ちょっとモニョった

予言てそうそう当たらない

20121019214856
検証
予言はどこまで当たるのか

検証 予言はどこまで当たるのか』を入手したので読んでみた。

労作だと思う。予言とかちゃんと調べてみたら当たってね〜し、出所怪しい予言書とか大量だし〜を、本当にちゃんと調べてキッチリ書いた本だ。そして外れても外れても予言、特に人類滅亡とかの不吉な予言が出ては、それを信じる人が出てを繰り返すのは「認知的不協和」の理論で説明できるのではないかということがしめされている。

ただちょっとモニョったところもある。SF作家の山本弘さんが書かれた『「みずがめ座の時代」には世界は大きな変革を迎える?』の項目だ。山本さんは『みずがめ座の時代』とは何ぞやを説明するために、地球の歳差運動と占星術の関わりをかなり詳しく説明されている。多分、占星術に価値なんて無いと思っているだろう山本さんが、占星術についてこれだけ調べるのは大変だっただろうと思う*1。そうはいっても、こういう記述にはモニョる。

20頁下段冒頭
すでに述べたように、トロピカル方式におけるサインは、実際の星座と無関係なのだ。春分点双魚宮と白羊宮の間に固定されている。つまりトロピカル方式では、春分点宝瓶宮水瓶座)に入ることはありえない。

確かにトロピカルな黄道十二宮を採用すれば、春分点が白羊宮の0°なので春分点宝瓶宮Sign of Aquarius”に来ることはない。この点については全く異議はない。しかし自覚的にトロピカル方式を採用しているなら、春分点黄道上を移動している事にも自覚的なので『固定されている』という表現にはモニョるだろう。普通に「春分点が必ず白羊宮の起点になるのがトロピカル方式だ。」で良いのではないだろうか。

ついでに言えば1年という時間の中での、移り行く季節の指標としての黄道十二宮という視点が山本さんの記事からは抜け落ちていると思う。太陽が春分点にくる頃には「暑さ寒さも彼岸まで」という諺にあるように、季節は一気に春めいてくる。白羊宮“Sign of Aries”は、この春めく感じに対応していて、その昔、白羊宮とおひつじ座が一致していた時代には牡羊の突進力を使って春への変化が説明されていたわけだ。トロピカルな黄道十二宮はサインと季節の対応を重視して採用されている。

なので更に言えば、地球の歳差運動の1周期に『プラトン年』という名前をつけて、今はそのプラトン年の中のどのフェイズにあって、それが現すものは何なのかを考えることは、トロピカルな黄道十二宮を採用していても、全く無意味ということは無いだろう、少なくとも占星術においては*2

*1:そして参考文献が盗作本で絶版になったというのも御愛嬌。

*2:と言うか、春分点の移動に自覚的なトロピカルな方式の方が、プラトン年という発想を生み出しやすいだろう。