法華狼の日記

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『ドラえもん』スケジュールどけい/ニンニン修行セット

今回は前後とも原作ありで、2005年のリニューアル直後からローテーションに入っている三宅綱太郎コンテ演出。
2005年のリニューアル後にアニメ化ずみ*1で、作画監督は今回と同じ嶋津郁雄。
スタッフが大きく変わらない結果として、2017年の再リニューアルの変化があまり感じられないアニメ化となっている。


「スケジュールどけい」は、のび太へスケジュールを守らせる秘密道具を出したところ、入力時のトラブルでドラえもんのび太の代わりを強制されることになる……
脚本として、『怪盗ジョーカー』でシンエイ動画と縁ができた佐藤大が初参加。細かいアニメアレンジとして、スケジュールにあやとりも組みこんだのが良かった。のび太の特技かつ趣味で、ドラえもんには不可能で、それゆえスケジュールを強制されるギャップが増す。原作に描写がないことが不思議なくらいだが、今回の原作は単行本3巻に収録されて初出は1973年とかなり古い。一方、あやとり設定は単行本8巻から確認できて初出は1975年と比較的に新しく、そもそも設定として存在しなかったのだ。
他に映像表現として、雨に濡れたドラえもんがヌメッと照る作画がおもしろかった。薄暗いなか、心情を反映した色彩の変化としても意味がある。今回は前後ともキャラクター作画のハイライトが強調されていた感があった。
ただ、スケジュールどけいの「チックタック」という音を、声優が感情をこめて演じた表現は好みではなかった。もっと機械的で無機的に演じれば、しずちゃんの家に押しかけてくるアニメオリジナルのホラー場面が、いっそう怖く感じられたことだろう。秘密道具をマスコット的なキャラクターに演出しようという意図なのかもしれないが。


「ニンニン修行セット」は、のび太に忍者の能力をもたらす秘密道具が登場。しかし地味な修行で能力を獲得することに挫折して、手軽に変身できる秘密道具をもらうが……
前半と後半でテイストの異なる秘密道具が出てくる珍しい原作をアニメ化。後半がCMで2分割される現在の番組フォーマットにあった原作選定ではある。のび太が全裸をさらしてしまう場面で、うまく秘密道具で股間を隠すような演出などは良かった。
しかし、リアルな忍者とフィクションの忍者を対比する物語なのだから、デフォルメを抑えてアニメ化して欲しいのだが、やたらイメージシーンで遊びを入れている*2。2分割されていることに意味がある物語なのに、テイストを似せすぎていて、全体の印象が平板になってしまった。
あと、アニメそのものとは関係ないが、CM明けにテロップでサブタイトルを表示したのは、いかにも視聴者の理解力をバカにしたTV番組という感じで嫌だった。

*1:「ニンニン修行セット」は「のび太の忍者修行」というタイトルに変更していた。『ドラえもん』まじんのいない魔法のランプ/のび太の忍者修行 - 法華狼の日記

*2:演説している背後に大波が打ち寄せるイメージシーンで、その大波の水に濡れたり。