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2013-02-05

TVを消して本を読め!第三十九回(執筆者・堺三保/挿絵・水玉螢之丞)

 

第39回 ベストセラーミステリシリーズの映画化は難しい?

 

 今月は、実はまだ見てないんだけど、ものすごく気になっている映画3本を紹介したいと思います。

 それは「アウトロー」「PARKER/パーカー」「バーニング・クロス」の3本。どれもこの2月に日本で公開されます。

 この3本の共通点は、実はいずれもアメリカでベストセラーになっている、有名なミステリ小説シリーズの中の1作を映画化したものだということ。

「アウトロー」はリー・チャイルド《ジャック・リーチャー》シリーズ第9作『アウトロー』の、「PARKER/パーカー」はリチャード・スターク《悪党パーカー》シリーズ第19作『悪党パーカー/地獄の分け前』の、そして「バーニング・クロス」はジェイムズ・パタースン《アレックス・クロス》シリーズ第12作 Cross の映画化なのです。

 

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 で、リンク先の予告編を見ていただければわかると思うのですが、予告を見る限り、どの映画もけっこうおもしろそうなのですが、これがアメリカで大ヒットしてるかというとそうでもないらしいんですなあ。

 アメリカでは昨年すでに公開済みの「バーニング・クロス」は惨敗、現在(1月)公開中の「アウトロー」は健闘しているものの続編製作を決定するにはあと一歩、という感じだとか。

 アメリカでもこれから公開される「PARKER/パーカー」にはがんばって欲しいなあ。

 

 というか、《007》シリーズみたいな数少ない例外を除くと、けっこう有名なシリーズでも、映画化はうまくいかないことが多いのです。ほら、クライブ・カッスラーの《ダーク・ピット》シリーズとか、ジェフリー・ディーヴァーの《リンカーン・ライム》シリーズとか、いろいろあったでしょ。トム・クランシーの《ジャック・ライアン》シリーズも、なかなかリブートできないでいますよね。そういや、大ヒットしたとはいえ、《ボーン》シリーズは、ロバート・ラドラムの原作とはほとんど別物だし。《007》も今や原作シリーズとは全然違うものですよね。

 

 原因はいろいろあるとは思います。なんといっても、どんなに売れてる小説であっても、映画を見に来るお客さんの数と比べたら、読者数はずいぶん少ないということがあります。映画でもテレビでも「原作もの」というのは、知名度は確かに期待できるのですが、観客動員数という意味では、まだまだ確実じゃないわけです。

 

 もう一つの重大な問題なのは、映画化の脚色はすごく難しいものだということです。

 映画はだいたい2時間、長くても3時間くらいのものです。その脚本は400字詰め原稿用紙に換算すると、だいたい160〜240枚くらいでしょうか。長篇小説はどんなに短くても300枚、長ければ1000枚くらい簡単に越えてしまうわけで、その分量をいかに圧縮するかが、脚色の肝となるわけです。

 つまり、尺(上映時間)的に見て、「原作を忠実に映像化」することは、物理的に不可能だということなのです。

 

 逆に言うと、映画化における脚色の善し悪しは、原作の何を拾って何を捨てるか、にかかっているということになります。それはつまり、作品の持つ重要なテーマに絞って、ストーリーを圧縮して再構築することが必要だということで、ここでやり方を間違えちゃうと、お話の軸がぶれちゃうので、原作ファンはもちろん、初見の人たちにも見限られちゃうわけです。

 

 さて、「アウトロー」と「PARKER/パーカー」はすでに原作が翻訳されています。昔「見てから読むか、読んでから見るか」なんて宣伝文句がありましたが、映画のスタッフが、原作のどこを残してどこを捨てることで、2時間のお話として成立させたのか、それは上手く機能してるのか、なんてところに着目して、比較してみてはいかがでしょう。

 いろいろ発見があることはまちがいないですよ。

〔挿絵:水玉螢之丞  

 

 

「アウトロー」予告編

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「PARKER/パーカー」予告編</span

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「バーニング・クロス」予告編

 http://cinema.pia.co.jp/trailer/161453/

 

堺 三保(さかい みつやす)

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1963年大阪生まれ。関西大学工学部卒(工学修士)。南カリフォルニア大学映画芸術学部卒(M.F.A.)。主に英米のSF/ミステリ/コミックについて原稿を書いたり、翻訳をしたり。もしくは、テレビアニメのシナリオを書いたり、SF設定を担当したり。さらには、たまに小説も書いたり。最近はアマチュア・フィルムメイカーでもあり(プロの映画監督兼プロデューサーを目指して未だ修行中)。最近の仕事はテレビアニメエウレカセブンAOのSF設定。最新刊は『WE3』(小学館集英社プロダクション)。

ブログ http://ameblo.jp/sakaisampo/

フェイスブック http://www.facebook.com/m.sakai1

ツイッター http://twitter.com/Sakai_Sampo

 

アウトロー 上 (講談社文庫)

アウトロー 上 (講談社文庫)

アウトロー 下 (講談社文庫)

アウトロー 下 (講談社文庫)

新装版 キリング・フロアー 上 (講談社文庫)

新装版 キリング・フロアー 上 (講談社文庫)

新装版 キリング・フロアー 下 (講談社文庫)

新装版 キリング・フロアー 下 (講談社文庫)

Kill Alex Cross: (Alex Cross 18)

Kill Alex Cross: (Alex Cross 18)

Kill Alex Cross: (Alex Cross 18)

Kill Alex Cross: (Alex Cross 18)

 

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【毎月更新】堺三保の最新TVドラマ・映画事情【USA】バックナンバー

【再掲載】第四回翻訳ミステリー大賞一次投票結果全公開!

 

 本年1月3日、当サイトにて2012年11月30日に締め切られた第四回翻訳ミステリー大賞の一次投票にて、得票のあった全83作品を公開いたしました。

 本日は改めて、その全投票内容を掲載いたします。

 

 まずは、第四回翻訳ミステリー大賞の最終候補作となった6作のご紹介。大賞作品は、この6作から翻訳者のみなさまの投票によって選出されます。配列は50音順です。

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

解錠師 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

解錠師 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

罪悪

罪悪

湿地 (Reykjavik Thriller)

湿地 (Reykjavik Thriller)

毒の目覚め 上 (創元推理文庫)

毒の目覚め 上 (創元推理文庫)

毒の目覚め 下 (創元推理文庫)

毒の目覚め 下 (創元推理文庫)

深い疵 (創元推理文庫)

深い疵 (創元推理文庫)

無罪

無罪

 

【イベント開催!!】

 上記最終候補作に関連して“第四回翻訳ミステリー大賞・候補作推薦者対抗トークバトル「私の翻ミス本命馬はこれだ!」(仮)”が、2月16日(土)に東京・新宿 LiveWire BiriBiri 酒場において開催されます。

 

 詳細はこちらの記事か、チケット販売ページをご参照ください。

 

 

 つぎは10位までの作品のうち、惜しくも最終候補作から漏れたものの、必読の作品ぞろいの4作をご紹介。これも50音順です。

占領都市―TOKYO YEAR ZERO〈2〉

占領都市―TOKYO YEAR ZERO〈2〉

ホーンズ 角 (小学館文庫)

ホーンズ 角 (小学館文庫)

鷲たちの盟約〈上〉 (新潮文庫)

鷲たちの盟約〈上〉 (新潮文庫)

鷲たちの盟約〈下〉 (新潮文庫)

鷲たちの盟約〈下〉 (新潮文庫)

 

 つづいて11位から20位までの作品をいっきょにご紹介。バラエティゆたかな作品がならんでいますね。これも50音順です。

この声が届く先 (創元推理文庫)

この声が届く先 (創元推理文庫)

三十三本の歯 (老検死官シリ先生)

三十三本の歯 (老検死官シリ先生)

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

冷たい川が呼ぶ 上 (創元推理文庫)

冷たい川が呼ぶ 上 (創元推理文庫)

冷たい川が呼ぶ 下 (創元推理文庫)

冷たい川が呼ぶ 下 (創元推理文庫)

吊るされた女 (創元推理文庫)

吊るされた女 (創元推理文庫)

天使のゲーム〈上〉 (集英社文庫)

天使のゲーム〈上〉 (集英社文庫)

天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫)

天使のゲーム〈下〉 (集英社文庫)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

破壊者 (創元推理文庫)

破壊者 (創元推理文庫)

 

 21位から30位の作品をご紹介。国際色ゆたかなラインナップになりました。配列はタイトルの50音順です。

 

居心地の悪い部屋

居心地の悪い部屋

裏返しの男 (創元推理文庫)

裏返しの男 (創元推理文庫)

バーニング・ワイヤー

バーニング・ワイヤー

マッドアップル (創元推理文庫)

マッドアップル (創元推理文庫)

わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)

わたしが眠りにつく前に (ヴィレッジブックス)

 

 さらにこちらが31位から40位の作品です。配列は50音順です。

 

火焔の鎖 (創元推理文庫)

火焔の鎖 (創元推理文庫)

極北

極北

紳士の黙約 (角川文庫)

紳士の黙約 (角川文庫)

追撃の森 (文春文庫)

追撃の森 (文春文庫)

濡れた魚 上 (創元推理文庫)

濡れた魚 上 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚 下 (創元推理文庫)

暴行 (新潮文庫)

暴行 (新潮文庫)

暴力の教義 (新潮文庫)

暴力の教義 (新潮文庫)

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

 

 そして最後に、41位から得票のあったすべての作品をいっきょにどどどっ、とご紹介します。タイトルの50音順です。

アイアン・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

アイアン・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)

アンドロイドの夢の羊 (ハヤカワ文庫SF)

エコー・メイカー

エコー・メイカー

エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)

エジンバラの古い柩 (創元推理文庫)

彼の個人的な運命 (創元推理文庫)

彼の個人的な運命 (創元推理文庫)

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ゴースト・ハント (創元推理文庫)

ゴースト・ハント (創元推理文庫)

ザ・ウーマン (扶桑社ミステリー)

ザ・ウーマン (扶桑社ミステリー)

裁きの曠野 (講談社文庫)

裁きの曠野 (講談社文庫)

シスター

シスター

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

粛清

粛清

新人警官の掟 上 (創元推理文庫)

新人警官の掟 上 (創元推理文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)

尋問請負人 (ハヤカワ文庫 NV)

尋問請負人 (ハヤカワ文庫 NV)

月に歪む夜 (創元推理文庫)

月に歪む夜 (創元推理文庫)

フランクを始末するには (創元推理文庫)

フランクを始末するには (創元推理文庫)

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)

骨の刻印 (ヴィレッジブックス F ヘ 5-2)

迷走パズル (創元推理文庫)

迷走パズル (創元推理文庫)

滅亡の暗号〈上〉 (新潮文庫)

滅亡の暗号〈上〉 (新潮文庫)

滅亡の暗号〈下〉 (新潮文庫)

滅亡の暗号〈下〉 (新潮文庫)

森の奥へ

森の奥へ

わたしの物語 (創造するラテンアメリカ)

わたしの物語 (創造するラテンアメリカ)

 

 第四回翻訳ミステリー大賞の一次投票において、翻訳者のみなさまから支持をうけた作品をご紹介いたしました。おしくも最終候補作にならなかった作品でも、だれかの心を深く揺り動かして票をあつめたことに変わりはありません。ここにならぶ数多くの作品のなかから、みなさまに新たな出会いがありますように。

 

 またすでにお知らせいたしましたが、第四回大賞の二次投票の締切、授賞式&コンベンションの日程は以下のとおりです。詳細は近日中に当サイトにて発表いたします。

 


2次投票締切:2013年4月11日(木)

公開開票式および贈賞式:2013年4月13日(土)


 

 

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