法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

森友学園売却の公文書改竄のスクープから、慰安所制度の軍関与資料のスクープを連想した

どちらも朝日新聞がスクープしたという共通点だけでなく、どちらも政権側が元資料を把握できる立場だったという共通点がある。
「軍関与示す資料」 本紙報道前に政府も存在把握:朝日新聞デジタル

政府の河野談話の作成過程の検証報告書によると、記者が図書館を訪れたのと同じ92年1月7日、軍関与を示す文書の存在が政府に報告されている。

会計検査院、改ざん前の文書を保管 国交省から受領:朝日新聞デジタル

会計検査院は12日、森友学園との土地取引の調査の際、財務省からは改ざんされた貸し付け決議書の提出を受け、一方で国土交通省からは改ざん前の同決議書を受け取っていたと明らかにした。


さらに、スクープ以前の国会答弁において、政権側が問題への関与を全面的に否定したからこそ、スクープの価値が上がったという共通点がある。
参議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第19号

○政府委員(清水傳雄君) 従軍慰安婦なるものにつきまして、古い人の話等も総合して聞きますと、やはり民間の業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いているとか、そういうふうな状況のようでございまして、こうした実態について私どもとして調査して結果を出すことは、率直に申しましてできかねると思っております。

衆議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第12号

安倍内閣総理大臣 この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。
 ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。


スクープに反論できなくなった後、何がスクープ以前の争点だったかが歪曲されつつあるところも共通点といえるだろう。
上記の引用にあるように、官憲の暴力的な強制連行だけを否定したのではなかったし*1、公文書改竄前に答弁したのは佐川宣寿氏ではなく安倍晋三氏だった*2


もちろん違うところも多々あるわけだが、きちんと政権側が情報を整理して開示していたならば、これほど話題が長引きもしなかったし、スクープの打撃も小さいものとなったろう。

*1:従軍慰安婦の強制連行を狭義にとどめない問題意識は、1990年以前から確実に存在していた - 法華狼の日記

*2:一部で佐川氏の答弁にあわせて公文書が改竄されたという憶測が流れているが、3月に行われた答弁にあわせて2月に改竄するという仮説はつじつまがあわない。