法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『魔法つかいプリキュア!』第42話 チクルンにとどけ!想いをのせた魔法のプリン!

プリキュアに情がうつったのではないかと敵幹部シャーキンスに疑われたチクルンは、リンクルストーンを奪うかわりにプリキュアを見逃してほしいとたのみこむ
一方、魔法学校に来ていたみらいたちは、補習メイトとリズから魔法界の食材でのプリンづくりを始める……


ついにチクルンの背景が明かされ、その正体もプリキュアに知られたわけだが、出会いからずっと距離を縮めつづけていたので、予定調和的にプリキュアを助けて許される。チクルンがシャーキンスに飲みこまれてから脱出するまで時間をかければ、贖いと赦しのドラマとしても印象深くなったかもしれないのに、まるで視聴者にストレスをかけたくないかのように流されてしまった。
だからドラマとしては、チクルンと敵幹部の関係性が興味深かった。さぼりを妖精の女王に怒られないためオルーバ*1のいうことを聞いていたら敵の手先になってしまったこと。情がうつったというシャーキンスの指摘に反論するため、偵察を超える敵対行動をとったこと。わずかな怠惰や妥協から、いつしかとりかえしのつかない状況におちいってしまう問題が、わかりやすく物語化されていた。
ただ、チクルンのドラマが印象的だからこそ、やはりプリキュアが変身できないまま敵に攻撃される描写はしっかり入れてほしかった。シャーキンスが巨大化していても、今作は魔法が使えるから主人公側が耐える展開は難しくないはず。


映像面では、フィリピン作画回ということもあり、国内原画も入っているものの癖が強め。ハイライトや影はしっかり入っているのでで、制作には余裕が出ていそうでもあるが。
演出としては、チクルンがモフルンから心理的に離れようとする前半で、望遠圧縮で距離を縮めて見せるレイアウトを多用していたことが印象に残った。
あと、プリンづくりのディテールがやたら細かく、魔法を使っているわりに内容はリアルだったのは、菓子作りがモチーフのシリーズ次作への前準備だろうか。

*1:ロングショットで虚ろな黒目になる作画が何度かあり、なかなか演出として効果的だった。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第34話 ヴィダール立つ

傘下の鉄華団がマクギリスとつながって火星の統治権限をえようとしていることに、テイワズは危機感をいだく。
兄貴分の名瀬は会議で鉄華団をかばったが、後で頭を下げにきたオルガへ笑ってすますのは最後だと告げた。
一方、ギャラルホルンでは仮面の男ヴィダールが、自身と同じ名のガンダムに乗り、初陣に向かう……


鉄華団は上層部の策謀を描きつつ、息抜きのような描写がつづく。メリビットの意外な人間関係は、劇中人物と同じく驚かされた。クーデリアの自虐的な評価も今回は明確で良かったし、テイワズ鉄華団を許容した流れも一応の説得力がある。
そして戦闘シーンは鉄華団の動きとは別個に、ドルトコロニー独立に呼応した運動へのヴィダールによる弾圧を華々しく描く。そこそこ独立運動側が抵抗できていて*1、ワイヤーを活用した戦闘も独自性があるから、雑魚を蹴散らすだけではないヴィダールの強さがそれなりに感じられた。

*1:今回まで尾を引いているドルトコロニーをはじめとして運動側に顔がないことや、その運動が何者かに援助されているという陰謀史観は気にかかるけれど。