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2013-08-30

第3回埼玉読書会レポート(執筆者・東野さやか)

 

 

 みなさま、おひさしぶりでございます。例年になく早い梅雨入りから4日後の6月1日に第3回埼玉読書会を開催したものの、あれから早3か月。その間に、多治見市と並んで日本一暑かった熊谷市は、高知県の四万十市に抜かれてしまいました。いまさらレポートを掲載するのも間が抜けてるなあ、と思いつつ、ちょっと自慢したいことがあったので、のこのこと出てまいりました。それだけではナンですので、近況報告として8月初旬に開催した暑気払いを兼ねた番外読書会の様子もお伝えします。しばしおつき合いくださいませ。


 まずは本会のご報告をば。初めましての方から、すでに常連の風格ただよう方まで12名が、熊谷市の貸会議室に集まりました。課題書はマイクル・Z・リューインの『刑事の誇り』。私立探偵アルバート・サムスンのシリーズから派生した、リーロイ・パウダー警部補のシリーズ2作めです。



 まずは自己紹介がてら、ひとりひとり簡単な感想を。やはり、というべきか、ほとんどの方がパウダー警部補のキャラクターに言及します。なにしろ仕事中毒で口が悪く、頑固で無神経。部下の女性刑事に“お嬢さん”を連発するし、車椅子生活を余儀なくされているその彼女に“おれはあげくに看護人になるために、この課を五年もやってきたわけじゃないんだよ”なんて言ってしまう、いわばセクハラ&パワハラ親父なわけです。参加者からは当然ながら、「性格が悪すぎる」「コミュニケーション不足」と糾弾され、「昔の上司にこんな人がいた」「昭和ですよね」という声も。たしかに。原書が出たのが1982年で翻訳は1987年。時代を反映しているとも言えましょう。もっとも、傍若無人の親父キャラの代名詞であるフロスト警部には負けるという指摘もありました。たしかに、あちらを先に読んでいる読者は、パウダーさんくらいでは驚かないかもしれません。


 ところで、パウダー警部は女性の障害者を差別してるわけじゃないんですよ。車椅子を使わなくても歩ける男性刑事が部下として配属されても、おそらく同じような態度をとったはず。そう、誰でも平等にいびるし、相手が上司やセレブでも無神経で横柄なところは変わらず、そこが実に痛快なのです。また、なにげに部下をちゃんと見ていたりもして、そのへんを評価する参加者からは「こういう人の下で働きたい」とのコメントも飛び出しました。


 キャラクター以外の感想としては、心理描写をいっさい省いた文体に「シナリオみたい」「テレビドラマのよう」「会話から想像するしかない」との声があがり、風景描写もない点については「舞台がインディアナポリスである必然が感じられない」とばっさり。手厳しいですな。失踪人課という地味な部署でよくこれだけ話が組み立てられると評価する人あり、モジュラー型小説にいまひとつのりきれない人ありと、評価はさまざま。事件がすべて解決していないので、もやもやしたものが残ったのでしょうか。評価といえば、若いころに読んだときはぴんとこなかったけど、ひさしぶりに再読したらしみじみきたという方もいました。読むタイミングってありますよね。


 パウダー警部補と部下の女性刑事との××(伏せ字)については、当然のことながら鋭いツッコミがたっぷり。「あれは男のファンタジーです」のフォローがあったものの、全体としては不評。あの場面、必要だったんでしょうかね? そんなこんなで、ティータイムをはさんでの2時間はあっという間に過ぎたのでした。つづく懇親会では、いつものごとく本、映画、ドラマ、音楽など、いろいろに話題が飛び、話し足りない人たちは二次会でも話し込んだもよう。個人的にはマーク・ショアの『俺はレッド・ダイアモンド』をおすすめいただいたのがいちばんの収穫でした。そりゃ、レッズ・サポとしては読まないわけにはいきますまい。


 課題書を訳された田口俊樹さんは、介護で哲学者となっていらしたためお越し願えませんでしたが、事前にいろいろと質問にお答えいただき、当日の資料として配付しました。ありがとうございます。パウダー警部は俳優の高品格さんをイメージして訳したとのお答えに、なるほどーと大きくうなずきましたが、若い参加者には通じなかったかもしれません。また、なんとなんと、著者のマイクル・Z・リューインさんからは参加者あてにメッセージをいただきました! それも、「読んでくれてありがとうね」という簡単なものじゃなく、『刑事の誇り』への思いや、作中でパウダー警部補が手入れをしている農園に関する話を盛りこんだ楽しい内容にいたく感激。本当に本当にありがとうございました。


 その読書会から2か月後、暑さまっさかりの8月初旬に、読書会に名を借りた暑気払いを浦和で開催しました。通常の読書会とはちがい、最初からアルコールを飲みながらの、ざっくばらんな会です。課題書はD・M・ディヴァインの『跡形なく沈む』



 おもしろく読んだという方、あまりのれなかったが、最後でびっくりしたという方など、感想はさまざま。さいわいにも、創元推理文庫版のディヴァインは全部読んでいるという参加者がいらして、話を盛り上げていただきました。現代教養文庫から出ていたディヴァインもお持ちいただき、全員で「ほう、これが……」とひとしきり愛でる場面も(誇張してます、すみません!)。このような番外読書会も折りにふれ、開催していきたいと考えています。


 もちろん、シンジケート後援による読書会もおこなっていきますよ。第4回埼玉読書会はすでに日時と場所が決定しております。次回は熊谷を離れ、初の浦和開催となります。近いうちに詳細をお知らせしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。



東野さやか(ひがしの さやか)

兵庫県生まれの埼玉県民。洋楽ロックをこよなく愛し、ライブにもときどき出没する。最新訳書はローラ・チャイルズ『オーガニック・ティーと黒ひげの杯』(コージーブックス)とウィリアム・ランデイ『ジェイコブを守るため』(ハヤカワ・ミステリ)。


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