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法華狼の日記

2014-11-01 上げたのは1日後

[][][][][]専門的な書籍から引いた用語解説が後年に不正確とされた時、大学をやめる必要があると主張する人々

従軍慰安婦問題報道に対する脅迫に、北星学園大学が屈したらしい。NHK等が報じている。

エラー|NHK NEWS WEB

関係者によりますと、北星学園大学の田村信一学長は、29日の学内の会議で来年度は元記者を雇用しない考えを伝え、理由として、警備などを念頭に問題の対応に当たる人手や財政面の負担が大きいことや、来年の入学試験が無事に行えるかどうかの不安を挙げたということです。

お探しのコンテンツは見つかりませんでした:朝日新聞デジタル

 慰安婦問題の記事を書いた朝日新聞元記者の植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に、植村氏の退職を求める脅迫文が届くなどした問題で、田村信一学長は31日、植村氏との来年度の契約について、更新しないことを検討していると表明した。

 その上で「今期については植村氏との契約を守っており、来期の更新がなくても外圧に屈したことにはならない」と説明した。一方で、「今でも抗議電話はある。我々も小さな大学であり、学生確保も安泰ではない」と語った。


脅迫の理由とされた植村隆記事だが、もちろん朝日検証内で経緯が解説され、捏造などないと結論づけられている。

「元慰安婦 初の証言」 記事に事実のねじ曲げない:朝日新聞デジタル

植村氏の記事には、意図的な事実のねじ曲げなどはありません。91年8月の記事の取材のきっかけは、当時のソウル支局長からの情報提供でした。義母との縁戚関係を利用して特別な情報を得たことはありませんでした。

植村記事は、とりけしのあった吉田清治証言とは関係なく、金学順証言をいちはやく報じたものだ。

金学順証言そのものには現在でも一定の信用がおかれているし、植村記事に限っても他紙と内容に大差なく、事実関係の大きな間違いも見られない*1

ちなみに、義母が補償金詐欺に加担していたという容疑は、韓国の高裁で無罪が確定した。報道によると、かけられていた容疑と逆の主張をしていたようで、むしろ個人としては詐欺にならないよう動いていたらしい*2


植村記事で「誤用」と考えられているのは下記の記述のみ。従軍慰安婦とは何かを説明する、いわば用語解説にあたる部分だ。

 また、8月11日の記事で「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』」などと記したことをめぐり、キーセンとして人身売買されたことを意図的に記事では触れず、挺身隊として国家によって強制連行されたかのように書いた――との批判がある。

 慰安婦と挺身隊との混同については、前項でも触れたように、韓国でも当時慰安婦と挺身隊の混同がみられ、植村氏も誤用した。

読んでのとおり、この「誤用」は記事の妥当性とほとんど関係がない。もちろん、どのような制度で連行されたかは重要であるし、挺身隊と慰安婦の同一視がそれぞれの被害者に新しい被害を生みかねない問題もあるが、植村記事はそこまでふみこんだ内容ではなかった。

戦場に連行された時に女子挺身隊という名称が使われなかったとしても、戦場に連行されて軍人への売春をしいられたと認められるかぎり、植村記事で指摘される日本軍の問題性が大きく変わることはない。

そして朝日検証から「前項」を見ればわかるように、この混同は当時の事典にも見られたものだ。

「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視:朝日新聞デジタル

 記者が参考文献の一つとした「朝鮮を知る事典」(平凡社、86年初版)は、慰安婦について「43年からは〈女子挺身隊〉の名の下に、約20万の朝鮮人女性が労務動員され、そのうち若くて未婚の5万〜7万人が慰安婦にされた」と説明した。執筆者で朝鮮近代史研究者の宮田節子さんは「慰安婦の研究者は見あたらず、既刊の文献を引用するほかなかった」と振り返る。

もちろん事典すら混同していたわけだから、他紙の報道でも同じような用語解説がされていた。

他紙の報道は:朝日新聞デジタル

読売新聞は、91年8月26日朝刊の記事「『従軍慰安婦』に光を 日韓両国で運動活発に 資料集作成やシンポも」の中で、「太平洋戦争中、朝鮮人女性が『女子挺身隊』の名でかり出され、従軍慰安婦として前線に送られた。その数は二十万人ともいわれているが、実態は明らかではない」と記載している。

 また、92年1月16日朝刊に掲載された宮沢喜一首相の訪韓を伝える記事でも、「戦時中、『挺身隊』の名目で強制連行された朝鮮人の従軍慰安婦は十万とも二十万人ともいわれる」と記述するなど、混同がみられた。

 毎日新聞も、元慰安婦の金学順さんを取り上げた91年12月13日朝刊「ひと」欄の記事の中で、「十四歳以上の女性が挺身隊などの名で朝鮮半島から連行され、従軍慰安婦に。その数は二十万人ともいい、終戦後、戦場に置き去りにされた」と報じた。

このような「誤用」が植村記者による捏造なのだとしたら、読売新聞や毎日新聞は朝日新聞社が発行していたのだろうし、植村記者はタイムマシンを使って5年前の事典を編纂したのだろう。


このように「捏造」などありえないことは朝日検証でもくわしく説明されていた。

それなのに大学へ脅迫がおこなわれ、その脅迫に大学が屈した。そして脅迫や大学を批判する意見にも、植村記事を「捏造」あつかいしているものが複数ある。

はてなブックマーク - 脅迫受け元記者を来年度雇用しない考え伝える NHKニュース

id:zoidstown 従軍慰安婦捏造した記者の奴か。脅迫犯って捕まってないんだっけ? 2014/10/31

id:t05361yk そもそも捏造に関与した記者が、発覚後も堂々と講師やってるのもどうかと。 2014/10/31

id:YoshiCiv nhk 世の中 教育 大学側が可哀想。捏造記者の雇用を続けたらそれはそれで叩かれる。 2014/10/31

id:shufuo 脅迫の有無は別として記事の捏造という契約更新しないだけの理由はあるのだから契約更新しないのは妥当な判断だろうよ。物は言いようだけど。 2014/10/31

id:ermanarich 脅迫とか関係なしに捏造報道した人間を採用し続けることは大学のアカデミックモラル上ダメージ。 2014/10/31

id:hungchang 事件 メディア 捏造記者雇う大学に脅迫状届き、警備・財政上理由から大学は元記者を解雇、と。三つ巴のクズではあるが、一番同情の余地があるのは大学だろうに。民間団体にテロと戦う義務を負わせるのは無理筋かと。 2014/10/31

誤報とは呼べるかもしれないが、当時の数少ない専門書や事典の「誤用」を引いたものであり、大学を辞めざるをえないほど記者個人の責任を問えるものか。


そこで大学で仕事をしている人間はどうかというと、名古屋大学大屋雄裕教授*3が、ツイッターで下記のようなやりとりをしていた。

警備のコストを理由にすれば、大学が脅迫に屈することも許容するらしい。しかし非常勤講師に対しては言論で闘うコストを要求するらしい。そのような態度こそ脅迫者の利益になると思わないのだろうか。

そもそも紹介したように、朝日検証でも植村記事について解説されていた。充分ではないにせよ、記事を掲載した新聞社が言論で闘ったのだ。それ以上の何が必要だと考えているのか。

ちなみに大屋教授自身は、朝日検証にからんでデマに加担し、それを批判したところ「無料のtweet」だからと開き直り、批判する側がおかしいと反発したことがある。

従軍慰安婦問題についての朝日検証を読んでなお、朝日新聞の影響力を大きく見積もる人々 - 法華狼の日記

東京スポーツ記事を事実ととらえたツイートを否定せずリツイートしているが、吉田清治証言を紹介したことを批判するなら東京スポーツの信頼性を大屋教授は保証するのだろうか。

きちんと明記したことを気づいていないと反応されて困惑した - 法華狼の日記

マスメディアで証言が言及される場面を「証言をもとに事実の存在を伝える」としか想定できなくて、よく大学教授がつとまるなと不思議になる。

現実には、証言者の活動を紹介するだけだったり、未検証の証言をもって調査研究の必要をうったえたり、ひとつの証言をもってひとつの仮説をたてたり、著名な証言を真偽不明と指摘するためとりあげたり。むしろ証言ひとつで事実が確定したかのように報じる記事がどれほどあるだろうか。

ここで大学教授の資質を疑問視したわけだが、思った以上に大屋教授は朝日検証を読む能力がなかったようだ。植村記者に求める水準から考えれば、大屋教授こそ職を辞すべきではないだろうか。

もちろん私は、植村記事の誤用が大学を辞める基準というのは重すぎるし、大屋教授の求める言論の闘いの基準も過大だと思っている。一定の反省を表明すれば、それ以上に責めるべきではないと考えている。

*1:当時の毎日新聞読売新聞を見ても妓生に売られた記述がないことはApeman氏が指摘している。http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130724/p2

*2http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20140904/1409880016

*3ツイッターアカウントは@

hokke-ookamihokke-ookami 2014/11/03 02:17 念のため。個人的に、全ての批判に律儀に応答する義務はないと思っています。それでは言論のコストが過大になりかねない。
わざわざ反論する必要のない難癖であれば、あえて黙殺するのも「言論で闘うこと」「そういう対応」になりうると思います。
妥当な批判であっても、それに応答しないこと自体をもって新たな批判理由にはしなくていい、という考えも一理あると思います。

でも今回は、大屋教授が他人に求めている水準からすると……ということで「表明」を求めました。
ゆえに、はてなブックマークへidコールした個々人には、それほど期待はしていません。言論に重い責任が求められる著名人でもありませんしね。反省できるならしてほしいと希望はしますけど。

大学人大学人 2014/11/04 11:37 大学が「圧力に屈した」とか大学を「辞める」と書かれていますが、そもそも非常勤講師である元記者の更新をしないだけの話で、大学には更新しない自由があるのもいいですよね。

その上で、大屋氏が引用された部分で書かれていることの趣旨は、「大学もいくらでも理由は付けられるのに、わざわざコストの問題だと明らかにしてくれているんだから、雇用を継続しろと大学(の自由)に対して声高に叫ぶ人がその問題を解消してあげたらいいんでないの」という至極それ自体筋の通ったことだと思うのですが。

このエントリでは、元記者の「誤報」が大したことではない(他もやってた!)ということを証明しようと努力をされていることと理解しましたが、それが今回の件で大学が元記者の契約を更新しないこととどこまで関係があるのか、疑問です。エントリの題名の「大学をやめる必要があると主張する人々」ですが、ネット上の一般人と言語道断な脅迫者がそれに含まれるのはいいとしても、大学は誤報が理由だともしていないし、大屋氏も少なくとも引用された箇所ではそんなことは言っていないですよね。

「言論で闘うことが前提」云々も、結局、大学側がコストの問題にもかかわらず、なお契約更新をすべき特段の理由がないってことだろうという推測以上の話ではないでしょう(大屋氏は一言も元記者に「反論しないなら辞めるべき」とも、大学に「反論しないから辞めさせよ」とも要求していない)。大学は警備コストを渋ってよくて、非常勤講師には言論で闘うコストを要求するとは!とお怒りのようですが、そうではなくて、大学はそもそも契約を更新しないといけない義務がないだけです。で、元記者のような(恐らくはそれほど研究業績もない)非常勤講師に、そこまでのコストを払う必要はないと大学側が冷たく計算したという話にすぎません。だから、元記者が「闘う」ことをしようがしまいが、大学には切られた可能性があります。というか、コストが原因で契約更新をされない非常勤講師なんかいっぱいいるわけで、この元記者だけの話ではありません。

従って、後半の(「ちなみに〜」からの別件を持ち出しての)大屋氏批判も、こうしたブログ記事にありがちな、「議論」の批判より(自分の気に食わない)「人」の批判に過ぎないものになっていて、少なくとも引用されている議論への批判にはなっていない的外れなものになってるように見えます。(この点、学問的な議論と作法を知らない素人ブログの決定的な差な気もしますが、深入りしません。)少なくとも大屋氏が「大学をやめる必要があると主張する人」だと考えているなら、その証拠を示す必要があります。もし違うなら、こういう別件を持ち出しての批判は、記事の質を落とすだけなのでおやめになった方がいいと思います。あなたが大屋氏の「大学教授の資質を疑問視」するのは自由ですが、それはこのエントリとは何の関係もないですし、意趣返しにすらなっていないと評価せざるを得ません。

Gl17Gl17 2014/11/04 12:31 >コストが原因で契約更新をされない非常勤講師なんかいっぱいいる

そのコストがどうして発生したのかは都合よく忘れるんですね。
報道では
・警備等を念頭にしたコスト ・入試等の安全
と、コストの要因が明記されています。

つまり脅迫者の存在が主なコスト要因であって、講師はその点で犯罪被害者です。
朝日記事の問題で講師を責めるのでなければ、一方的な脅迫が思い通りの効果を上げたことにしかなりません。
通常のコスト要因と、犯罪の結果として不当に押し付けられたソレを区別しないのは、社会の安寧の損なわれるのを無視することです。

>大学は誤報が理由だともしていない

つまり誤報事件叩きによる脅迫犯が理由ですよ、最低限の事実認定は踏まえてくださいね。
書き捨てハンドルでは何を適当に書き流しても痛痒ないんでしょうけど。

杜 2014/11/04 22:44 >>大学人
はあ?「大学には講師を雇い続けない権利がある」なんて事は誰でも知ってるし、zetuboutouin氏も法華狼氏もそれを前提に話してんだがw 「○○する権利がある」という事は、「○○は否定的に評価されてはならない」という事を全く意味しない(まさかこんな事も分からんなんて事はないよな?w)。つまりzetuboutouin氏は「大学は、“否定的な事をする権利”を行使しようとしている。否定的な事なのだから、当然私は批判する」と言ってるわけで、誰も「大学は“権利の無い事”をしようとしてる」なんて言ってないw(だいたい、「権利が無い」という前提なら、普通「雇い続けぬ事を理由に裁判を起こそう」という方向に行くだろw だが、誰もそんな発想は持ってないよな?)
で、そのzetuboutouin氏に食ってかかる文脈で大屋が言ってるのが、「脅迫に屈しないというのは言論で闘うことが前提ですがご本人がそういう対応もしていないようなので、堪忍袋にも限度があるかとは」というバカ台詞w 文脈上、明らかに大屋は「大学は、“そうする権利があるのはもちろん、否定的ですらない事”をしてるんですよー」と主張してることになる。つまり大屋のバカ台詞は「大学のやった事が否定的ではない理由」として言われているものなんだよ。だから、お前の言ってる「大屋様は単に大学当局の打算的な内心を推測しただけですぅ」は完全に的外れw(ってか、仮に大屋がそんなつもりでその台詞を言ってたなら、「大屋は関係無い方向へ話を逸らしたカス」って事になるだけだよなw)
以上の文脈と、「脅迫に屈しないというのは言論で闘うことが前提」「堪忍袋にも限度がある」「浄罪」という表現から、以下の事実が浮かび上がる。
大屋は「そもそも、こういう脅迫を受けるなどという事態に巻き込まれる時点でその記者はダメダメ。こんな記者を雇い続けるとすれば、それはまさに大学の“寛容さ”の賜物」(つまり、“誤報問題を引き起こした記者にも大きな責任あり”という立場)「脅迫された側が守ってもらうには、脅迫相手と言論で闘わなきゃダメ!ゼッタイ!」という妙な思想を持っており(「脅迫に屈せず、かつ脅迫者の主張を相手にしない」という極めてフツーな選択肢がなぜか除外されているw)、「こんな脅迫を受ける上に言論で闘いもしない記者は、全く守ってもらうに値しない人物なのだ!そんなダメ記者を雇い続けるほど、大学は寛容でなくてもよい。よって、その記者を雇わないことは、否定的な事でもなんでもないのである」と主張してるわけだ。言い換えれば、『もし、記者が脅迫者と言論で闘うような人物なら、かろうじて彼は“大学が寛容さをもって遇するのがよい(雇い続けて守るのがよい)人物”と言えなくもなく、彼を雇い続けなかったとすれば、「雇う価値のある人物を雇わなかった」つまり「“否定的な事をする権利”を行使した」と評する余地を残すだろう。だが、記者が闘わないのなら、彼は“もはや寛容さをもって遇する価値の無い人間”という事が確定し、彼を雇い続けなかったとしても、それは「雇う価値の無い人間を雇わなかった」つまり「“何ら否定的でない事をする権利”を行使した」という事になるだけだ』ということ。
分かったか? 法華狼氏の言う事は完全に的を得てるじゃないかw 大屋は「誤報の罪を犯したその記者は、(脅迫者に対し言論で闘わなければ)大学に雇われ続ける価値の無い人間」と抜かしてんだからw
あと、「じゃーなりすと」云々だって、単に大屋が「皮肉もどきで話を逸らしてる」ってだけの話だろうが。なんたって、ジャーナリストたちに「その記者を、拠出によって支えない権利」があるのは自明の理で、また、その権利の行使を「否定的な事」と評する理由も全く無いわけだからなw
それにしても、「言論で闘うことが前提」ってマジでイミフだよな。こんな脅迫なんてやらかす奴に何か言ったところで、「加えるはずだった危害を、やっぱり加えないことにする」なんて事はまず無いわけでw むしろ火に油を注ぐことになる可能性のほうが大きいとさえいえる。まあ、例によって「気に入らない奴に対してはテキトーにハードル上げてやれ!」作戦なのだろうw
とりあえず大学人くんには、「捨て台詞吐いて逃げた大屋に代わってごくろうさん」(http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000932.html)とでも言っておこうw

hokke-ookamihokke-ookami 2014/11/05 01:21 大学人さんへ
>そもそも非常勤講師である元記者の更新をしないだけの話

違います。冒頭で紹介した記事にありますが、学長は記者会見をおこなって、「警備強化などで財政負担」「教職員が対応で疲弊」「入試の際、受験生を巻き込んで」等を理由にしています。

>「大学もいくらでも理由は付けられるのに、わざわざコストの問題だと明らかにしてくれているんだから、雇用を継続しろと大学(の自由)に対して声高に叫ぶ人がその問題を解消してあげたらいいんでないの」

さすがに大屋教授も「声高に叫ぶ人」というような表現は使っていないので、要約として問題があると思いますよ。
使っている表現は「元記者としての立場に連帯したいじゃーなりすと」ですね。ひらがなになっている理由はわかりません。

>「言論で闘うことが前提」云々も、結局、大学側がコストの問題にもかかわらず、なお契約更新をすべき特段の理由がないってことだろうという推測以上の話ではないでしょう(大屋氏は一言も元記者に「反論しないなら辞めるべき」とも、大学に「反論しないから辞めさせよ」とも要求していない)。

……大屋教授は「契約更新をすべき特段の理由がない」などと漠然とした表現は使っていませんよね?
「脅迫に屈しないというのは言論で闘うことが前提ですがご本人がそういう対応もしていないような」と具体的に書いていますよね?
だから私は、実際に言論で闘っていないのか、それが脅迫に屈しない前提として必要なのか、大屋教授に問うているのですよ。
ちなみに新しいエントリでとりあげましたが、大屋教授は朝日検証の信頼性が疑問視されているという主張もはじめています。
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20141103/1415117904

>大学は警備コストを渋ってよくて、非常勤講師には言論で闘うコストを要求するとは!とお怒りのようですが、そうではなくて、大学はそもそも契約を更新しないといけない義務がないだけです。で、元記者のような(恐らくはそれほど研究業績もない)非常勤講師に、そこまでのコストを払う必要はないと大学側が冷たく計算したという話にすぎません。だから、元記者が「闘う」ことをしようがしまいが、大学には切られた可能性があります。

その反論は「脅迫に屈しないというのは言論で闘うことが前提ですがご本人がそういう対応もしていないようなので、堪忍袋にも限度があるかとは」と主張した大屋教授に向けてください。
言論で闘うことが脅迫に屈しないための前提ではないという意見が共有できるなら、そこに貴方と私の衝突はありません。


>元記者の「誤報」が大したことではない(他もやってた!)ということを証明しようと努力をされていることと理解しました

違います。事典で書かれていたことに「他もやってた!」と解釈するのは、新聞記事と事典の信頼性を同等視していなければ出てこない発想だと思いますが、本気ですか?
「捏造」ではないという反論、どのような経緯で「誤用」したかという説明、そしてその経緯は朝日検証で書かれているという指摘、といったことを書きました。

>この点、学問的な議論と作法を知らない素人ブログの決定的な差な気もしますが、深入りしません。

そこは深入りしてほしいところです。
大屋教授が大学につとめている著名人として実名でツイートしているから、その発言に重みがあると私は解釈してきたのです。「無料のtweet」という発言にこだわっていたのも、それが一因です。

    555    555 2014/11/05 01:30      ≫大学人
   原因が誰にあろうと暴力をふるったの側に帰責されるのが当然ですよ。
   第一誰が一番悪いのかといえば脅迫を行った者に決まっているでしょう。
   そのような事も分からないのでしょうか。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/11/05 01:38 Gl17さんへ
>そのコストがどうして発生したのかは都合よく忘れるんですね。

少なくとも「コスト」に本人に落ち度があるかどうかは、大きな違いですね。もちろん他にも本人の落ち度がなく大学を辞めさせられる事例があるでしょうけど、それをもって北星学園大学の記者会見を擁護するのは無理筋です。
だいたい大屋教授は無視していますけど、そもそも下記のような講義をすると大学サイトのシラバスに明記されています。講義計画には「新聞と戦争」という予定も書かれてします。朝日新聞記者としての活動は、講師として求められた仕事とクリティカルに関係しているんです。

http://www2.hokusei.ac.jp/syllabus/(「担当教員から探す」に「植村隆」と入力してください)
>私は社会部記者を経て、テヘラン、ソウル、北京の特派員を経験した元朝日新聞記者です。記者歴は32年になります。この講義では、私の取材体験や各地からのニュース、話題を紹介しながら、日本や世界の様々なテーマについて一緒に学んでいこうと思います。また毎回、テキストとして朝日新聞などの新聞を受講生に配ります。


杜さんへ
>「堪忍袋にも限度がある」「浄罪」という表現

少なくとも、その表現を選んだことを考慮してあげなければ大屋教授に対しても失礼でしょうね。
いや、さすがに後者は「浄財」の誤変換だと最初から思っていますが(苦笑)。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/11/05 01:40     555さんへ
>   第一誰が一番悪いのかといえば脅迫を行った者に決まっているでしょう。

その次に、朝日新聞の誤報を過大視している現在の日本政府や他メディアに批判が向けられるべきだ、と現状では思いますね。

setteringsettering 2014/11/07 06:17 >そうではなくて、大学はそもそも契約を更新しないといけない義務がないだけです。で、元記者のような(恐らくはそれほど研究業績もない)非常勤講師に、そこまでのコストを払う必要はないと大学側が冷たく計算したという話にすぎません。だから、元記者が「闘う」ことをしようがしまいが、大学には切られた可能性があります。というか、コストが原因で契約更新をされない非常勤講師なんかいっぱいいるわけで、この元記者だけの話ではありません。

全体の論旨が穴だらけで酷すぎなのはさんざ指摘されてるのでそこは省くとして。自分は大学人ではないが、周りにそういう人がたくさんいる状況なので一言。

大概の人は、自己責任なんてことは百も承知した上で自らの境遇の不安定さと必死に向き合ってる。周りが思っているよりずっと悲惨だし、それに対しての不安や憤りといったものに対しても、自分のものとして受け入れて日々苦闘してる人がほとんど。

だからこそ雇用に関する決定には、きちんと自らに帰することのできる理由を出すのが雇用側としての最低限の義務。
“恐らくはそれほど研究業績もない”なんて中途半端は許されない。そんな適当さは彼我の強弱、立場の違いを無視した一種の社会的暴力。解雇するなら、キチンと「あなたの業績が足りない(雇用に値しない)」と表明するべきだ。それができないのなら他人を雇用(使役)する資格はない。

この大屋教授はこの件を許容しておきながら、自らの発言で裁かれる覚悟なんぞありはしないのだろう。客観的に見たら、この人の発言の方がよほど問題なんだけど。苦労したことがないのか、喉元過ぎて熱さを忘れたのか、どちらにしても“欠落”した人間性の持ち主であることは間違いない。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/11/07 07:18 >だからこそ雇用に関する決定には、きちんと自らに帰することのできる理由を出すのが雇用側としての最低限の義務。

そういう意味では、社会全体の問題に通じていますね。
残念ながら、たぶん裁判で北星学園大学と争って勝つことは難しいでしょうけど、それはブラック企業を訴えて勝つことが難しいのと同じ。

>“恐らくはそれほど研究業績もない”なんて中途半端は許されない。

もともと記者時代から北星学園で非常勤講師をつづけていたわけですしね。下記ページでくわしい経過が紹介されていますが、思った以上に大学内は混乱していたようです。
http://www.magazine9.jp/article/other/15736/

setteringsettering 2014/11/08 06:49 >そういう意味では、社会全体の問題に通じていますね。

その社会全体の異常性も最早、慣れきって認識されなくなってる、という点を今回の背景として感じます。今回の大学人氏(このHNは皮肉にしては強烈ですが)は中々に順応性が高いようで。

右派が教育関連に注力して全体の低知性化を推進した成果は著しいものがあります。これだけのことが大したニュースにもならないのですから。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/12/14 10:37 https://twitter.com/takehiroohya/status/543766741684211712
https://twitter.com/takehiroohya/status/543767782966300672
>議論やこれまでの制度の見直しをいくらやっていてもそれ自体は構わないのだが、その間にも既存制度の維持経費は必要であり労働者はご飯を食べなくてはならず、そのためのカネや労力をきちんと回せるのが最低限の「有能さ」であろうと思われるところ、民主党政権はそれすらもできなかったんだよ。
>まあだから、自分自身や部下の食い扶持について考えたことのない人には民主党政権と自民党時代の違いってわからないかもね、とは思うところ。政府が法律をまともに通せなかったために借金して職員給与を払うことになった愛○大関係者の前で「民主党政権はひどくなかった」とか言うてごらん?という話。

伏字にしているのではっきりとはわかりませんが、人間はどこまで退廃することができるかという象徴として、味わい深いツイートです。
政府がデマを後押ししてOBを辞めさせる自民党政権と、自身もそれを後押しした大屋教授が主張していいことではありませんね。


setteringさんへ
>その社会全体の異常性も最早、慣れきって認識されなくなってる、という点を今回の背景として感じます。

被害者に対して自己責任だと主張して社会の責任を回避するふるまいが行きついた果てですね。

>右派が教育関連に注力して全体の低知性化を推進した成果は著しいものがあります。これだけのことが大したニュースにもならないのですから。

脅迫を後押しした捏造や誤報について論じようとすると、現与党政治家の大半と、多くのメディアが自己批判しなければならない状態ですしね。安倍介入で折れたNHKはもちろん、毎日新聞もダメな記事が多すぎる。

周 2014/12/17 23:42 続報が出ました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141216/k10014031631000.html

大学側が前言を撤回して、植村隆さんを改めて継続雇用するようです。

hokke-ookamihokke-ookami 2015/02/06 23:46 コメントありがとうございます、返答すべきエントリが多くて応答が遅れました。新しいエントリを立てるつもりだったのですけど、年があらたまってさらに状況が変化していますね……

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