法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

たしかに沖縄基地問題では境界線越えが常態化していたらしい

3月のなかば、沖縄米軍基地問題を題材にした漫画について、下記エントリでとりあげたことがある。一部分を再掲しよう。
絵に描いたような植民地主義が絵に描かれていた - 法華狼の日記

「ヒートアップして事故ると大変なので ソフトな対応を心がけます」と2コマ目に書かれている。

しかし2月、沖縄米軍基地において、反対運動側で「ヒートアップ」を抑えようとした人が逮捕された。

これが「ソフトな対応」だというなら、笑えないアメリカンジョークだ。

これに対して、下記を代表とするコメントがついた。ラインをこえたなら逮捕されて当然という主張のようだ。

アホくさ 2015/03/24 01:05
たった1mだろうと、不法侵入は不法侵入なんだよ。それが法治ってもんだ。

aaa 2015/03/24 00:52
法治国家であるから、デモをする自由はある。しかしルールは守らなければならない。ラインを超えたことは事実であるから、そこはいとてきでなくっても反省すべきである。

はてなブックマークでも下記をはじめとするコメントがあった。
はてなブックマーク - 絵に描いたような植民地主義が絵に描かれていた - 法華狼の日記

id:soret 『基地内に入っていたのは、距離にしてせいぜい「1メートル弱ぐらい」』そりゃダメじゃないの。2メートルなら拘束されても納得するのだろうか

id:moegi_yg またこの人か。まりんこゆみに描かれてた内容に疑問は持ったが、反対運動してる人がルールを破ったことには変わりが無いし擁護のしようがないよね。それに日本からすれば米国にお願いをしてる立場なわけだが。

しかしエントリを読んでのとおり、私は「ヒートアップして事故ると大変なので ソフトな対応を心がけます」という台詞に反する出来事として報道記事を出した。ラインをこえた事実は否定していないし、ラインをこえることを特に容認もしていない。たとえ不法侵入が成立するとしても、報じられたような状況での逮捕の必要性は疑問視できる。
もちろん、日米政府が沖縄現地を無視して恣意的にラインを引くことも、もともと問題視されていることではある。強者による線引きを拒否する考えは、思想においても行動においても社会運動で一般的なことだ。


さて4月に入って、辺野古基地建設にまつわるサンゴ損傷ついて、沖縄タイムスが報じていた。
辺野古損傷サンゴ、9割超が許可外 知事判断に影響も | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

沖縄防衛局は10日、名護市辺野古の新基地建設に関連し、大型コンクリートブロックによる損傷が確認されたサンゴ94群体のうち、9割を超える89群体が県の岩礁破砕許可区域外であることを明らかにした。県はこれまで許可区域外の1カ所でサンゴ礁の損傷を確認しているが、より多くのサンゴが区域外で損傷を受けたことになる。

 翁長雄志知事は今年2月、県の調査で見つかったサンゴの損傷が、許可区域外の可能性が高いとして問題視。国に海上作業の停止を指示し、岩礁破砕の許可取り消しも検討している。

記事に掲載されている画像を見ると、1mや2mといった距離ではない開きがある。ひとつふたつのブロックならともかく、これほどの数となると作業計画そのものに根本的な問題があると考えるべきだろう。

法治という建前を利用するならば、まず国家が規則を守っているかどうかを厳しく見られなければなるまい。
ラインをこえたとして逮捕されたことを当然視した人々は、辺野古の基地建設は批判されるべきと考えるだろうか。日本政府は厳しく批判されるべきと思うだろうか。