのも確かですね。
読売や産経が会社を挙げて捏造を撒き散らしている状況で、朝日もこんな間抜けな対応をしてしまうのでは(まあ、朝日がこの手の問題で間抜けな対応をするのは今に始まったことではないですが……)、もうため息しか出ません。

AiAi 2014/09/04 22:05 ただまあ、複数紙の報道を比較するというのがコラムの本来の趣旨であることを考えると、掲載する合理的な理由もちょっと欠けている感じではありますね。
池上彰によれば「何を書いてもいい」と言われていたそうですが、さすがにコラムのテーマを逸脱しても問題ないということではないでしょう。
もちろんその場合でも、(senbeesanさんのコメントにもあるように)掲載拒否ではなくテーマに沿った形での書き直しを求めるほうがよほど妥当ですが。

はぬるはぬる 2014/09/04 22:15 あんなコラムだったら載せないほうが良かったのでは?
と思ってしまいました。
池上氏の「何も言っていない」けど「なんか言っている」感がありありと出ていたと思います。
朝日の中途半端な態度はどうかと思いますが、日本軍性奴隷制度の問題の本質は朝日が謝ったかどうかではないはずです。
けれど、朝日の検証記事以降、本質が置いてけぼりになっていると感じています。
そこには朝日自身の中途半端さにも責任がありますが、毎日や池上氏のような態度にも問題があります。(産経・読売などは論外です)
現状追認や中立と言う態度が現状をどのように追い込んでいくかが良くわかるサンプルだと思います。

はぬるはぬる 2014/09/04 22:18 日本語がおかしいので訂正します。

そこには朝日自身の中途半端さにも責任がありますが、毎日や池上氏のような態度にも問題があります。
         ↓
そこには朝日自身の中途半端さにも責任がありますが、毎日や池上氏のような態度にも問題があると思います。

連投すいません。

Arturo_UiArturo_Ui 2014/09/04 23:19 >はぬる さん
>そこには朝日自身の中途半端さにも責任がありますが、毎日や池上氏のような態度にも問題があると思います。

「従軍慰安婦」は歴然と存在していた、ということを“当然の前提”として語り得ない状況そのものに問題があるのでしょう。本来、状況に抗するのがメディアの役割なんですけどね。
まあ読売や産経の場合は、中曽根康弘が自認していたことを認めるに今更何をためらうことがあるのか、とは思いますが。

rawan60rawan60 2014/09/04 23:47 朝日)掲載拒否→池上)連載中止要請→朝日)掲載決定→池上)掲載許可、今後は白紙 ですから、掲載していなかった場合、そのまま朝日の批判を上乗せして他紙掲載も視野にあったようにも思えますね。中身のない朝日の訂正、謝罪だけを言い募るスカスカの内容なら、事実上、産経、読売を後押しする形で十分通用するものですから。

TeruTeru 2014/09/05 01:34 「フリー」ジャーナリストとして「自由」に表現したいというだけ、
代わりに朝日とのビジネスは破棄というならば、
この時期に事件性を嗅ぎ取って集まってくる週刊誌や他誌らに
「これが、丸ごと掲載は出来ない、と言われた原稿です」と写しを配れば、
朝日新聞社自身のトップクラス判断を待たずとも、急速な拡散が望めたわけで。

その代わりに、朝日紙面を借りて、
「読者の皆様」込みで、そのまま「掲載することが適切」と書かせ、
当人の追加コメントとして「朝日新聞が判断の誤りを認め、
改めて掲載したいとの申し入れを受けました。過ちを認め、謝罪する。
このコラムで私が主張したことを、今回に関しては朝日新聞が実行された」としている辺り、
ずいぶん国内世論の不満感情・支配欲・秩序願望を「活用」して、
一旦ボツ扱い先行公言で「フリー」にしたはずの原稿を高く扱わせたな、と。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/09/07 23:19 senbeesanさんへ
>「問題は朝日の報道の過ちです。他社を引き合いに出すのは潔くありません」の一言で切り捨てたらテーマの放棄でしょう。

そもそも俎上の朝日検証からして、過ちではなく過去の従軍慰安婦報道全体の検証ですからね。
だいたい他社を批判したいだけなら、朝日新聞がおかしていない過ちを延々とくりかえしている新聞が他にあるわけで、自社が報じた範囲にとどめているだけで朝日検証は充分に「潔い」ですよ。
まあ、朝日だけを批判したいにせよ“問題にされているのは朝日の報道の過ちです”のような表現にするべきでしたね。これならば無責任な表現ですが嘘ではありません。


あなたは日本の良心ですさんへ
>朝日新聞が1つの記事を直しただけで、すべてが嘘だと言う日本人があまりにも多いです。

他の新聞が直していないのに、不思議な話ですよね。

>韓国の誠実な研究者たちは、20万人の幼い少女が日本人により強制連行されたことを、ただしく証明しています。

注意しておきますが、その20万人はあくまで推計数です。
それに私が認識しているところでは、その推計数には募集時に成人していた女性もふくまれます。「幼い少女」が強制連行されたことは明らかな問題のひとつですが、幼い少女でさえなければ問題ではないというわけではありません。
また、私は日本の歴史学者の見解に一定の信用をおいています。その吉見義明教授は下限として5万人くらいを推計しています。もちろん、根拠となる資料を残していないこと自体が日本側の明らかな問題です。


初見さんへ
>池上氏が97年特集を無視しようとしているかはわかりません

最初に引用したように、訂正について「でも、遅きに失したのではないか」と書いています。
これが1997年の特集を無視したものだと思いませんか?

>なぜ信用性が揺らいだ時点(92年)で検証しなかったのか

ええ、「自己検証したことをまず、評価したい」という秦インタビュー記事に対して、「今頃やっと、という思いが拭い切れません」と表現している時点で、池上氏は2014年が初検証だと考えているように読めます。
ところが池上氏も引用している「吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという」は「検証」にあたるでしょう。ここで池上氏がたずねているのは「朝日はなぜ証言が信用できなくなったと書かなかったのか」。つまり検証の結果としての訂正記事を出さなかったということではないでしょうか。

>新聞社として、記事の検証体制が不十分ではないですか?という意味です。

このコラム内容をそのまま載せた時点で、今も検証体制は不充分のようです。
メディアやインターネットにはびこる「ななめ読み」を追認しただけで、朝日検証との細かい齟齬もある。本来なら内容をもっと詰めるべきところでしょうし、後の報道を見るかぎりでは朝日側はそうしたかったように感じます。


eiさんへ
>「「潔く」を求めているコラムに潔さがないこと」が「掲載拒否」より深刻って結びはいくらなんでも無理がありません?

さまざまな媒体で発表することの可能な原稿が一新聞社に掲載されないことが、複数新聞社が協力している国家的な人権侵害より深刻だという考えですか?
まあ、この件についてなぜか朝日新聞だけが信頼できるかのような主張をする人々が多いので、意外な考えではありませんが、同意することもできません。

>表現の自由を錦の御旗に活動される大新聞社がこの程度のコラムを「掲載拒否」した事実の方が遥かに深刻な問題だと思いますよ。

まず、表現の自由はどのような文章であろうとも掲載してもらえる権利ではありません。
報道機関は広範な意見を掲載すべきという思想もありますが、掲載責任を負うからこそ編集権を行使することは必要です。そうでないと、吉田清治証言を紙面に掲載した責任も問えなくなりますが、それでよろしいのですか? 正直、朝日新聞が吉田証言を当初に報じた時より、よほど今回のコラムに明らかな間違いがふくまれていると思いますよ。
ただ後述するように、フリーコラムニストという基盤の弱さは考慮するべきだし、それを守ろうとした記者個々人の仕事人としての行動は立派だなとは思いますね。

>日韓基本条約…

日韓基本条約が従軍慰安婦の人権を侵害して成立したことは、日本政府と当時の韓国政府の責任でしょうが、そのことでしょうか? 私自身が日本国民のひとりであること、軍事独裁国家との共謀で成立させた日本政府を批判する立場です。
それともeiさんは日韓基本条約が人権を侵害してもいい約束だとでも勘違いしているのでしょうか?


rawan60さんへ
>「朝日はいかに悪かったか」の主張の正当性をだけを言い募るバッシング合戦に池上も加担しちゃっていますね。

ちゃんとしたバッシングならば私も参加できるんですけどね。実際、検証関連エントリで何度も朝日批判しているわけですし。
それよりもコラム内容の無内容さが「浅い」というか、おっしゃるように「スカスカ」。ただ「検証」「訂正」「謝罪」を求めているだけで、それがなぜ必要なのかをきちんと説明できていない。それどころか、朝日検証全体を読めば理由に見当がつきそうなことまで「検証」を求めていて、本当にななめ読みしただけではないかと感じてしまうという。


Arturo_Uiさんへ
>「裏付け取材」と簡単に言うけど、相応の時間と労力はかかることを池上氏がご存知ないはずがないんですがね。

あと、証言を採用した記事の重みですね。責任者ですらない一人の発言という時点で、あくまでその立場の個人の証言ととらえるのが普通でしょう。現実には政治家のデマ発言が批判されずに記事になったりしている。池上氏自身も2007年閣議決定を批判せず報じていました。
それに新聞は速報性が重視され、報じた時点で真実と思えるだけの条件が整っていれば、結果的に誤報でも裁判で許されたりする。
さすがに朝日新聞が偽証を強要したとかすれば大問題ですけど、もともと講演活動したり書籍を出していた人物ですから、独自の捏造や嘘ではありません。

>裏付け取材を進めていく過程で「吉田証言」以上に有力かつ信憑性も高い資料や証言が続々と見つかり

あと、それらの証言によって吉田証言そのままの状況が一般的ではなかったこともわかりましたしね。その時点で吉田証言の全体に対する重みも減じたといっていいし、軍令による強制募集が一般的だったという認識をあらためさせる報道になったといえるでしょう。
逆に、今も多数の資料や証言が公開されていなければ、吉田証言は重視されていると思います。証言に際して時間や場所を変えていることがわかってなお、当時を生きた人間の主張として重視せざるをえない局面はある。


上毛三山さんへ
小林よしのり登場はWEB記事でも見かけましたが、紙面の順番はそうなっていましたか……朝日新聞の「不偏不党」ぶりがよくわかりますね。
そちらにおもねっても左翼視されていることは変わらないので、中間を右傾化する結果になるだけでしょう。


Ougon_mekkiさんへ
>言ってることはそりゃその通りですね、と言う事しか言っていないと思いました。

コラム単体ならそう思うかもしれません。この要求水準が一般になるのであれば、下記コピペ改変のように国家や報道の問題を追及する側にとって歓迎できることとなります。
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20140906/1410016382

>流石にここから慰安婦全否定やらかす根性は無いんですね。

いえ、さすがに慰安婦の存在そのものを否定する意見は、産経新聞やSAPIOやWILLでも見たことがありません。インターネットでも、ごくわずかでしょう。
そこを評価するのは、さすがに池上氏を馬鹿にしすぎだと思います。


Aiさんへ
>池上彰によれば「何を書いてもいい」と言われていたそうですが、さすがにコラムのテーマを逸脱しても問題ないということではないでしょう。

過去コラムでは自身に対する誤報をとりあげたりと、もともとフリーダムにやっていたようではあります。
http://www.asahi.com/articles/DA3S10953929.html
こちらのコラムでは産経と朝日に誤報されたと訴えています。なぜ過去に朝日に掲載された自身のコラムについては「他紙の報道についても触れ」「他社を引き合いに出すのは潔くありません」と自己批判しないのか。池上氏による検証が必要ですね(苦笑)。


はぬるさんへ
>池上氏の「何も言っていない」けど「なんか言っている」感がありありと出ていたと思います。

「ソフトみのもんた」といった感じですね。
情報量がそれほどないことは同じ。ただし語調の柔らかさと、拒絶感の出ない方向性を選択することで、視聴者や読者に受け入れてもらうという。

>けれど、朝日の検証記事以降、本質が置いてけぼりになっていると感じています。

その意味で、「問題は朝日の報道の過ちです」と制限しているところが、はっきり不見識といえますね。
たとえば「しかし朝日の報道の過ちは残ります」といった表現にすれば、ずっと印象は変わっていたでしょう。私が掲載担当者なら、そう表現を直すよう相談したと思います。


Teruさんへ
>「フリー」ジャーナリストとして「自由」に表現したいというだけ、

他方、フリージャーナリストという立場の弱さも理解はするべきだと思います。
できるだけ仕事を減らしたくない、そして自身を高く売りこみたいという行動は、主収入だろうし批判したくないところ。

通りすがり通りすがり 2014/09/28 21:43 そういえば池上氏は最近週刊文春で現在の朝日批判について批判しているみたいですね。
具体的な報道社名を出さずの批判ですけれども。
こういうところが(「バランス感覚」と言うべきかはさておき)一般層に受けているのだろうなあ、とも思います。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/10/30 13:36 連載コラムで何度かとりあげていたのを確認できました。
ただ従軍慰安婦問題における朝日新聞以上の間違いも、別件で他紙もおこなっているという表現であって、同じ従軍慰安婦問題において他紙が大きく間違っているという指摘は見つけられませんでした。池上氏自身の、従軍慰安婦問題についての見識には、残念ながら疑問が残る内容でした。

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