法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第39話 明日のために…!みんなでトゥモロー!

みんながビューティーハリーにいたところ、急に世界にノイズがかかり、気づくと違う世界へ来ていた。ハリーによると、そこはハリーがいた未来だというが……


脚本を坪田文シリーズ構成が手がけて、コンテを座古明史SDが切っているだけあって、重要回らしい新展開がいくつもあった。
初めてプリキュアが未来に行って、敵の情報やハリーの過去を断片的に知り、敵幹部リストルとも初対戦。圧倒されたところを、新フォームで逆転し、さらに意外な再会で次回へ引く……
しかし見ていて印象深かったのは、以前から小出しにされていた情報の確定よりも、場面のつなぎかただ。山内重保演出かと錯覚するほど段取りが省かれて、エモーショナルに状況が変化していく。CM明け後にいきなりハリーの仲間たちと仲良くする風景が流れたり、プリキュアへの変身が唐突だったり。
ダイジェスト展開ともまた違う。液晶TVが故障したかと錯覚するようなノイズに始まり、仮想現実のように状況が変転していきながら、プリキュアが悪夢のような堂々巡りをする……


念のため、けして悪い回ではない。高橋晃作画監督の整った作画は楽しめたし、これまで抑えてきたリストルのさまざまな表情も見られて、物語の本筋が動いたことへの期待感もある。
しかし実のところ、明快なカタルシスで娯楽性をつくってほしい新フォーム変身回にしては、あまりに表現主義的な演出との組みあわせが良くない気がした。
今回のような物語は、夏休みあたりに単発ホラーエピソードとして展開したほうが活きただろう。あまり明確な設定は説明せず、特異な表現を好む演出家に担当させて、伏線として機能させるくらいの位置づけで。
また、表現主義をねらうなら、コンテと演出を同一スタッフが担当して、カット割りの呼吸までコントロールすべきだとも感じた。もっと動かすまでのタメがほしい場面がいくつかあった。