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2015-05-31

〈翻訳ミステリーお料理の会〉第4回調理実習レポート ピッツア奮闘記(執筆者・芹澤恵)

初夏の爽やかな風が心地よい5月中旬の日曜日、翻訳ミステリーお料理の会は第4回の調理実習を行いました。今回は、パトリシア・コーンウェルの『検屍官』シリーズから、スカーペッタのピッツアと『真犯人』でスカーペッタの姪のルーシーが“伯母さん”にふるまうワイルドライスのサラダをこしらえました。講師は毎回、調理実習のたびにかわいくおしゃれなレシピ・カードをこしらえてくれる、イラストレーターの宮崎裕子さん。ゲストには、翻訳ミステリー大賞シンジケートの企画で『検屍官』シリーズ読破に挑まれた、書評家の若林踏さんをお迎えしました。


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今回のレシピ・カード。色遣いがおしゃれです!


まずは時間のかかるものから、ということで、ワイルドライスを茹でます。ワイルドライスは、イネ科マコモ属の草の実。色は黒っぽいというか茶色っぽいというか、ごく地味め。タイ米をさらにうんと細長くしたような形をしていて……ちょっと不思議な食材です。名前にライスとつくのでお米の一種と思われがちですが、分類上はお米ではないのだとか。スローフード食材として注目を集めていて、日本でも最近では輸入食料品店やちょっとめずらしい食材を置いているスーパーマーケットなどで手に入るようになりました。パスタと同じように扱えるのですが、煮えるまでに時間がかかるのが難点。さすがスローフード食材です。そのワイルドライスをまずはチキンブロスで柔らかくなるまで茹でます。


続いて本日の主役であるピッツアの生地作りに。強力粉に薄力粉を混ぜてお湯、はちみつ、オリーヴオイルと加え、ドライイーストを投入し、塩もひとつまみ。それから今回のいちばんのお愉しみ、こねる作業にとりかかります。最初はもそもそ、べちゃべちゃしていて、さわるたびに指先にまとわりついてきますが、それにめげずにこねつづけているうちに、あら、不思議! 生地がだんだんまとまってきます。ボールから出して、今度は台に叩きつけ、さらにこね、もっとこね、またまた台に叩きつけ、ときにはパンチを見舞ったりもします。けっこうな力仕事です。スカーペッタは仕事に行き詰まると料理をする、と言っていますが、なるほど、これはいいストレス解消になります。生地を台に叩きつけるときには、憎ったらしい誰かさんを思い浮かべると、なお効果的かも。参加者のみなさんにも順番に、日ごろの鬱憤を……ではなく、生地をこねていただいたところで、最後にきれいに丸めて表面をオリーヴオイルで保護し、ボールに入れて発酵させます。今回はだいぶ温かくなってきているので、室温で放置しつつ発酵を待つことにしました。


ピッツアに使う簡単マリナラソースのデモンストレーションを見ていただき、そのあとはひたすら刻む作業に。ピッツアのトッピング用の野菜を刻み、ついでにワイルドライスのサラダに入れる野菜も刻みます。「料理はほとんどしない」とおっしゃる若林さんにも、せっかくなので、ということで包丁を握っていただきました。途中でたまねぎとニンニクにやられて、涙にくれる参加者も。トッピング用の野菜もサラダの野菜も今回は炒めて使います。ついでに、ピッツアのトッピング用のイタリアン・ソーセージも炒めます。ソーセージといってもケーシングのないものですが、これも自家製。ハーブの香りが食欲をそそります。


そうこうするうちにワイルドライスが茹であがった様子。ザルにあけて水気を切り、炒めた野菜と混ぜ合わせ、ドレッシングをかけまわして冷蔵庫に。このサラダ、『パトリシア・コーンウェルの食卓』というレシピ本によると、本当はひと晩寝かせたほうが味が馴染んでおいしい、のだとか。そろそろピッツアの生地もいい具合に膨らんできたようなので、ボールから取り出して、ピッツアの形に伸ばします。


ここで本日のびっくり、その1。今回はこれまでにピッツア店で働いたことのある方をピッツア割引きということにしましたが、その該当者がおひとり。ピッツア職人のように、生地を伸ばす際に左右の手のあいだでぱんっ、ぱんっ、ぱんっとキャッチボールのようにやりとりしたあと、空中に投げあげ、受けとめたときには丸く形のいいクラストができあがっているという技もマスターしたとのこと。これは実演していただかない手はありません。「しばらくやってないから〜」と照れつつも、軽やかに生地をさばき、高々とトス、そして華麗にキャッチ。まさに妙技としか言いようがありません。一同のあいだから、思わず感嘆の声があがりました。ほんと、お見せできないのが残念なぐらい。

この生地ですが、伸ばすときに厚めにすると、焼きあがりはふっくらもっちり。薄めにすると、ぱりっとクリスピーに仕上がります。それは各班のお好みに任せました。


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ピッツア、焼きあがりました。トッピングのボリュームにご注目あれ。


伸ばした生地にソースを敷き、トッピングの野菜とイタリアン・ソーセージを載せ、二種類のチーズを散らしてオーヴンに。高めの温度で焼くこと15分。ハーブのいい香りとともに、おいしそうに焼き色のついたピッツアが取り出されると、みなさん、自然と笑顔に。サラダを盛りつけ、さっそく試食に……と思ったところで、本日のびっくり、その2。そう言えばワイルドライスのゆで汁の入ったお鍋をまえに、ひそひそやっている班があるなあ、とは思っていたのですが、その班ではなんと、もう一品、レシピになかったスープまでこしらえていたのです。曰く「ワイルドライスの香ばしいかおりがするし、チキンブロスを使ってるし、ただ捨てちゃうのがもったいなくて」。で、ピッツアのトッピング用の野菜を一部使い、イタリアン・ソーセージを炒めた旨みの残っているフライパンを利用してスープに仕立てたとのこと。なんと、まさかの新メニュー。スタッフ一同、このアイディアにはうなりました。


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なんと、スープまで!


さて、待ちに待った試食です。あつあつの焼きたてピッツアのおいしいこと、一同しばし無言でもぐもぐ。ワイルドライスのサラダのほうも、ドレッシングにごま油を使っているせいか、ちょっぴりエスニックな味わいでこの季節にはぴったり。ひとしきり口福を味わったところで、本日のゲスト、若林踏さんにスカーペッタ・シリーズのことをうかがいます。シンジケートの連載でも触れていらっしゃいましたが、このシリーズはお仕事小説の草分け的な存在でもあります。それがまずひとつの読みどころ。加えて、それまでのいわゆる3Fミステリーと決定的に異なるのは、スカーペッタが組織の一員であるということ。組織のなかで個人がどう身を処していくのか、これは確かに興味深いテーマに思えます。組織内で最初は敵対するかに見えた相手がわりとすんなりとスカーペッタの軍門に下ってしまうのが、やや物足りないというご意見も出ましたが、それは、まあ、スカーペッタがそれだけ魅力的だという読み方もできるわけで。スカーペッタの人物像についてしばらく話に花が咲いたあと、これからこのシリーズを読むなら何作目から読むのがお薦めか、という話題に。もちろん1作目の『検屍官』から読むのがいいに決まっていますが、最新作の『儀式』がなんと21作目。今から追いつくのはしんどいなあ、と伸しかけた手を引っ込めている方もいるのではないか、ということで。実はこのシリーズ、12作目の『黒蠅』である重要な登場人物が再登場します。それを機に、というわけでもないのでしょうが、スカーペッタの年齢が数歳若返り、語りもそれまでの一人称から三人称に変わっています。途中から読みはじめるなら、この転換点以降、という手もありそう。若林さんからは「このシリーズは一作ごとに話が完結しているものとそうでないものがあって、巻をまたいでエピソードがつながっている作品はまとめて読んだほうがいいかもしれない」とのアドヴァイスが。シンジケートの連載が終わって以降の作品は未読とのことで、新しい作品については新生スカーペッタから読みはじめたという上條ひろみさんがフォロー。最近のスカーペッタは、なんと、あの人とあんな関係になって、こんなことになっているのだとか。姪のルーシーも華々しく活躍中で、今ではなにをあれして飛びまわっているのだとか。そんな話題で、これでシリーズを途中で読まなくなってしまった人たちの「しばらく読んでいなかったけど、それじゃ、読んでみようかな」心をうまくくすぐれたのなら嬉しいのですが。


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今回も豪華デザートつき。


 でもさ、スカーペッタのまわりには歳下のイケメンばかりいて、必ずスカーペッタに気がある設定になっているってどうよ? という話題で盛りあがっていたところに、今回も森嶋マリさん特製のスペシャル・デザートが登場しました。ラスベリーのケーキです。甘味と爽やかな酸味の絶妙のバランス。なんともいい味です。そうそう、このたび、森嶋マリさんのスイーツのブログが本になりました。『みんなのおやつ日記』(翔泳社)です。すてきな写真がいっぱいの、飯テロならぬ、菓子テロ本です。ページを繰るうちに、あれも食べたい、これも食べたいになること請け合いです。ご興味のある方はぜひ。


 今回のピッツア、お肉も野菜もたっぷりでボリューム満点だし、ワイルドライスもしっかり食べ応えがあります。手際よく後片付けをすませたあと、満腹のおなかをさすりながらの解散となりました。というわけで、おかげさまを持ちまして、第4回調理実習も、無事に打ち上げることができました。


 さて、次はどんなおいしいものをこしらえましょうか? 当会は、引き続きみなさまからのリクエストを募集しています。「あの作品に出てきた、こんなお料理をこしらえてみたい」というご希望がありましたら、mys.cooking@gmail.com までお寄せください。



翻訳ミステリーお料理の会、世話人一同


芹澤 恵(せりざわ めぐみ)

翻訳者。〈翻訳ミステリーお料理の会〉世話人。食いしん坊兼呑み助。自称料理好き。ありものでこしらえるシンプルな料理(別名“手抜き”)を得意とする。訳書にウィングフィールド『冬のフロスト』、パチェット『密林の夢』、サーバー『傍迷惑な人々』他。


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若林踏氏による『検屍官』シリーズのレビューはこちら


検屍官 (講談社文庫)

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真犯人 (講談社文庫)

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黒蠅 (上) (講談社文庫)

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