法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『魔法つかいプリキュア!』第39話 今日はハロウィン!み〜んな笑顔になぁれ!

みんなが仮装するハロウィンなら、魔法使いの格好でも怪しまれない。そう考えて魔法学校のクラスメートがナシマホウ界へやってきた。
魔法をつかって屋台を手伝おうとしたり、いろいろトラブルがありつつも、違う世界の住人が少しずつ仲良くなっていく……


また一味変わったハロウィン回。儀式や文化というものを懐疑的に見つめなおした前回も良かったが*1、死者がもどってくるイベントを異界との交流におきかえた今回も娯楽性と教訓性が両立していた。
なるほど、黄泉と魔法界は異界のイメージとして似ているところがあるし、主人公の祖母と魔法学校の校長が邂逅する場面も過去との再会めいている。オバケと幽霊の巨大バルーン人形が手をつないでいるデザインも、クライマックスにおいて異なる世界がむすびつく物語を絵として支える。
さまざまな場所でのひとときの出会いが描かれることで、多くの人々が参加しているイベントらしさも生まれた。そしてそれらの描写ひとつひとつが、異なる世界で生まれた主人公ふたりのドラマにおりかさなっていく。にぎやかなだけのようで、物語に一本の筋がとおっていて見やすい。


為我井克美作画監督らしく、絵も華やか。やはり頭身が高いキャラクターが得意なのか、ベニーギョの作画が特に整っていた。
ただ惜しいのはアクション演出で、動くカットと止めるカットのつなぎが無頓着で、敵との会話で動きを止めることが普段より不自然に感じられた。アクション作画そのものは良くて、前半戦の土煙の細かさや高低差を強調した上昇下降は感心したのだが。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第30話 アーブラウ防衛軍発足式典

勢力図の変転にともない、鉄華団の地球支部でも新たなコネクション作りが進んでいた。しかしテイワズから派遣された監査役が、不審な動きを見せる……


あまり出番のなかったサブキャラクターをドラマの主軸にして、舞台も地球に変えたところは、物語に新鮮味を生んでいて良かった。
ただ好みをいえば、監査役の真意を視聴者に明かすのは、今回の終盤まで待ってほしかった。これまで厳しかった監査役が優しくなり、チャド・チャダーンの代役として地球支部を守るよう奮闘する姿を見せれば、火星支部との連絡をごまかしながら敵を手引きしていた展開に驚きが増しただろう。調子よく進んでいるように見せかければ、それが落とし穴とわかった時の落差が強まるはず。
もちろん、どんでん返しで驚かすような作品ではないとは理解している。しかし、これまであまり描写されてこなかった人物がいきなり裏切っても、共感も反発もおぼえにくい。監査役のキャラクターデザインも、いかにも主人公たちの足をひっぱるだけで終わりそうな華のなさ。