話し合いによる解決を破壊する戒告処分への抗議声明及び、名古屋市への話し合い要求書

名古屋市長 松原武久 様
          2005年1月15日  笹島連絡会
      白川公園野宿者有志
連絡先)名古屋市中村区則武2-8-13-2F 笹島連絡会

 名古屋市長は、1月12日白川公園の17物件に対して戒告処分を出しました。 私たちは、話し合いによる解決の努力を無視したこの暴挙に断固抗議をします。同時に私たちは話し合いによる解決をめざし、4回目の話し合いを要求します。

1.話し合いによる解決を踏みにじる名古屋市に断固抗議します

 私たちは、この問題について話し合いによる解決を目指して全体説明会の要求が実現しなかった後も話し合いを要求し、予備折衝を経て第1回の話し合いが11月30日に実現しました。
ここで双方が意見を出し合い、いくつかの点で名古屋市側が検討することになりました。
 私たちは、2回目の話し合いに向けての予備折衝をするように、12月8日に申し入れました。翌9日に名古屋市から連絡があり、「15日に部屋がとれた。15日は予備折衝でなく話し合いをしてはどうか」という提案があり、私たちもそれを受け入れました。ところが、その日に名古屋市は、除却命令書を配布しました。この名古屋市の態度は、話し合いによる解決の努力を無視するものです。
 こうしたことに私たちは憤りを感じつつ、私たちは話し合いによる解決をあきらめずに、15日に抗議をしつつ話し合いを行い、白川公園野宿者への名古屋市の今までの態度に反省を迫り、今後改善をするという確認を得ました。 この話し合いでの確認事項について双方の理解が一部一致しないために、こうしたことを話し合うために、私たちは年末に新年早々の話し合いを申し入れたました。返事がないので新年に連絡したところ、1月11日しかないというので、急で都合の悪い人もいたのですが、私たちはそれを受け入れました。ところがまたしてもこの11日の話し合いの翌12日に名古屋市は戒告処分を出したのです。
 この話し合いによる解決を破壊するような行為、話し合いの信義に反する行為、人間の尊厳を侵す行為、こうした暴挙に私たちは断固抗議します。

2.早急に話し合うことを要求します

(1)私たちが要求してきたこと

  11月30日の話し合いに向けての要求書(11月19日付)では、

  1. 立ち退きにあたっては、「ホームレス特別措置法」、憲法国際人権規約生活保護法などをよく説明し、野宿者と支援者と の十分な話し合いを行うこと、緑政土木局による巡回はシェルター入所強要となっており、自己決定権を否定するものなので、生活保護も含む諸選択肢を提示し、自己決定をまつこと、
  2. シェルターを経由しない居宅保護を認めること、強制立ち退きにおいては、代替措置として就労の機会を提供すること、
  3. 前述の①②が保障されない場合は、代替地を提供すべきこと、
  4. 解決するまで工事を中止すること、を基本に要求しました。

11月30日にはこれを説明し、双方が意見を述べ合いました。

(2)12月15日に合意した内容について

 12月15日の話し合いで、次の事項が確認されたと私たちは考えています。
 第1に、「緑政土木局公園利用相談員等による巡回相談の改善」では、「(1)シェルターのみならず、特にシェルターを経由しない居宅保護も含む名古屋市の施策に関する説明リーフレットを、健康福祉局と共同で1月中につくる。リーフレットは野宿者用として一般的に使用する。公園野宿者の今後について施策を説明するときは、保護援護生活相談員と一緒に巡回するよう努力する(リーフレットの利用等による利用可能な施策・選択肢の説明)。合同巡回は、白川公園野宿者だけでなく他の公園野宿者についても同様に実施する。」というものです。
 第2に、「野宿から居宅保護に関して」は、「白川公園野宿者のみならず、就労可能な野宿者でシェルターなどを経由しないでアパートの入居を希望した者が保護申請をした場合、一時保護所に2週間程度入所し、要保護性があり、求職活動等により就労の意欲が確認でき、健康管理・金銭管理・食事の摂取などに問題がなく、継続して居宅生活が期待され、申請者がアパートを見つけてきた場合、敷金支給による居宅保護を実施する。」、また「生活保護運用に関して問題事例があれば、健康福祉局に連絡すれば、適切な指導をする。」というものです。
 その他緑政土木局から、現時点でのシェルター入所対象者について及び年度内の公園工事についての区域の説明がありました。

(3)1月11日の話し合いについて

 話し合いに基づいて、市側はリーフレットパイロット版をつくり白川公園で緑政土木職員と保護援護生活相談員との共同巡回を行い始めました。
 こうした中で11日に話し合いがもたれました。

  1. 緑政土木局職員は相変わらず「期限が過ぎた」、「今度文書(戒告書を意味する)を配る」などと圧力をかけており、12月の合意を反古とするものであるという私たちの指摘については、市は「調査する。」と回答。
  2. リーフレットは、
    1. 「「特に立ち退きを要求する場合は、関係法令を説明し居宅保護を含む具体的な複数の代替案を示す」ことが書かれていない、
    2. シェルターや自立支援センターについては具体的で細かく説明しているが、生活保護は簡単大雑把でどういう制度かもわからない、どういう場合にどうなるか(居宅保護も)がわかるようにすべき、要保護者で生活保護を希望する人はシェルターや自立支援センターでなく保護適用をすべき、「自立を目指し、努力をしようとする方」を繰り返すことによって一部の人しか施策を利用できないかのようになっている、という指摘については、市は「検討する」と回答。
(4)早急に話し合いの場を持っていただきたい

以上の経過から、次のような検討事項があります。

  1. 圧力をかけての「説得」「話し合い」は12月合意に反するし、11日の話し合いの翌日に戒告処分を出し、話し合いによる解決の努力を無視し、更に圧力をかけることも12月合意に反する、これらは人間の尊厳に関わることである、
  2. リーフレットの中味についてどうなったか、
  3. リーフレットは野宿者一般に使うことになっていたと理解しているがその点のこと。  

  以上。