法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第38話 幸せチャージ!ハッピーハロウィン!

ビューティーハリーや商店街が協力して、ハロウィンイベントを開催することに。未来では忘れられた文化と聞き、ハリーやルールーのため皆がはりきる。
そして主人公たちがコスプレしてイベントにくりだした当日、ひとり地味な仕事をまかされていた元敵幹部ダイガンは、鬱屈を深めていた……


平池綾子が演出し、上野ケンが作画監督。美麗な作画がコスプレを映えさせ、軽快なアクション作画が戦闘をショー化するアイデアの説得力を高める。
脚本は今作に初参加の横手美智子。すっかりシリーズに定着したハロウィン回だが、過去作では作品設定にあわせて変化球で描きがちだったところ*1、現実に近しいイベントとして正面から描写*2。だからこそ、表舞台で華やかに楽しむ主人公たちと、裏方として評価されない中年男性の悲哀が、リアリティをもって対比される。
ちゃんとメインスタッフと連携がとれているのだろう、初参加なのに脚本に違和感がない。ダイガンのキーワード「5分」が拾われているし、自己の承認という作品全体のメインテーマとも合致してストーリーが進む。
なんら活躍できないまま切り捨てられて*3、しかし敵組織を離れても活躍できなかったダイガンのドラマとしても、ぐっとくる。今回限りのゲストキャラクターではなく、活躍できないことで笑いをとってきたサブレギュラーだからこそ、ふたたび悪の誘惑にかられるシリアスさがきわだった。
細かいところでは、赤ん坊にさまざまな仮装をさせて主人公たちが楽しむ場面で、赤ん坊自身の意思が最も大切とちゃんと描いたことに感心した。

*1:魔法界における酷似した文化を描いたエピソードが特に印象深い。『魔法つかいプリキュア!』第38話 甘い?甘くない?魔法のかぼちゃ祭り! - 法華狼の日記

*2:インターネットでハロウィンの起源を調べた描写を見ると、もっと今作らしい記憶や歴史にまつわるストーリーにすることもできたろう。

*3:それはそれで踏み台となる描写としてよくできていた。『HUGっと!プリキュア』第23話 最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる! - 法華狼の日記