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2016-08-02

第15回札幌読書会レポート

 サンドイッチーズ達の自由な休日


 翻訳ミステリー大好きの方も、ちょっとは好きかも知れない皆さんもこんにちは〜。

 札幌読書会の世話人その2こと宴会担当のみほりんです。

 もう読書よりも食事のことしか考えていないんですけど……大丈夫ですかね。


 なんかこういうことをもうひとりの世話人に会場で言われたような気がしたんですよ。

「おもしろくレポートしてね♪」

 空耳アワー…ではないですよね。

 いや、それは無理でしょ……『ゴーストマン』(のレポート)じゃあるまいし……。

 こほん。うっかり心の声がだだもれに。

 失礼いたしました。


 気を取り直して。

 課題書は『ブラックランズ』

ブラックランズ (小学館文庫)

ブラックランズ (小学館文庫)

 この作品でベリンダ・バウアーを初めて知ったのですが東京旅行から札幌へ帰るまでの間に一気読みしてしまいました。

 なんといっても千歳空港から自宅までは羽田→札幌間のフライト時間と同じくらいかかるので読書にはもってこいの環境ですね。


 今回は初めて借りる会場で世話人一同もおそるおそる入室。参加される皆さまもどこかそわそわ。挙動不審の如くキョロキョロしていると面白いものを発見。

「隣で“エリート男性”との出会いのパーティーをやっています!」

 あら、そっちに行こうかしら? いえいえ、こちらにも素敵な男性がいますよ……などと談笑しながら受付をすすめているとそこに一本の連絡が。


「今サンドイッチを食べています」


 今何時? そうねだいたいね……お昼時はとうに過ぎているんですけどね。というかもう受付始まっているのですが……まさか作品にちなんでトマトサンドイッチでも食べているのでしょうか。

 違いますね、ただ食べたかっただけですね。テレビで紹介された話題のお店らしいから。

 そしてお店が混んでいたので予期せず遅れるそうですよ。読書会よりおいしい♡サンドイッチ。わかりますよ。こういう時は先に始めてましょうかね……あれ?


 今回は作品に登場する場所の名前をとって「シップコット」「ブラックランズ」「ダンケリービーコン」の3つのテーブルに分けていたのですが、なぜかダンケリービーコン・チームがガラガラ。

 なんということでしょう。なぜかそこにサンドイッチメンバーが集中していたのです。


 待つことしばし。ようやくサンドイッチーズが会場入り。口々に名前を言い、お金を払い、「やっと来た! サンドイッチ(擬人化)!」と揶揄の声があがり、「隣で婚活パーティーやってるらしいよ」と余計に混乱する情報が飛び交い、時折「私はサンドイッチは食べていない!」と叫び声が聞こえる中、世話人は千手観音状態で受付を終了させ、読書会は始まりました。

 ふぅ……ここからは3つのチームに分かれて感想を語り合います。


 では早速ディスカッションの模様を伝えてもらいましょう。この方はどうだったんでしょうか? 榎本さん〜


 はい、こちら、シップコットから榎本がお伝えします。

 この村に住むスティーヴン・ラム少年は、母と祖母、そして五歳になる弟の四人暮らし。最近は、自分が生まれる前に殺された叔父ビリーの遺体を探して荒野のあちこちを掘り返していました。

 12歳という年齢のわりに大人っぽい印象のスティーヴンには同情の言葉が多く寄せられました。ラム家の経済状況は決して良くなく、母親からの愛情も感じられない中で、大人にならざるを得なかったのではないか、とある参加者は言いました。

 健気な子どもが苦しむ話は読むのが辛い、母子の描写が息子を持つ身にはリアルに感じられる、などの意見も。

 一方、もう一人の主役、ロングムーア刑務所に服役中の殺人犯アーノルド・エイヴリーに関しては全員が口を揃えて気持ち悪いーー。

 とにかく気持ち悪い。かつて死体を埋めた荒野の写真を見て恍惚となる想像力や、写真に小さく写り込んだスティーヴンの姿に興奮して、ついにはあんなことまでしてしまう行動力とか、とにかくもう、気持ち悪い!

 とにかく気持ち悪いエイヴリーからビリーの遺体を埋めた場所を聞き出そうと刑務所に手紙を送るスティーヴン。刑務所の検閲をくぐり抜けておこなわれる二人の手紙のやり取りがスリリング。と同時に母親レティが手紙の送り主を息子のガールフレンドと勘違いしてやきもきする場面(12歳の息子が女の子を妊娠させたんじゃないかと心配するってどうなの)にシチュエーション・コメディの雰囲気を感じた参加者もいました。

 少年と殺人犯の文通の行き着く先は、参加者の予想を裏切るものだったようですが、否定的な意見は出ませんでした。運命や因縁を感じさせる終盤のある場面に、おやっと感じる参加者が多数。

 その他、スティーヴンの親友ルイスがジャイアンぽい(サンドイッチのいいほうをいつも勝手に食べちゃう)。スティーヴンと同じ学校に通うフードの三人組が一番怖い(理由のない暴力、というか犯罪じゃん)。サイコキラーが出てくるわりに、残酷な描写が執拗でなく抑制が利いている。王室の話が出てくるまで、現代が舞台で、しかも場所がイギリスだと思わなかった(アメリカだと思っていた)などの感想が挙げられました。

 以上、電車の中で最後のページを読んでひそかに目頭を熱くしていた榎本がお伝えしました。みほりんさんにお返しします。


 はい、ありがとうございました。あらためましてブラックランズチームのみほりんです。

どうやら一部の方々が隣の「エリート男性との出会いのパーティー」に吸い寄せられているので呼んできますね。ええ、こちらも素敵な老若男女勢ぞろいです。

 ブラックランズチームでは、

スタンド・バイ・ミーといい、少年は死体を探すのが好きなのか

・家族の再生物語だと思った

など家族について語られていたかと思うと、犯人については、

・変態能力半端ない。妄想で楽しめるタイプ

・潔癖症というあたりで○○爆弾の想像がついた(※ネタばれになるので伏字にします)

・手紙は良く見るとアルファベットの大小が違う

・サイコな凶悪犯がコントロールしていく感じが「羊たちの沈黙」を彷彿とさせた

・自ら犯人がじらしてく感じ

・変態描写がすごい

などと犯人に関する描写がエキサイト。

 母親目線で読んで、主人公が心配でたまらない! という愛情あふれる意見もありました。

 主人公と殺人犯がなんと文通してしまうのですから、それはお母さんなら(?)心配でたまらないですよね……。この文通がスリリングなのですが。

 母の思い(?)は止まらず

「けなげ」

「でも無謀」

「うっかり写真に写っちゃうところなんて『だから言ったのにっ(もうっ)!』って言いたくなる」

と続きます。

 しかし、こんな意見も。

・狙撃者の出方が唐突に思えた

・警察がちゃんと仕事していない

・いじめられるシーンが読んでいて結構つらかった


 さてサンドイッチーズで賑やかなそちらはどうなっているでしょうか。

 ではみなさんも一緒に呼んでみてください。

「ダンケリービーコン・サンドイッチ」チームのみなさん〜♪


 はい、こちらはダンケリービーコン、主人公スティーヴンが“やっちまった”写真を撮った思い出の地です。お伝えした諸事情によりこの地名は新たなサンドメニューの名称に化けてしまいました。美味しそうですDBサンド。中に何が入っているのか考えたくもありません。

 さて、こちらでは全く予想外の展開が繰り広げられています。皆さんの声を聞いていただきましょう。

「子供を犠牲にするテーマは好きになれません」

「遺体を掘るという着想は面白いけどリアリティが感じられません」

「フード三人組やエイヴリーの行動が(世間に)気づかれなさすぎでおかしいと思います」

「エイヴリーは気持ち悪いけれど犯人像としてはよくあるタイプですね。今一つ魅力に欠けます。人を欺く頭の良さはあると思いますが」

「エイヴリーはあの情熱を他のことにむければよかったのに」

「スティーヴンの悲惨度を増すために健気さを小道具として使っているのが嫌です」

「(スティーヴンの)母も祖母も酷過ぎます。特に祖母。彼女がすべてを放棄して何十年もかかって家庭をダメにしてしまいました」

――でも靴下のエピソードは心温まりませんでしたか?

「あんなんじゃ足りません」

 このように軽いフルボッコ状態です。ダンケリービーコンは受難の地のようです。

 シングルマザーや貧困の問題が取り上げられている点や、手紙の解読や後半のたたみかける面白さ、といった評価する声も聞かれましたが、その間も「祖母が悪い」のシュプレヒコールがやみません。もう少し時間があるのでもうお一方、お話しを伺ってみましょう。

――いかがでしたか?

「あのぅ、おばあちゃんっていましたっけ?」

(一瞬にして鳴りやむシュプレヒコール

「私は犯罪小説、スティーヴンとルイスの青春小説の部分に着目していたのでおばあちゃんのエピソードとか全然憶えてなくって……」

 小説の読み方楽しみ方というのは本当に人それぞれであることを改めて実感いたしました。

 また「メイソン・ディングル」の名前を覚えておいた方が役に立つようです。こちらではこの名を巡ってちょっとしたアハ体験がありました。これはネタバレではありませんが、興を削ぐかもしれませんので、詳細の報告は控えさせていただきます。

 以上、読書会のためにベリンダ・バウアーをコンプリートし、今年の新刊も絶対読むぞと鼻息の荒い畠山がお伝えしました。ブラックランズのみほりんさんにお返しします。


 はい、みほりんです。

 さて『ブラックランズ』読書会、皆さん大変楽しんでいただけたようですね。


 この後、課題本決定権が行われました。

 なんと今回の課題本の条件は「田口俊樹訳」。マニアックですね〜。

 以下の作品がエントリーしました。


『獣たちの墓』(ローレンス・ブロック)

『彼女が家に帰るまで』(ローリー・ロイ)

『ステイ・クロース』(ハーラン・コーベン)

『音もなく少女は』(ボストン・テラン)

『ブラウン神父の無垢なる事件簿』(G・K・チェスタートン)


 挙手による投票は混戦を極めついに(ドゥルルル……ドラムロール)

『彼女が家に帰るまで』(ローリー・ロイ)に決定しました!


 さてこれから宴会幹事の仕切りで次の会場に向かいます。

 みなさん〜大丈夫ですか〜。

 あ…そちらは婚活パーティーの席ですよ……


 そしてさらに語りあい、読書会の夜は更けていったようです。

 以上、現場からみほりんがお伝えいたしました。


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