法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『血界戦線』#06 Don't forget to Don't forget me

これまでは松本理恵監督がコンテに必ず入っていたが、今回は長崎健司の単独コンテ。街角の出会いをとおして、人間の弱さと強さを描いていく。


中盤で明かされるのでネタバラシすると、今回は記憶を失う能力をめぐる物語。主人公と能力者の出会いを主軸として、その能力を悪用しようとする第三者との戦いを描く。
すべてを忘れたはずなのに憶えている大切なこと、忘れてからやりなおすことで変わったこと。忘却と記憶のドラマは、どうしても展開が似かよってしまうが、それゆえ必ず抒情的に面白くなる。
能力にからんだ小さな推理も意外としっかりしていた。能力者と親がたがいのことを忘れていること、知らないはずのことを主人公が知っていること、そうした手がかりから効果の範囲や相手の真意をさぐっていく。


このように単独エピソードとして完成されているが、その完成度は連続エピソードとしても昇華される。
異界の住人に対する差別意識や、搾取されていると理解しつつ受けいれる異界人、搾取している人物も下層階級にいるといった描写も、都市という舞台の重層性を表現していく。