法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒season15』第15話 パスワード

杉下と冠城が月本幸子の見舞いにいくと、同室で入院している女性へ伊丹たちが聞きこみにやってきた。その女性は全盲なのだが、介護に来ていた男性が刺殺されたという。
女性が入院する怪我の原因となったデートの相手は優しげで、遺産をわけることになった腹違いの姉も口は悪いが心底からの悪人ではなさそうだが……


今シーズン第3話*1から初参加した櫻井智也が脚本。身体障碍者と介護を題材としながら社会派らしい味つけはなく、全盲という設定を活用した本格ミステリとして展開していく。
一例として、全盲はパソコンの読みあげソフトなどを使わないと文字が読めないこと、逆に一般人は点字が読めず今回は女性の恋人くらいしか読めないこと、といった先入観が活用されていく。特に、点字の手紙を制作する場面を描写することで、よく観察すれば女性の恋人の動きのおかしさに気づけるという手がかりがさりげない。
刺殺事件そのものには謎がなく、しかし背後でトリッキーな罠がしかけられていた……という真相も悪くない。ただし罠の内実が第3話とさっそくかぶっていて、この幅のせまさはサスペンスの脚本を書くにおいて今後に問題とならないかな、という懸念も持った。