視察研修報告「議会広報について」  幸田町へ。

平成28年8月1日
視察報告書

作成者:広報編集特別委員会委員長 堀岡敏喜

同行者: 広報編集特別委員会委員 
武田 正樹、平野 広行、炭竃 ふく代、江崎 貴大

視察期間 平成28年7月19日
視察地  愛知県額田郡幸田町
目 的  議会広報編集のあり方について


 平成28年7月19日(火)、愛知県額田郡幸田町への視察について、以下の通りご報告する。


【視察目的】
議会改革は、二元代表制において議会が正常に機能し、充分に役割を果たすための手段である。そして議会改革の成果として、市民との相互の理解と信頼関係を保ちながら行政の適正化、市民の安心安全、福祉の向上等、最小の経費で最大の効果を生むことにある。
この度の視察の大きな目的は、議会改革の取組について先例市に習い、課題を見つけ共有し、弥富市議会の更なる活性化を図る事にある。今回はその中でも議会広報編集のあり方について視察を行った。
これまで弥富市議会発行の「議会だより」は議会事務局一任の編集で行われてきた。弥富市議会基本条例に規定する第2条から第6条に基づき、情報公開と議会報告、説明責任を果たし、さらなる「ひらかれた議会」とするため、その媒体の一つである「議会だより」は、本来、議会自らが責任をもって作成編集するべきである。また編集に際して、どこまでも市民目線で分かりやすく、読みやすい編集方法を取り入れていくべきであり、当然ながらその内容の元となる議会活動そのものを活性化していく事は言うまでもない。
そういった事から、分権時代に突入した20年前から改革に取り組み、全国の地方議会から注目を集める幸田町議会の広報編集を通じた議会改革の取組は、弥富市議会にとって参考になるばかりか、当面の指標とすべき内容である。


【概要】
幸田町は愛知県の中南部に位置し、中部圏の中心都市・名古屋市から45km圏内にあり、北は岡崎市、西は西尾市、南東は蒲郡市などと接している。東西10.25km、南北10.55kmで面積は56.72k㎡。人口は本年7月1日現在で40,261名で、財政規模も弥富市と近い。
 
【視察テーマ・質問「議会だよりについて」】

① ・現在の編集体制に至るまでの経緯につい。

[回答]
平成9年12月に議会広報特別委員会を設置。以前は議会だより編集委員会として、その他の委員会として扱われていたが、議会活動を町民に周知する必要性が重視されるようになり、特別委員会に格上げされた。


  ・変革をするとき、どういう立場の人間がどのように進めたか。

[回答]
平成9年当時、印刷業を営んでいる議員が広報編集に携わり、編集作業が効率よく行われるようになった。その議員も一時は編集から離れていたが、副議長になったことにより、宛職となる広報編集の委員長に就任。さらに見やすい広報を目指す熱意が、他委員の意識改革に繋がった。

② 改選後も体制を継続するための規定などは。

[回答]
議会運営基準(申し合わせ事項)により規定されている。

③ ・議会広報完成に至るまでのプロセスについて。

[回答]
原稿の作成からレイアウトまで、一貫して委員(議員)が作業を行う。
概ね委員会の開催は以下のとおり行っている。
1回目、定例会初日、本会議終了後に開催。
   ➧編集日程、全体の紙面企画、表紙写真の検討、原稿作成の分担。

2回目、定例会閉会後、概ね5日以内に開催(2日間)
   ➧提出された原稿を読み合わせ、検討を行う。
   ➧原稿の加除修正後、見出し付け、レイアウト作成を行う。
   ➧掲載する写真を検討し、撮影等の段取りを行う。

3回目、2回目の編集会議後、約1週間後に開催。
   ➧初稿・・・ゲラ刷りされた原稿の校正を行う。
   ➧再校、色校は正副委員長、議長および事務局で行う。
 
  ・参考にしたモデルは。

[回答]
昨年(平成27年)10月に宮城県大和町議会を視察し、その後に発行したものから3点を採用(変更)した。
   ➧「こうた 議会だより」→「幸田町 議会だより」
   ➧インデックスを採用。
   ➧一般質問の入り口に中表紙を採用。

  ・作成にあたり全議員との関わりは。

[回答]
広報誌の発行に関しては、委員会に一任し原稿を作成している。
一般質問に関しては質問者の意思があるので、質問者本にが原稿を作成している。

④ 全国町村議会広報コンクールに応募することになったいきさつは。

[回答]
①の回答の通り、他の自治体議会の取組にも刺激を受け、平成12年(第15回)から応募を始めた。

⑤ 議会全体で「議会だより」に対して編集に取り組む意義、課題など、どのように共有したのか。

[回答]
現状、議会活動を住民に周知する方法として、広報誌を発行することが何よりも有効であることは全議員が共感している。議員が自分の言葉で分かりやすく表現し、手間をかけて編集にあたってこそ、見てもらえる広報誌が出来、また、全議員が編集作業を経験することにより、伝統となり継続し、そして進化を可能とする。

⑥ 住民の反応は?また住民の意見、感想などを受けるため、何か工夫されているか。

[回答]
特集記事で、町内で活動している各種団体を紹介し、併せて議会への意見、広報誌の感想などアンケートを取り、住民の声を聞いている。本年3月定例会では傍聴者にアンケートを実施している。

⑦ 今後も今以上に良いものを作っていく際に、どのようなところにアンテナを張っているか。(各議員の面識のある住民の声等)
[回答]
広報誌を読んでもらいたいのは町民であるため、今後も町民の声を聞きとってゆきたい。ただ、紙面作成においては技術面、ユニークな企画など、他市町村の広報誌や研修会などでの意見も参考にしてゆきたい。

⑧ 広報をより見やすいものに変えて、議会の中でどのような変化があったか。

[回答]
議会の傍聴者が増加した。特に一般質問であるが、今回のテーマは何か、実際の対話はどうか、議場という所がどういうものなのかなど、住民の議会への関心度は上がっているものと感じている。

⑨ 冊子としての「議会だより」以外に、議会広報として取り組まれていることは。

[回答]
議会報告会を開催している。

⑩ 運営上の課題、今後の展開については。

[回答]
定例会終了後、一か月後の発行を行っており、多忙ではあるが、現在は進め方が徹底されており、委員も準備しやすくなっており、特に問題は無い。しかし、紙面のマンネリ化を防ぐ一方で、なかなか手を付けられない現実もあるが、優良な他市町村の取組を参考に、果敢に新企画も取り入れていきたい。

⑪ 他の議会が広報誌を編集する上で、絶対取り組むべきことは。

[回答]
議会広報誌を制作する第一の目的は、議会活動を住民に知ってもらう事。
そうであれば議員が編集作業を行うことが重要である。事務局が編集する広報誌は行政的で文字も多くなり、分かりにくく読んでもらえない結果となる。
議会の何を周知したいのか、議員の言葉で明確に表現されたものは、その目的に向かって着実に進化する議会広報誌が制作される。


【所感】
以上の通り十数項目に渡る事前質問にも懇切丁寧にご回答を頂いた。最後には事前に弥富市の「議会だより」を見ていただき、幸田町の各委員から率直なご意見をいただいた。かなり厳しい意見が多かったが、これは今まで「議会だより」の制作を担ってきた事務局に対してのものではなく、議会広報の制作に責任をもって積極的に携わってこなかった弥富市議会・広報編集特別委員会への課題として受け止める。
今回の視察研修で得たノウハウを、反復に反復を繰り返し、当議会に活かし、見やすく、読みやすい、そして分かりやすい議会広報の制作をすることは勿論、その記事の元となる議会活動の本質も当然、高めていかなければならない。

以上。