東京創元社 3月の新刊

『サクソンの司教冠(ミトラ)』/Shroud for the Archbishop
ピーター・トレメイン(Peter Tremayne)/甲斐萬里江・訳
創元推理文庫/定価1365円(税込)/3月10日/ISBN:978-4-488-21816-4
フィデルマはローマにいた。ウィトビアの事件を共に解決した、サクソン人のエイダルフが随行員として加わっている、カンタベリー大司教指名者ウィガードの一行と同行していたのだ。ところがウィガードがローマで殺され、犯人はどうやらアイルランド人修道士らしいことが判明。アイルランドとサクソンの争いが再燃しかねない事態に、フィデルマとエイダルフが再び調査にあたることになった。美貌の修道女フィデルマが縺れた謎を解く。解説=若竹七海

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)


修道院の第二の殺人』/Enter Second Murderer
アランナ・ナイト(Alanna Knight)/法村里絵・訳
創元推理文庫/定価945円(税込)/3月10日/ISBN:978-4-488-27719-2
煙ただよう古都(オールド・リーキー)、ヴィクトリア朝エジンバラ。パトリック・ハイムズは修道院で働く妻と、そこの学校の教師だった女性を殺した罪で絞首刑に処された。しかし、彼は妻の殺害は認めたが、第二の殺人は頑として否認したまま死んだのだった。彼の最後の訴えを聞いたファロ警部補は、新米医師である義理の息子のヴィンスと再捜査を始める。歴史ミステリの大家が贈る、軽快な犯人捜し(フーダニット)!

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)


『蝋人形館の殺人』/The Corpse in the Waxworks
ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)/和爾桃子・訳
創元推理文庫/定価903円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-11831-0
行方不明の元閣僚令嬢が、他殺死体となってセーヌ河で発見された。予審判事バンコランは、彼女が最後に目撃された蝋人形館の館主を尋問したのち、その館へ赴き展示を見て回るが、そこで半人半獣の怪物像に抱かれた女の死体を発見する。頽廃の都を震撼させる異様な殺人事件の真相とは。優雅な装いの下に悪魔(メフィストフェエレス)の冷徹さと知性を秘めたバンコランの名推理。新訳にして初の文庫版。解説=鳥飼否宇

蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)

蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)


『マシューズ家の毒』/Behold, Here's Poison
ジョージェット・ヘイヤー(Georgette Heyer)/猪俣美江子・訳
創元推理文庫/定価1155円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-12712-1
嫌われ者のグレゴリー・マシューズが突然死を遂げた。すったもんだの末に検死を実施したところ、死因はニコチン中毒で、他殺だったことが判明。だが故人の部屋はすでに掃除されており、ろくに証拠は残っていなかった。おかげでハナサイド警視は、動機は山ほどあるのに、決め手がまったくない事件に挑むはめに……。巨匠セイヤーズが認めた実力派が、練りに練った傑作本格ミステリ。解説=大津波悦子

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)


本格ミステリ鑑賞術』
福井健太(Fukui Kenta)
キイ・ライブラリー(単行本)/定価1890円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-01533-6
フェアとアンフェアの境目はいったいどこにあるのか、作者の仕掛けた伏線やミスディレクションはどのように評価すればよいのか、叙述トリック本格ミステリ史のなかでどのように位置づけられるのか──エドガー・アラン・ポオや東野圭吾など、古今東西の傑作を具体例に挙げて、知れば必ず本格ミステリの面白さが倍増する鑑賞術を、余すところなく丁寧に紹介。初心者から作家志望者まで、全ミステリファン必読のガイドブック!

本格ミステリ鑑賞術 (キイ・ライブラリー)

本格ミステリ鑑賞術 (キイ・ライブラリー)

「ミステリー読書地図」って何?

 みなさん、こんにちは。翻訳ミステリー大賞事務局の杉江松恋です。
 本日は来月開催されます「第三回翻訳ミステリー大賞」授賞式記念コンベンションにおいて実施を予定しています、「ミステリー読書地図」についてご案内しちゃおうと思います。
 それって何? という方はちょっと下の画像をご覧ください。


       (クリックすると拡大します)


 とても簡単に言うと、これは紙とペンを使って遊ぶ連想ゲームです(もともとは書評家の豊崎由美さんに教えていただいたもので、豊崎さんは「本の星座」と呼んでおられました)。
 やりかたはとても簡単。
 最初に一人が作品名を書きます。上の実施例で言うと、最初は映画ランボーだったのかな?
 次の人はその題名から連想した作品を書き、二つを線でつないで「どうつながっているのか」の説明を書きこみます。「ランボー」の左に『真夜中に捨てられる靴』がありますね。〈原作者〉とあるのは『真夜中に捨てられる靴』の作者が、「ランボー」の原作『一人だけの軍隊』のデイヴィッド・マレルだったからです(ちなみに『真夜中に捨てられる靴』はこの十年間に翻訳された中でも十指に入る傑作短篇集だと思います)。
 その次の人は「ランボー」から始めても、『真夜中に捨てられる靴』からでも、どちらでもかまいません。上の例でいくと、『真夜中に捨てられる靴』からドン・ウィンズロウ『犬の力』に線が延びているのは〈中南米〉つながり。『真夜中に捨てられる靴』の中にそうした場所を舞台にした作品があるのです。「ランボー」からはコナン・ドイル『緋色の研究』に線が延びていて〈アフガニスタンから来た男〉とあるのは説明不要ですね。これは厳密には間違いで、「ランボー」ではなくて「ランボー3」が「怒りのアフガン」で、しかも〈アフガニスタンに行った男〉なのですが、まあ、そんなに細かいことはいいっこなしなのです。即興で書いて、みんなで本に関する知識を共有するのが目的なのですから。

 コンベンションでは最初にこのゲームを実施して、参加者同士で自己紹介代わりに本の知識を教えあってみてはどうかな、って思っています。
 また、これは紙とペンさえあればいつでもどこでも遊べるゲームなので、時間が空いたときなどにぜひ試してみてください。どうやってやるの? とか、もっと細かくやりかたを教えて? とかご要望があったら、コメントを頂戴できたら、お答えしようと思います。

 ではでは。コンベンションの告知は間もなくです。どうぞご期待ください。


ランボー [DVD]

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ランボー3/怒りのアフガン [DVD]

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真夜中に捨てられる靴 (ランダムハウス講談社文庫)

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