3月になって
無味無臭 |
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出産を控えた田上さんは札幌に帰り、私は私で上海に旅立つ支度をしております。
呼べよ上海。
私はこんなことを思いながらギュウギュウとダンボールに荷を詰めていくわけです。
詰めても詰めても減らない荷を前に、私は何か取り返しのつかないことをしているのでは?
とたまに不安になりますが、手元に置いてある柿ピーをごそりとつまんで口に運べば不安は霧消し、単純労働は捗ります。
先日引越しの荷詰めから開放したばかりのCDを、再度荷詰めするときの気持ちを、
晴れた日に干した洗濯物が、通り雨でみるみる濡れていくさまを見た思いになぞらえてみようとして失敗。
私は手元に見覚えのないCDがあるのに気が付きました。
この間谷中の辺りをぶらぶらしているときに、古本屋で見つけたものでしたが、その下品なタイトルは他の追随を許しません。
私は声に出して、タイトルを読み上げました。
「じーんあもんずの、ばっど!ぼさのば」
途端に気が滅入り仕事をする気が失せた私は、目の前の荷を向こう側に押し倒し、
がらくたと崩れ落ちたその上に突っ伏しながら参加ミュージシャンに目を通すと、
バッキー・ピザレリ オン スパニッシュ・ギター!
麗しのツインギター!
もう何もかもが嫌だ!
とりあえず再生し、軽快なスパニッシュ・ギターに合わせて気が済むまで踊ると、私はいつしか眠りに落ちていました。
荷造りは循環する。

