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法華狼の日記

2018-06-12

[][]『戦国自衛隊

演習予定地に集まろうとしていた自衛隊の一部隊。異変とともに海岸の風景が一変していることに気づく。

その直後、かげろうのように戦国武将があらわれて、部隊は弓矢での攻撃を受けはじめる……


思うところがあって2時間18分の全長版を初めて視聴した。しかし1979年の作品なのにエンドロールがなく、細かなスタッフクレジットが表示されないことを知って驚いた。

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物語は、SFらしい異化効果や歴史考証よりも、青春群像劇らしさを優先。鎌田敏夫脚本らしい反抗心と挫折感が満ちている。

さまざまな動機で部隊を離れる隊員が出てきて、なかには戦国時代の強者となることを選んで女性へ性的暴行をふるう連中も出てくる*1。本来の時代へ戻るために歴史を狂わせようとした主流派も、徒労に終わってしまう*2。救われたのは、武器を捨てて現地へ根づこうとした隊員くらい。主人公側が最新鋭の現代兵器を持っていることは、あくまで転落を強調するための踏み台だ。

あまりにも個人の動機で動いて統制がとれない隊員に、かつては違和感もあったが、さまざまな問題が表出している今になって思うと、意外とリアルな描写だったのかもしれない。そもそも劇中でも、予定外に合流した少人数のよせあつめであり、クーデター計画が直前でつぶされた確執もかかえているという、統制がとれない背景は描かれている。


もちろん当時の角川映画らしく、邦画の枠を超えようとするアクション大作としても成立している。

ヘリコプター哨戒艇や戦車まで実物大で稼働するプロップを作って、対する戦国時代も画面をうめつくすエキストラや騎馬を用意。砦や廃寺のオープンセットも大がかり。哨戒艇とヘリコプターの一部でミニチュア特撮が使われているが、前後との違和感は少なく、映像のスケール感を損なわない。現在に見て古びて感じられるのは、生首などの質感の無さくらいだ。

主演をかねる千葉真一のアクション演出もアイデアが多彩で、肉体をつかったスタントも迫真的。手裏剣を使うニンジャ的アクションが特撮ヒーローっぽくて楽しい。かくして現代兵器が人海戦術と策略で消耗していく過程が念入りに描かれた。

*1:あえて能天気な音楽がつけられていることが印象的。映画の全体としては時代によりそった挿入歌が多用されて古びた印象をもたらしているが、暴力や挫折をえがく場面のカウンタープンクトは現在でも通用するだろう。

*2:主人公の過去の時代であるために、世界を変えることがタイムパラドックスをひきおこしてしまう。『ナルニア国物語』あたりにはじまる「異世界転移」とは違って、最初から世界を改変することに制限があると思われ、それが主人公たちの希望につながるわけだが……

菜々氏菜々氏 2018/06/15 17:43 原作の歴史改変SFとしての結末を思い切って削除しながら
「現代日本にも戦争は楽しいと考える人間はいる」というテーマは残し
「戦争はしたくない。それより家族と平穏に暮らしたい」という
原作には希薄な庶民の健全な感覚も説得力ある形で表現しているという、
原作改編のお手本のような映画だと思いました。

hokke-ookamihokke-ookami 2018/06/19 19:00 >原作の歴史改変SFとしての結末を思い切って削除

おかげで不条理劇という印象が強くなっているのは結果的なのかもしれませんが、たしかに興味ぶかいところですね。
エンドロールを削るくらい尺を使っているのに、冒頭や結末で虚しい場面を入れているのも情感を生んでいる。

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