法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』

金曜ロードSHOW!で視聴した。この枠のアニメ映画では珍しく、EDクレジットが流れないので細かいスタッフがわからない。


前日譚となるTVSPの感想エントリは下記。メインスタッフも5年前のTVSPと同じで、亀垣一監督に前川淳脚本。
『ルパン三世vs名探偵コナン』 - 法華狼の日記
序盤にルパンが盗みをくりかえす意味が、最後の推理で大きくひっくりかえる展開は、ルパン三世というキャラクターを導入した作品ならではで良かった。キャラクタードラマとしてのサービスは多いし、かといって崩しすぎてもいない。
それぞれの新作のTVSPや劇場版が、設定上のスケールは大きくても映像リソース不足でリアリティも欠けたり、映画なのに2時間ドラマレベルの犯罪にとどまったりする昨今、適度なリアリティでスケールの大きな犯罪事件を展開できたのは良かった。序盤のアクションは作画が素晴らしいし、後半は事件と推理が同時進行しているから緊張感がたもつ。
しかし全体として同時進行する活劇として楽しめたが、少しずつTVSPを前提とした描写が増えてきて、前日譚を知らないと事件の真相が予想もつかないというのは好きになれない。もちろん以前に会ったことを忘れるよりはいいが*1、TVSPを見ていなくても楽しめる映画として完結させてほしかったところ。

*1:TVSPとはコンビを組むキャラクターをシャッフルして、映画で初顔合わせするという方法もあるが。

『ドラえもん』秘密基地で世界を守れ!/四次元サイクリング

原作があるがテイストの違う前半と、初期原作を後期っぽくアレンジした後半と。


「秘密基地で世界を守れ!」は、秘密基地をつくる秘密道具でジャイアンたちに立ち向かう。
方眼紙に設計図を書いたり、ただ穴を開けるだけでなくコンクリートボンベと組みあわせたり、適度な手作り感が子供っぽくて楽しいエピソード。監視カメラが裏山に飛んでいくまでのカメラワークや、スクリーンをちゃんと平面として描いた処理など、監督コンテ総監督演出で実在感のある映像化ができていた。
しかし後半から、原作では復讐からオチにつながるだけのミサイル要素をふくらませて、正義の味方が過剰化するパターンとして展開。争いに暴力で介入しようとして肩透かしが連続したり、しっぺ返しされるオチが原作より強調されたり。ここ最近に日本社会が直面している問題を思い出させる。風刺として面白くはあったが、原作の良さが後半から薄められた感もあった。


「四次元サイクリング」は、のび太が自転車のかわりに未来の三輪車でサイクリングに参加する。
総監督のコンテ演出で、未来の三輪車で高速移動する楽しさを強調。渋滞した高速道路をつきぬけたり、田舎道を新幹線と競争したり、山道を登って川に落ちたり、原作にはない情景が描写が強調されている。途中で道を間違えて雪国に行ったりするのも、ただの尺稼ぎという印象では終わらず、さらに風景に変化をつけていて楽しかった。
原作では理由のなかった故障に説明をつけたり、笑われるオチに伏線を足したり、補完描写も違和感ない。原作をふくらませたアニメ化として、求めた水準を全て超えた佳作回。