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第七回翻訳ミステリー大賞決定!

■名古屋読書会 7月2日 満席■
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翻訳ミステリー・イベント・カレンダー
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16 南東京読書会番外企画、ミス・マープル読書会(カフェ・クリスティ)
フランス文学 翻訳家の仕事場から 講演者:平岡敦 ディスカッサント:野崎歓 司会:澤田直(日仏会館)
30 満席(キャンセル待ち可) 第18回翻訳百景ミニイベント 柳下恭平(校閲専門会社・鴎来堂代表&かもめブックス店主)×越前敏弥


2011-11-10

書評七福神の十月度ベスト発表!

 

書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。


 そろそろ年間ランキングの噂がもれ聞こえてくる時期になりましたが、そういうことは一切無視して七人の好きな小説のことだけを書きます。ランキングに入ろうが入るまいが、いい小説はいいんですよ!

 さあ、今月も書評七福神のマイベストをお伝えします。 

(ルール)

  1. この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を事前相談なしに各自が挙げる。
  2. 挙げた作品の重複は気にしない。
  3. 挙げる作品は必ずしもその月のものとは限らず、同年度の刊行であれば、何月に出た作品を挙げても構わない。
  4. 要するに、本の選択に関しては各人のプライドだけで決定すること。
  5. 掲載は原稿の到着順。

川出正樹

『007 白紙委任状』ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳

文藝春秋

007 白紙委任状

 衣装は最新に、されど魂はそのままに。蘇ったジェイムズ・ボンドは、複雑精緻なディーヴァー印の陰謀劇の中を機略に富む強敵と相手の裏の裏を読みあいながら縦横無尽に駆け巡る。アクションと頭脳プレイが絶妙にブレンドされページを繰る手が止まらない。「翻訳ミステリを読みたいけれどどれから読んで良いかわからない」という方にも自信を持って薦めらる逸品。


千街晶之

『装飾庭園殺人事件』ジェフ・ニコルスン/風間賢二訳

扶桑社ミステリー

装飾庭園殺人事件 (扶桑社ミステリー)

 本格ミステリめかした邦題だが、本格ファンの大部分は本書の真相に怒るのではないか。とはいえ、本格ミステリに具わったパロディ精神とあくなき意外性の追求の果てには、本書のような異形の作品が必ず現れるのである。……といったお堅い話は抜きにしても、登場する奇人変人(および変態)たちの右往左往ぶりだけでも充分愉しめる小説だ。多少、毒気は強いにしても。


北上次郎

『ローラ・フェイとの最後の会話』トマス・H・クック/村松潔訳

早川書房

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)

 少年のころの夢破れて失意の人生を送っている中年男の前に、父親の愛人だった女性が20年ぶりに現れて、二人の会話がはじまっていく。構成はシンプルだが、中身は豊穣だ。今回のモチーフは、人は過ちを償うことはできるのか、だ。読み終えると私たちは愚かな生き物だが、しかし人生は捨てたものではないという感慨がこみあげてくる。いい小説だ。胸に残る小説だ。


酒井貞道

『ローラ・フェイとの最後の会話』トマス・H・クック/村松潔訳

早川書房

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)

 絶望と諦念が支配する作品を多く書いて来たクックだが、ここに来て未来に向けての希望が仄見える作品を出して来た。20年前、父母を亡くすきっかけとなった故郷での出来事の真相を、主人公は、当時の知り合いローラ・フェイとの一晩の会話を通して知ることになる。失われた時、取り戻せない過去、やり直せない現実の向こうに、温かい何かが残る。これはそういう小説です。作品中では敢えて積極的には語られない、主人公と元妻の関係も忘れがたい。親と呼べる存在を持った、全ての人に読んでいただきたい。


霜月蒼

『ウィンターズ・ボーン』ダニエル・ウッドレル/黒原敏行訳

ACクリエイト

ウィンターズ・ボーン

 口当たりは粗暴で、棘々しく喉を焼く。しかし残るのは芳醇な香りであり、酔い心地はこころよい――文明に見捨てられ文明を見捨てた僻地で醸された極上の密造酒。それが本書だ。派手な道具立ても複雑なドラマもここにはない。あるのは一個の身体と意志のみ。法にも国家にも経済にも頼らず動く少女の身体に、ハードボイルドの原初のありようが受肉しているのだ。


吉野仁

『シャンタラム』グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ/田口俊樹訳

新潮文庫

シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)シャンタラム〈下〉 (新潮文庫)

 スラム、美女、監獄、戦場……、花も嵐も踏み越えて行くが男の生きる道。上中下巻というボリュームに、インドの底辺や暗黒街で生き抜く脱獄囚白人の波乱万丈人生が濃密に描かれており、圧巻。そのほかやりたい放題で痛快無類のクレイグ・マクドナルド『パンチョ・ビリャの罠』やしみじみと読ませる復讐ものの犯罪小説マイクル・コリータ『夜を希う』なども佳作として挙げておきたい。


杉江松恋

『パンチョ・ビリャの罠』クレイグ・マクドナルド/池田真紀子訳

集英社文庫

パンチョ・ビリャの罠 (集英社文庫)

 メキシコ革命の大立者、パンチョ・ビリャの首がお宝扱いされて争奪戦が巻き起こるという序盤の展開だけでもうおなかいっぱい。首を狙って続々と敵が押し寄せてくるので「スペアの首」を準備しようと、主人公が無関係なメキシコ人の墓を暴き始めるあたりで、もうハートを射抜かれました。アーネスト・ヘミングウェイやオーソン・ウェルズ、マレーネ・ディートリッヒなど実在の人物を登場させる遊びもあり、楽しいとしかいいようがない一冊。後半がやや失速気味なんだけど、これだけわくわくさせてくれたんだから不問に付します。


 ジェフ・ニコルソンの怪作からトマス・H・クックの感動作まで、バラエティに富んだ一月になりました。来月はどんな作品が上がってくるのでしょう。お楽しみに。(杉)

 

書評七福神の今月の一冊・バックナンバー一覧

 

007 白紙委任状

007 白紙委任状

装飾庭園殺人事件 (扶桑社ミステリー)

装飾庭園殺人事件 (扶桑社ミステリー)

ウィンターズ・ボーン

ウィンターズ・ボーン

夜を希う (創元推理文庫)

夜を希う (創元推理文庫)

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