自治体法制執務雑感

2009-10-02

[]飲酒運転に係る懲戒免職処分を取り消す判例について〜最高裁判決 19:46

kei-zuさん経由(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090928)で、以前(2009年3月13日付け記事「飲酒運転に係る懲戒免職処分を取り消す判例について(3)」)取り上げた判決について最高裁の判断がなされたことを知りましたので、取り上げておきます。

元課長弁護人「妥当な判断」 飲酒運転懲戒免取り消し確定 加西市長「世間感覚とズレ」
飲酒運転懲戒免職処分を受けた加西市の元課長(58)による処分取り消し訴訟上告審最高裁が市の上告を棄却したことを受け、原告側の弁護人と被告側の中川暢三市長が25日、それぞれ記者会見を開いた。原告側の弁護人は「行為に見合ったバランスの取れた妥当な判断」と評価したが、中川市長は「飲酒運転の撲滅は時代の流れだが……」と複雑な表情を浮かべた。 
原告側の平田元秀弁護士は、姫路市北条の県弁護士会姫路支部会館で「酒気帯び運転への厳正な処分は必要だが、事案を考慮し、適切に処分することが必要」と述べ、「元課長は38年間まじめに勤めてきた。日常的に飲酒運転をしておらず、人身事故もなかった。すぐに免職とするのは、罪と罰の均衡を無視した過酷な処分」と振り返った。 
元課長は会見に出席しなかったが、平田弁護士によると「ほっとしています」と話していたという。 
一方、中川市長は市役所で「全国の自治体運営に大きな影響を及ぼす重大なテーマと判断し、争ってきた」と上告の背景を説明。決定に伴い、10月上旬に開く懲戒審査委員会で処分基準の見直しと、元課長に対する新たな処分を検討するとしたが、「飲酒運転の撲滅に国を挙げて取り組む中、時代の要請や世間の感覚からズレた決定と受け止めている」と悔しさをにじませた。 
元課長は、2007年5月、休日に焼き肉店でビールなどを飲み、酒気帯び運転で検挙され、懲戒免職処分となった。市は上告棄却が決まった翌日の19日から復職扱いとし、今後、07年5月にさかのぼって職員としての身分を復活させる。元課長は、このまま退職しても未払いの給与・手当約2000万円と退職金約2400万円が支払われるという。(2009年9月26日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hyogo/news/20090926-OYT8T00056.htm
(参考)控訴審判決時の記事
飲酒運転職員の懲戒免職、二審も認めず 大阪高裁判決
加西市の元課長と神戸市消防局の元消防士長を、酒気帯び運転を理由に懲戒免職とした処分の適否が争われた2件の訴訟控訴審判決で、大阪高裁は24日、いずれも「過酷だ」として一審神戸地裁に続いて、処分を取り消すとの判断を示し、両市の控訴を退けた。 
判決理由島田清次郎裁判長は「免職による損害は甚大、公務員の半生を棒に振らせるに等しい」と指摘。「原則免職」とする指針や運用そのものは「過酷ではない」としたが、個別事情を総合的に考慮してバランスを欠くことがないよう、行政側に慎重な対応を求めた。 
飲酒運転厳罰化社会的制裁が強まる中、この日の判決は論議に一石を投じそうだ。 
判決によると、加西市の元課長は2007年5月の休日、昼食時に飲酒。その後、呼気1リットル当たり0.15ミリグラムのアルコールを検出する酒気帯び運転で摘発された。 
島田裁判長は「公務員としての自覚が足りないと厳しく叱責(しっせき)されなければならない」と非難。その上で、ほかの違法行為の処分とのバランスや、自治体によって処分にばらつきがある点も考慮した。また、07年3月、出勤途中に物損事故を起こし、酒気帯び運転で摘発された神戸市の元消防士長について、高裁判決は、前夜に飲んだアルコールが、10時間近くたっても分解されずに残ったケースと認定。「飲酒運転の認識があったとするには疑問がある」と指摘した。
判決内容精査し対応 神戸市消防局の話 判決内容を精査の上、対応を考えていきたい。
上告し判断を確認 加西市の話 司法判断を確定するためにも、上告して最高裁の判断を確認したい。(2009年4月25日 神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001856318.shtml

判決文自体を見ていないので、何ともいえないが、今のところ私の基本的な考え方は、上記記事で述べたところと変わっていない。むしろ、原告側代理人の「すぐに免職とするのは、罪と罰の均衡を無視した過酷な処分」といったコメントを見る限り、少なくとも当事者は、刑事処分と行政処分を混同しており、懲戒処分というものをきちんと理解していないように感じられるのである。

しかし、最高裁判決が出された以上、実務はそれに合わせていかなければならないだろう。

今後判決文を見ることができたら、改めて触れることにしたい。

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