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法華狼の日記

2015-04-18

[][]『ニンジャスレイヤー』はトリガーではなくゴンゾアニメ化してほしかった

原作に思いいれがなく、それよりトリガーに興味がある人間として、『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』第1話は全く驚きのないものだった。

「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」 | バンダイチャンネル


映像表現に感じた印象は、『キルラキル』の初回感想と大差ない。

『キルラキル KILL la KILL』第一話 あざみのごとく棘あれば - 法華狼の日記

止めたりスライドですませる部分と、巨大テロップで説明する部分と、ぐりぐり動く作画で楽しませる部分にくっきりわかれる。

わりとアニメーションとしての冒険はしておらず、スタッフが過去作品で見せた延長ではあった。

もともとトリガーはガイナックスで『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』を制作していたスタッフが独立した会社だ。

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アクションの見せ場ではアニメーターに腕をふるわせ、それ以外はシンプルに表現するという方針は、この時点でも確認できる。

それぞれ比較的に視聴者に納得されたのは、カートゥーンや漫画という参照元がわかりやすかったためか、オリジナルアニメだったためか。


そもそもトリガーが初めて元請で制作したWEBアニメ『インフェルノコップ』でも、人形劇のように静止画をスライドし、爆炎だけCGにして安っぽく表現していた。

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『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』で視聴者を困惑させた手法は、はるかに統一された手法で、すでに作品として発表されていたのだ。これでは実験的というほどでもないし新鮮味もない、ごくごく普通のトリガー作品という感想しかない。

もし異なる独自性が生まれるとしたら、今後の展開で趣向に新たな位置づけがされる時。この趣向を最後までつづけるか、異なる趣向を展開するのか、あくまで第1話だけの特別な演出なのか。それを確認するまでは何ともいえない。

つづけることで独自性を出すにしても、フェイクドキュメンタリーの『FLAG』やロトスコープの『惡の華』くらい趣向を徹底しないと、第1話の話題作りだけで終わってしまいかねない。


しかし個人的には、映像手法よりも語り口に大きな違和感を持っている。原作の位置づけが間違っているように思うのだ。

『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』キャラクターデザイン今石洋之インタビュー 前編 かっこいい絵作りは「恥ずかしがらない」 | アニメ!アニメ!

昔の日本やアジアの映画がアメリカで誤解といいますか、だいぶ飛んで理解したイメージが広がり、それをアメリカのエンタテイメントとして日本に逆輸入されることの面白さがあったと思います。当時は僕もタランティーノロバート・ロドリゲスの映画は好きで観ていたので、それに近い要素をもつと思われる『ニンジャスレイヤー』の世界にもすんなり入れました。

『ニンジャスレイヤー』で描かれるのは、勘違いされた日本ではなく、誇張された日本だ。ポイントは、アメコミ風味のヒーローアクションというところにはなく、疑似的な異国視点で日本をカリカチュアしたところにある。

少しばかり原作を読んだ印象では、自警団を原型としている米国のヒーローらしさは、あまり再現していない。家族を殺された復讐者という主人公像は、むしろ典型的な日本のヒーローだ。

現実味を無くすのではなく、現実を描くためにこそ現実とは異なるリアリティを利用するべきだった。だとすればカートゥーンを参照したり、アニメを「アニメ」として作るトリガーは向いていない。


そこで違うアニメスタジオとして、さまざまな古典をSFアニメ風にアレンジしていたゴンゾに制作してほしいと思ったわけ。

ただしゴンゾといっても『バジリスク 甲賀忍法帖』班で映像化してほしかった。

「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」 | バンダイチャンネル

小説を漫画化したものをTVアニメ化した作品で、その内容はバンダイチャンネル等で確認できる。無料配信されている第1話だけでも物語がまとまっていて面白い。

こってりした絵柄で激しいアクション。独自の味つけをしながら原作から逸脱しない改変。奇怪なデザインの忍者による超常バトルが目をひくが、それをとおして描かれるのはカリカチュアされた日本の歴史。物語はあくまで史実の裏面として展開されていき、国に消された人々へよりそっていく。

癖の強い超人ニンジャバトルをアニメ化するにあたって、これほどふさわしいスタッフもいないだろう。


もちろん、このスタッフは実質として「スタジオへらくれす」であって、ゴンゾというくくりは不正確かもしれない。

WEBアニメスタイル_特別企画

 『バジリスク 甲賀忍法帖』は、精鋭アニメーター集団である、スタジオへらくれすの木崎文智(写真・右)の初監督作品であり、また、キャラクターデザイン総作画監督を、同じくへらくれすの千葉道徳(写真・左)が担当。石野聡プロップデザインを担当しており、へらくれすスタッフの作品として観ていたファンも少なくないだろう。

実際にゴンゾ以外の会社で同じスタッフが作品を手がけたことがある。マッドハウス版のTVアニメ『X-MEN』だ。

madhouse.co.jp

『バジリスク』や『アフロサムライ』など、アクションに定評のある木崎文智が監督を務め、『X-MEN』チームの戦いをダイナミックに描いていく。

マーベルヒーローをマッドハウスがTVアニメ化した第3弾。他のスタッフによるアニメ化は原作ファンに不評だったようだが、この『X-MEN』は悪くない評価を受けている。

わかりやすい違いが、ウルヴァリンのデザイン。第2弾では主役だったが、予告を見てのとおり、細く若くデザインされており、ワイルドさが損なわれたと不評だった。

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それが『X-MEN』で登場した時は、ごつくて髭のある、いかにも獣人らしいデザイン。全体を見比べると、そう悪くない『ウルヴァリン』を超えて作画が良いこともわかる。

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アメコミ風味であることはポイントではないといったばかりだが、中途半端にカートゥーンを真似して好事家だけ楽しませるより、アメコミファンも求めるような映像化をすれば、もっと視聴層も広がったかもしれない。