法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』#00 プロローグ

2006年にスタジオディーン制作で2クールTVアニメ化され、同スタッフで別ルートが『Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』として映画化されたゲームを、ufotable制作で2度目のTVアニメ化。
ルートは映画版と同じらしく、2006年当時でも良いとはいえなかったビジュアル面での向上をねらったアニメ化なのだろう。


初回はプロローグとして、ufotableがTVアニメ化した前日譚『Fate/Zero』と同じ1時間枠。正直にいえば見ていて飽きがきた。
ひとりの少女を視点人物とすることで、漫然と人物紹介しただけの『Fate/Zero』初回よりは一本筋がとおっている。しかし、その分わかりやすすぎて画面に釘づけになる動機がない。少女の孤独さを印象づけるためか前半は動きのない場面がつづくが、ならば構図や音響で緊張感を出してほしい。あまった時間を埋めるためか、少女がひとりごちる場面も不自然に多い。せっかくビジュアルに力を入れようとしているのに、台詞で説明するのではアニメの意味がない。
明確なアクションが終盤にしかないのが困る。殺陣そのものは過去シリーズと違って、好戦的な戦士同士が正面からぶつかりあうことで、素直にアニメとして魅力的だっただけに残念だった。アフターエフェクトで色を綺麗に見せる撮影手法は抑え、アクション時の細かな動作を明確に見せていることも『Fate/Zero』より好みなのだが。
おそらく序盤の学校シーンは削れるし、他に時系列を前後させたり回想を活用すれば、同じ展開でも30分枠におさまったのではないか。

『神撃のバハムート GENESIS』episode01 Encounter Wytearp.

欧風ファンタジー世界を舞台としたモバイルゲームの、かなり力が入ったTVアニメ化作品。
TVアニメ「神撃のバハムート GENESIS」公式サイト
さとうけいいち監督に恩田尚之キャラクターデザインというスタッフ陣営に、制作はマッドハウスの取締役社長が設立したMAPPA
演出も作画も人数が多めだが、少なくとも初回は画面の統一感もとれていて、TVアニメとしては破格の映像。頭身の高いキャラクターによる芝居作画はもちろん、華々しいアクションから3DCGを活用したモンスター戦まで、バラエティある表現が楽しめた。
何より、しっかり立体的に作画できているから、細かな影やグラデーション撮影にたよらずとも、画面が間延びしない。


全体のデザインや音響は大作風味で、きちんと設定で異世界を構築しているのに、人物や物語を重々しくしすぎていないのも良い。
ユウキ・コスモのようなオレンジアフロと、ダンディのようなリーゼントの、別方向にふざけた青年がかけあうことで、互いの立場や性格を説明してみせる。そうして起こる前半の大騒動は、後半の舞台の説明としても意味をなす。
やがて一方の青年は不思議な女性と出会い、相手の勘違いから不思議な旅に巻きこまれてしまう。当面の具体的な目標や利害関係はわかりやすく、しかし女性の真意は謎のままということで適度に興味を引く。


初回だけでいうなら、ほぼ完璧だった。今後に息切れしないことを祈るのみだが、あまりに映像がすごすぎて、さすがにTVアニメでは継続が難しそうに感じる。同じ監督作品の『TIGER & BUNNY』が、やはり初回はよくできていても全体をつらぬく物語が安くて、結末が今ひとつだったことも不安をさそう。
ここは予想を裏切り期待を超えてほしいところだが。