【おかもと(仮)】空想少女は悶絶中

【世にも奇妙な物語・原作】空想少女は悶絶中 (宝島社文庫)

本屋さんを散策していたら、「おかもと(仮)」なんていう、だいぶおふざけしている名前の作者さんを見つけた。
あらやだ、作品の質も透けて見えるようだわと思ったが、でもどこかで見たことあるなという気も同時にした。それもそのはず、昔作品を読んだことのある作者さんだった。正直言うと、その作品を大いに楽しんだりもした。へへへ…しょうもない嘘を吐いてサーセン。久しぶりに出くわしたが、謎の(仮)はまだ取れていなかった。
この「空想少女は悶絶中」の中を見てみると、5つの作品が入った短編集のようだった。まずは一つ目「マジ半端ねぇリア充研究記録」を読んでみた。
一人の研究者がリア充という部族の生態観察の様子を記録した日誌形式の話だ。リア充はそのまま、充実した生活を送っている若者の事だ。ただし今回はかなりチャラい部類に焦点を当てている。というかそれ以上に、文章自体がバイオハザードに出てくる研究員の日誌をそのままパロディにしたものだ。あの、かゆい…うま…ってやつ。「そんなのってヒドイよ!(出来が)」 俺は泣いた。
次にサンタクロースの話と、表題作の空想少女は悶絶中、続きの空想少女は潜伏中を読んだら、ページ数が少なくてあっという間に読んでしまった。残りは「新約 伝説兄妹!」だけである。


…ほとんど伝説兄妹じゃねーか!
この本のタイトルは空想少女は悶絶中じゃなくて新約 伝説兄妹!にすべきじゃないのかと正直思ったが、ひとまず疑惑は脇へ置いて読んでみることにした。新約 伝説兄妹、物凄い既視感を覚えた。巻末の初出を見てみると、「伝説兄妹!を加筆・修正・改題し、収録しました」と書いてあった。既に文庫で出ている伝説兄妹をそのまま収録しただけ…だと…!?
俺は既に伝説兄妹の1巻どころか3巻全部を読んでいる事を思い出し、泣いた。
しかも収録されている新約伝説兄妹を読んでみると、作中で詠まれる詩や道中の展開がどう見てもカットされていた。僅かながら期待した加筆修正の内容は、エピソードの追加ではなくて削減だった。俺は泣いた。「そんなのってヒドイよ!(2回目)」
俺は泣きながらこの本を読んだ。一つ目のお話はまさか有料でバイオのパロディを読むことになるとは思わなかったし、サンタクロースがもし現実的だったら?というギャグのお話は展開が遅くて辛かったし、空想少女シリーズは展開が遅くて辛かったし、新約伝説兄妹はうっかり同じ本を2冊買ってしまった時の哀しさのようなものを感じた。俺は泣いてばかりだ。
だが泣きながらも俺は一つの事を思い出していた。伝説兄妹は確かに昔楽しんだ作品だったと。俺はあの作品が好きだったという事を。ただし言いたいことは言ってやるもんね。
( ゚Д゚)   <チクショウだよまったく!