法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『モブサイコ100』011 師匠〜leader〜

主人公のモブは、特に苦労もせず顔色も変えずに何でもできる最強の超能力者。追いつめられても隠された人格があらわになるとともに圧倒的な能力で反撃する。しかし自己評価が低く、超能力を使いたがらない気弱な性格のため、自称霊能力者の詐欺師を師匠として尊敬し、いいように使われている。
TVアニメ『モブサイコ100』公式サイト
そんなモブが超能力組織にとらわれ、優秀な超能力者な友人テルや弟リツとともにピンチにおちいった第11話。口先三寸でわたりあるいてきた師匠がひょんなことから大人として矢面に立ち、暴力と説得でその場をしのごうとする。モブ以外に超能力者がいるとは思っていなかったほど状況認識が遅れていて、はげしい超能力戦*1のさなかで逃げようと叫ぶだけなのに、最も真摯に子供を助けようと向きあっている。
超能力をもたない詐欺師だからこそ、身の丈にあわない目的をもたないし、他者のそれも見抜くことができる。そして最強の超能力をもつモブにとって、人と戦うことが精神的な負担になることを言い当てて、その苦しみを負わないですむように体をはる。
師匠の台詞は、いわゆるパターナリズムにも見える。しかしモブが戦うこと自体が状況にしいられたものであり、自由意思とは違うわけで、未成年に対する「師匠」のふるまいとしてはせいいっぱいによくできていた。原作は未読だが、少なくとも今回は硬軟いりまじるエピソードとして完璧。

*1:しかしテルと敵の戦闘は中村豊作画としか思えないのに、原画にクレジットされていない。手法を真似た別人という可能性もないではないが。