翻訳ミステリー長屋かわら版・第25号

  

 田口俊

 新年明けましておめでとうございます。

 当事務局も無事二度目の正月を迎えることができました。これもひとえにみなさま方のご支援ご協力の賜物です。改めてご挨拶、御礼申し上げます。

 さて、第三回「翻訳ミステリー大賞」選出に向けて、候補作五作も出そろいました。どれも甲乙つけがたい秀作ぞろいです。翻訳者のみなさまには第二次投票をよろしくお願いします。第一次投票は見送られた方々からもおひとりでも多くご投票いただければ幸いです。

 授賞式およびコンヴェンションの日取りも四月十四日(土)と決まりました。会場は一昨年と同じ本郷の鳳明館です。詳細は追ってお知らせしますが、これまたおひとりでも多くの方々のご参加をお待ち申し上げます。

 尚、授賞式をはじめ党事務局の活動費はみなさまのカンパ、当サイトのアフィリエイト収入で賄わさせていただいております。当サイトで紹介された書籍は当サイトを通じてご購入いただければ、それがアフィリエイト収入となりますので、今後ともご利用いただきたくお願い申しあげます。

 ご挨拶、御礼と言いながら、お願いごとばかりになった上に末筆になってしまいましたが、今年一年、みなさまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。

(たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬とパチンコ)


    横山啓明

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。


新しい年になりました。
昔は、大晦日に区切りのような
ものがあって、新年を迎えるとなにかが
変わったような気がしたものです。
今は、そういう感覚が希薄。あっ、これ、
年をとったということ?


年末にヴァル・マクダーミドの長篇の
翻訳を仕上げ、大掃除、正月の買出し、と
バタバタしているうちに気がつけば年が
明けていました。ゆっくりと読書といきたかった
のですが、数ページ読むごとについうとうと。
寝正月になってしまいました。


4日からジョギングと仕事を再開。
まぁ、寝正月もリフレッシュ休暇ということで、
よしとしましょう。

(よこやまひろあき:AB型のふたご座。音楽を聴きながらのジョギングが日課。主な訳書:ペレケーノス『夜は終わらない』、ダニング『愛書家の死』ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』アントニィ『ベヴァリー・クラブ』ラフ『バッド・モンキーズ』など。ツイッターアカウント@maddisco


 鈴木恵

 明けましておめでとうございます。新年初読書は噂の大作『シャンタラム』。おかげで初夢はずいぶん暴力的な内容でした。
 それにしても濃〜い小説ですね。物語だけでも十分に波瀾万丈だというのに、「善と悪とは?」「愛と憎しみとは?」と理屈がてんこ盛り。淡泊野郎の私なんぞはちょっぴり辟易するときもあるんですが、こちらの嗜好などおかまいなし。力ずくで最後まで引っぱっていく腕力は圧倒的でした。この濃さも、著者のこんな写真(→画像1)とか、こんな写真(→画像2)を見ると、不思議に納得しちゃいます。とくにこれ(→画像3)なんか主人公のイメージそのまま。臆面もないこのナルシシズム、やはりただ者じゃありません。前日譚・後日譚を加えた4部作になるという噂もあるとか。楽しみです。

(すずきめぐみ:文芸翻訳者・馬券研究家。最近の主な訳書:『生、なお恐るべし』『ピザマンの事件簿2/犯人捜しはつらいよ』『ロンドン・ブールヴァード』。最近の主な馬券:なし orz。ツイッターアカウント@FukigenM


    白石朗

 2011年も押し詰まった晦日に、Cemetery Dance社発行のスティーヴン・キング『IT』の25周年記念の750部限定版が届きました。横20cm×縦28cm×厚さ8.5cmの函にはいった大判のハードカバー、本文2色刷りでフルカラーとモノクロの挿絵入りで、もちあげるたびに腰に響く重さも凝った造本もうれしい、宝物のような本です(画像4枚→ http://t.co/Vug463RN http://t.co/oOyrhto0 http://t.co/LestIu7m http://t.co/7oX8S0EU)。
 キングのそれまでの集大成ともいうべき『IT』ですが、プライベートでも特別な作品です。初めての海外旅行で行ったニューヨークの八番街56、大学時代から通信販売で利用していた The Science Fiction Shop という小さな専門店で刊行間もない単行本を買った日の光景は、きのうのようにまざまざと――は嘘で、おとといのようにぼんやりと覚えています。
 帰りの飛行機の機内でそそくさとデリーの街を訪れてから25年ですか。年をとるわけだ。デリーは、そのあとも何度か訪れている街ですが、これからもまた、思いもかけず足を運び、うれしい再会を果たせそうです。

しらいしろう:1959年の亥年生まれ。進行する老眼に鞭打って、いまなおワープロソフト「松」でキング、グリシャム、デミル等の作品を翻訳。最新訳書はデミル『ゲートハウス』、キング『アンダー・ザ・ドーム』。ツイッターアカウント@R_SRIS


  越前敏弥

 今年は新しいシリーズや新連載がはじまったり、仕事の環境がいくつか大きく変わったりと、いささかあわただしいけれど、知命の大台に乗ったこともあり、この先に自分ができることとできないことをそろそろ見きわめて、むやみに量をこなすよりも質を落とさないことを心がけたいと思っています。詳細はいずれまた。雀百までス×ベを忘れない偏屈者ですが、今年もどうぞよろしく。

(えちぜんとしや:1961年生。おもな訳書に『解錠師』『夜の真義を』『Yの悲劇』『ダ・ヴィンチ・コード』など。趣味は映画館めぐり、ラーメン屋めぐり、マッサージ屋めぐり、スカートめくり[冗談、冗談]。ツイッターアカウント@t_echizen


 加賀山卓朗

 年末に内藤陳さんが亡くなられた。『読まずに死ねるか!』のシリーズには、私も本当にお世話になった。背中をどやされるようにして読んだお薦め本は、どれもこれも面白かった。
『無頼の掟』日本冒険小説協会の外国軍賞をもらったときには、熱海で開かれる大会に初めてお邪魔した。いただいた賞状には、会長ご自身の墨筆であふれるような思いが書きこまれていて感激した。あれほど熱い賞状を書ける人はもう日本にいないと思う。あまりに愉しくうれしい会で飲みすぎ、翌日は血の気が引くほどの二日酔いだった。
 陳さん、あちらでも大いに飲んで、読んで、語ってください。ありがとうございました。

(かがやまたくろう:ロバート・B・パーカー、デニス・ルヘイン、ジェイムズ・カルロス・ブレイク、ジョン・ル・カレなどを翻訳。運動は山歩きとテニス)


 上條ひろみ

 みなさま、明けましておめでとうございます。


 いろいろあった2011年でしたが、長屋にも無事2012年がやってまいりました。


 かたときもわたしのそばから離れたがらないゲラ二本とともに大掃除もそこそこに年を越し、おせちは時短レシピで曲がりなりにも作ってみたものの、気づけば年賀状も書いていないありさまで、これはいかんとプリンターを作動させたところ老朽化により戦力外と判明、新年早々プリンターを購入して年賀状作成。という感じの、あわただしい年末年始でした。来年(今年?)こそもっと余裕を持って準備するぞ、と毎年同じ誓いをしている進歩がないわたしです。


 ほんとは優雅に読書三昧といきたかったのに……ともあれ、今年もおもしろい作品にたくさん出会えるといいな。第三回翻訳ミステリー大賞の行方にも興味津々です。


 拙訳書のほうは、今年もカレン・マキナニーの「朝食のおいしいB&B」シリーズ四作目、ジョアン・フルークの「お菓子探偵ハンナ」シリーズ十三作目など、甘いもの攻撃がつづきそうです。


 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(かみじょうひろみ:神奈川県生まれ。ジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ・シリーズ〉(ヴィレッジブックス)、カレン・マキナニーの〈朝食のおいしいB&Bシリーズ〉(武田ランダムハウスジャパン)などを翻訳。趣味は読書とお菓子作り)
 

■翻訳ミステリー長屋かわら版・バックナンバー■


シャンタラム(上) (新潮文庫)

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シャンタラム(中) (新潮文庫)

シャンタラム(中) (新潮文庫)

シャンタラム(下) (新潮文庫)

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IT(1) (文春文庫)

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IT(2) (文春文庫)

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IT(3) (文春文庫)

IT(3) (文春文庫)

IT(4) (文春文庫)

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読まずに死ねるか! (集英社文庫)

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無頼の掟 (文春文庫)

無頼の掟 (文春文庫)