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2014-11-12

硬質な謎解きの華麗なスペースオペラ――ヴァンス〈魔王子〉シリーズ(執筆者・三門優祐)

 

「ハヤカワ文庫復刊希望のアンケートを募集中です!」

 

 あの、期待に胸躍らせたアンケートから早5ヶ月。来る11月末日には復刊フェアが行われるとのことだが、果たして何が入ったのか。アレかソレか、それともコレか? ハヤカワ文庫のリストを眺めながらそう思いを馳せるうち、どうにも復刊されそうもない、でも決して見逃してはいけない作品のことを思い出しました(と言っているうちに結果が発表されましたが、やはり入らなかったですね……)。そう、ジャック・ヴァンスの名作「魔王子シリーズ」(全五作)です。五冊一気に復刊するのは、それこそ神の御業でもない限り不可能でしょうが。

 

 2013年、96歳という堂々の大往生で亡くなった巨匠中の巨匠、宇宙冒険小説の達人、独特の命名センスと色彩表現で見たこともないものをまるで手にとるように描き出してみせる圧倒的な想像力と描写力の持ち主、ジャック・ヴァンスを知っていますか。彼はSF作家であると同時にミステリ作家でもある、ちょっと特殊なキャリアの持ち主です。

 本名ジョン・H(ホルブルック)・ヴァンス名義で書いた『檻の中の人間』は、エドガー賞最優秀処女長編賞を受賞していますし、エラリイ・クイーンがプロットだけ提供して、若手作家に名義を貸していた時期に、シオドア・スタージョン(『盤面の敵』)アブラム・デイヴィッドスン(『第八の日』)と並んで、クイーン名義の作品を三作書いています(残念ながらすべて未訳)。

 

 また、中編「月の蛾」は、仮面着用を義務付けられ、楽器演奏でコミュニケーションを取るという奇妙な惑星に逃げ込んでしまった逃亡者を捕らえるべく、文化事情に慣れない新任の領事が四苦八苦するという摩訶不思議な物語です。誰もが仮面をつけており、仮面を剥がすことが最大級の文化的破壊行為に当たる世界で「逃亡者はどの仮面をつけているか」を推理する特殊設定ミステリでもあります。ただし、この作品はそれほど単純なものではありません。手詰まりの状況を前提からひっくり返す苦い笑いに満ちた結末まで、実に魅力的な傑作です。河出文庫「20世紀SF」第3巻『1960年代・砂の檻』、もしくは国書刊行会から出た『奇跡なす者たち』という短編集に収録されているバージョンが読みやすいので、普段ミステリしか読まないという向きも是非手に取ってみてください。

 

 やれやれ、作者紹介で話が横に逸れすぎましたね。本題は、ハヤカワ文庫SFで翻訳紹介されたヴァンスの代表作のひとつ「魔王子シリーズ」についてでした。

 

 各巻タイトルと対応する魔王子の名前をひとまず紹介します。

 

巻数書影題名発表年魔王子
復讐の序章1964第一の魔王子:
 アトル・マラゲート
殺戮機械1964第二の魔王子:
 ココル・ヘックス
愛の宮殿1967第三の魔王子:
 ヴィオーレ・ファルーシ
闇に待つ顔1979第四の魔王子:
 レンズ・ラルク
夢幻の書1981第五の魔王子:
ハワード・アラン・トリーソング

【装画:萩尾望都/書影はクリックで拡大表示】

 

 

 3と4の間に長い休眠期間がありますが、物語はきちんと繋がっています。なお、翻訳本が刊行されたのは原書で5が刊行されたあとなので、日本の読者はアメリカの読者のように10余年も待たされるという不幸な目に合わずに済みました。ちなみに、翻訳は名人の故・浅倉久志です。

 

「故郷の村マウント・プレザントを五人の〈魔王子〉によって滅ぼされたカース・ガーセンは、もう一人の生き残りである祖父とともに積んだ十数年の修行と研鑽の末、ついに〈魔王子〉たちへの復讐を開始する」という超単純なあらすじのもと、各巻一人ずつ魔王子を撃破していく華麗なるスペースオペラ……ではありますが、このシリーズ、ミステリ読みにとってもちょっと興味深いものになっています。

 

 物語の前提として重要なのは、魔王子たちが悪名は高いものの、その素顔はほとんど知られていないということです。カース・ガーセンが復讐をするためには、まず魔王子がどういう顔をした奴なのか、そしてそいつがどこの誰かを探りださなければなりません。必然的に物語は捜査小説の様相を呈し始めます。魔王子らしき人物にあった人に聞き込みをし、その裏を取り、情報を統合することで真実へと迫っていく訳です。

 たとえば第一作の『復讐の序章』は、このモデルを忠実になぞっています。魔王子アトル・マラゲートが新発見の惑星を狙っているという噂をあるバーで耳にしたガーセンは、その星に向かう宇宙船の乗組員の中にマラゲートが潜んでいるに違いないと踏んで追跡を開始、奇妙な生態系に包まれたその星に到着後、三人の乗組員を捕縛することに成功します。そこで問題になるのが、魔王子マラゲートがスター・キングという宇宙生物で、人間の姿に化けているということでした。果たして三人のうち誰がマラゲートなのか?

 

 この謎の作り方が、「月の蛾」における「誰が仮面を被った逃亡者なのか?」という問いに良く似ていることに気付いたなら、鋭い(実は「月の蛾」も三択問題、ヴァンスはこの手の「謎」を様々な作品で使用しています)。そしてこの「謎」を解く究極の手掛かりは「魔王子はなぜ今、この罪を犯そうとしているのか」という、言わば発生前/発生中の事件の動機にありました。ガーセンはそこを上手く突いてマラゲートを炙り出し、復讐を遂げることに成功します(マラゲートもそれほど抵抗しないので、そこは意外とあっさり)。このような具合に、スペースオペラの舞台設定を使いながら、意外と硬質な謎解きを繰り広げていくのが、「魔王子シリーズ」の特徴です。

 

 例に挙げておきながら何ですが、『復讐の序章』はスペースオペラと謎解きミステリの融合を一番真っ当にやっている作品ではあるものの、シリーズの中では最も出来が落ちる作品です。以降の、形式としては不格好な作品の方が実は遙かに面白い。それは、おそらくマラゲートの動機が(切実ではあるものの)あまり面白くないからでしょう。強烈な動機を備えた魅力ある犯罪者ほど、やはり深い印象を残すもの。そういう意味で、シリーズ最強と言えるのが、第四作『闇に待つ顔』に登場する第四の魔王子、レンズ・ラルクです。「巨鳥」とも呼ばれる彼の生涯最大の事業の目的は、物語の最後、本当に最後の一文で明かされますが、その瞬間脳裏に浮かび上がるレンズ・ラルクのおぞましい顔はおそらく一生忘れられないでしょう(笑)。やられたなあ。

 出来ればネタバレは避けたいので、是非作品に当たってみてください。

 

 各魔王子についてはまだまだ語りたいことがありますし、ガーセンが実は魔王子以上に悪辣なやり方で怨敵を追いつめていく過程(嗚呼、可哀そうなココル・ヘックス)も凄絶にして爆笑ものなので、是非お伝えしたいところです。だがそれでは文字数がいくらあっても足りないし、読書の楽しみを奪いかねないので、この辺にしておきましょう。

 

 あと、旧版の表紙が萩尾望都の手になるものであることは付記しておきたい。『愛の宮殿』の美しくも頽廃的な作品イメージを見事に写し取ったイラストは抜群に素晴らしく一見の価値ありです。これは万が一復刊されたとしても変わってしまう可能性が高いけれど……

 

 ところで、「マグナス・リドルフ」シリーズの短編集が入るとの噂のあるジャック・ヴァンス・コレクションの刊行はいつごろになりますか? 聞くところによれば、マグナス・リドルフはカース・ガーセンが魔王子すべてを打ち破ったあとの姿とのことで、出来れば一緒に楽しめるようにしていただきたいところです。

 

三門 優祐(みかど ゆうすけ)

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 1986年生まれ。フリーの兼業読者。他人の不幸で飯がウマい。クラシック・ミステリ愛好者。ツイッターアカウントは @m_youyou

 本年末にアントニイ・バークリーの新聞書評をまとめた同人誌を発行予定。詳細はこちらのツイッターアカウントをご覧ください。⇒ @ABC_reviews

 

奇跡なす者たち (未来の文学)

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竜を駆る種族 (ハヤカワ文庫SF)

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ノパルガース (ハヤカワ文庫SF)

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2013-06-11掲載:【追悼】ジャック・ヴァンスのミステリー作品リスト(執筆者・白石朗)

2013-05-28

疲れを忘れるくらい疲れることをする人たちのお話『ウィンブルドン』(執筆者・三角和代)

 

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「疲れを忘れられる本――とのことですが、ほっとできる心あたたまるお話にいたしましょうか、

それとも、自分の疲れを忘れるくらい疲れることをする人たちのお話がよろしいでしょうか」

 

 って訊かれたら、後者が気にならない? 4月のコンベンションの企画、こんな本を読みたいという注文に対して、ミステリのエキスパートたちがお薦めをしてくれる執事カフェ「ナゾー」におじゃましたときのこと。漠然としたオーダーに、川出執事がこちら好みのお菓子を銀器に盛りつけるがごとく紹介してくださった2冊のうちのひとつが、ラッセル・ブラッドン『ウィンブルドンでした。70年代後半に書かれた本。うん、たぶん読んだことがない。残念ながら品切れ状態で、速攻でポチりましてよ。

 

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ウィンブルドン (新潮文庫)

ウィンブルドン (新潮文庫)

 

 オーストラリアとソ連の男子テニス選手が運命的な出会いを経て無二の親友となり、ウィンブルドンでの対戦の際にある陰謀に巻きこまれ、長い試合を強いられる、という内容。運動はからきしのわたしでもスポーツの臨場感と、陰謀阻止のため奔走する警察側の緊張感にすっかり飲みこまれる。

 といっても、全体を包む空気は明るい。ワイルドキャラと天使キャラの主役のゲイリー・キングとヴィサリオン・ツァラプキンの設定が見事だから。でね、これはまぎれもない恋バナでもあるの。前半はツァラプキンの去就にからんだアクションはあるものの、サスペンスじゃないところが読みどころ。才能ある人が努力の先にある場所までたどり着くための苦悩(ルビ:プロスポーツ)&青春小説として抜群だし、ツァラプキンがいじらしくて……。この感じどこかで読んだことがある、と思ったら、マリみてだと気づいて膝を打ちました。突然の「決勝が終わったら、僕は君に○○○するよ」のセリフは紅茶3メートル噴射ものだから。

 後半に描かれるひとつの試合/陰謀部分はコート、犯人、警察、主役を取り巻く人々の場面切り替えも巧みで、現実の時間を忘れさせる。テレビ放映の解説者たちの呼吸の妙も言及しないではいられないし、ラストもきれいに回収して終わるんですよ。

 

 キングの家族が勇敢だったり、女王陛下が最強だったりする背景には、オーストラリア人の著者ブラッドンの故郷へ、そしてのちに拠点としたイギリスへの想いがあるのかな。95年に亡くなっているブラッドンはノンフィクションやSFも書いていて、邦訳はフィクションについてはこれだけ。twitterで教えていただいたのですが、本作はコミック化されていて、そちらの小野弥夢『天使の賭け』はロマンス要素多めの仕上がり

 

 あれ、そういえばわたし疲れていたっけ?

 

 そこも大事だが、もっと大事なことがある、どうしてこれが品切れに。感想をつぶやいたら、あれはいい作品だよねと複数の反応があったし、こうして記事を書きませんかというオファーにほんとうにもうほいほいと書きますとも、とお返事していたくらい、サスペンス・ファンも、スポーツ好きも、青春小説に目がない人も、王室フリークも、もちろん腐のみなさんも、どこかしら語りたくなるポイントがある本なのです。読書会の課題書にしたい。でも入手しやすさ等々を考えると、古書はむずかしいのですよ。ミステリの神様、どうかお願い。

 

 ところで、最初の質問の「ほっとできる心あたたまるお話」も気になっていたりします、川出執事。

 

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三角 和代(みすみ かずよ)

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 ミステリと音楽を中心に手がける翻訳者。10時と3時のおやつを中心に生きている。福岡読書会世話人のひとり。訳書にヨハン・テオリン『赤く微笑む春』、ジョン・ディクスン・カー『曲がった蝶番』、ジャック・カーリイ『ブラッド・ブラザー』他。

 ツイッターアカウント @kzyfizzy

 

天使の賭け (講談社漫画文庫)

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遥かなるセントラルパーク (上) (文春文庫)

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遥かなるセントラルパーク (下) (文春文庫)

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曲がった蝶番【新訳版】 (創元推理文庫)

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ブラッド・ブラザー (文春文庫)

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2010-01-13

書評家・古山裕樹のお願い

『スリーパーにシグナルを送れ』

ロバート・リテル/北村太郎訳

新潮文庫


 世界は陰謀に満ちている。

 日々報じられるニュースは、表向きのに過ぎない。

 その裏側には、さまざまな権謀術策が渦巻いている。

 わずかに表に出ている事実をつなぎ合わせれば、裏側の意外な真実を暴くことができるはずだ。

 巨大な力が、この世界の運命をひそかにコントロールしているのだ。


……と一度くらい疑ってみたことのある人は少なくないだろう。そして中には、過剰なまでに疑い続ける人もいる。

 かくして、世界有数の力を持つアメリカ政府をめぐる言説には、陰謀論がつきものだ。

 「9.11はアメリカ政府の自作自演」だとか、「アポロは実は月に行っていない、あれはスタジオで収録された映像」なんて話を耳にしたことはないだろうか。ケネディ大統領暗殺からUFO都市伝説にいたるまで、アメリカ政府は陰謀話の玉手箱である。

 そんなアメリカならではの陰謀を、お茶目なスパイ小説として描いてみせた作品として名高いのが、ロバート・リテルの『スリーパーにシグナルを送れ』だ。


 時は二〇世紀。まだソヴィエト連邦が健在で、アメリカと冷たい戦争を繰り広げていたころ。

 ソ連はアメリカに何人ものスリーパー(相手国の市民として暮らし、本国からの合図で動き出すスパイ)を送りこんだ。だが、彼らは相次いでアメリカ側に摘発されてしまった。かくして、KGBのスリーパー養成所教官だった通称“陶工”はその地位を追われることになる。自身の立場の危うさをよく理解していた彼は、西側への亡命を企て、やがて実行に移す。

 だが、そんな陶工の動きも、実はCIAが仕掛けた陰謀の一部品に過ぎなかった……。


 前半の柱は、左遷された陶工の逃亡劇。ただし、その合間にはCIAの“シスターズ”と呼ばれる二人組が何かよからぬことを企んでいる場面が挿入される。二人が何を企んでいるのかほとんど分からない五里霧中のまま、事態はどんどん動いていく。物語の進展とともに徐々に霧が晴れて、やがて計画の全貌が見えてくる。

 ……ん? これってもしかして、アレの話?

 ……自分がこれまで読んでいたのが、まさかそんな物語だったとは!

 そんなふうに、陰謀ものならではの「世界の隠された真実」が浮かび上がる驚きは格別だ。


 もちろん、ただ読者をびっくりさせておしまい、というだけの作品ではない。

 複雑な陰謀劇を描いていながら、本書の筆致は決して重厚ではない。きわめて軽妙、ないしは変。その軽妙さを支えているのが、珍妙なキャラクターの存在である。

 例えば、陰謀を企むCIAの二人組。堂々と嘘をついて嘘発見器をもあざむくフランシスと、感情がすぐ表に出るキャロルの凸凹コンビだ。その曲者ぶりは、冒頭のわずか数ページで存分に発揮されている。

 東側の面々はさらに強烈だ。陶工の年の離れた若妻スヴェトチカは頭と貞操がいささかゆるく、陶工の愛弟子・スリーパーは自分のセックスの様子を電話でひとに聞かせるのが好きという変態さんだ。日本人に陶芸を学んだという陶工自身は、目立った奇癖がないという点で、実は本書では異色のキャラクターである。

  脇役にも変な人が揃っている。後半で活躍する、「Aで始まる難しい単語」を集めている女性。あるいは、声帯模写が得意な殺し屋なんてのも登場する。声帯模写男のレパートリーはきわめて特殊だ。「夕日が沈む音」なんて、どんな音か想像できるだろうか? 「人が死ぬときの音」に似ているらしいのだが……。


 重大な陰謀を軽妙に描いてみせたこの物語は、いわば奇異なキャラクターたちを駒にして繰り広げられる、陰謀という名のチェスゲーム。

 そんな本書にも、残念なところがないわけではない。巻末の解説だ。

 実は本書の解説、“シスターズ”の陰謀の正体を、何の断りもなしに暴露してしまっているのだ。リテルの書き方では、アメリカ人はともかく、日本の読者には何のことだかよくわからないのでは……という配慮によるものかもしれないが、本文を読む前に見てしまうのは避けたいところ。古本を手に入れて読む方は、くれぐれもご注意を。(もしも復刊されることがあれば、ここには何らかの工夫をしていただければ幸いです)


 ちなみに、ロバート・リテルの作品は、2009年にも『CIA ザ・カンパニー』が訳されている。1950年代から90年代に至るまでのCIAを描いた、陰謀大河小説としての風格を備えた分厚い上下巻だ。登場人物の変態度は控えめだが、パラノイアぶりでは『スリーパー〜』の上を行く。『スリーパー〜』ともども、機会があればぜひ手にとっていただきたい。


 古山裕樹

CIAザ・カンパニー〈上〉 (文芸シリーズ)

CIAザ・カンパニー〈上〉 (文芸シリーズ)