書き振りが気になる規定の例(10)

次の規定は、「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」第7条の規定である。

(登録の申請)
第7条 前条の登録(第15条、第16条、第17条第2項及び第3項並びに第22条第1項第1号ニを除き、以下単に「登録」という。)を受けようとする生産者団体は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を農林水産大臣に提出しなければならない。
(1) 生産者団体の名称及び住所並びに代表者(法人でない生産者団体にあっては、その代表者又は管理人)の氏名
(2) 当該農林水産物等の区分
(3) 当該農林水産物等の名称
(4) 当該農林水産物等の生産地
(5) 当該農林水産物等の特性
(6) 当該農林水産物等の生産の方法
(7) 第2号から前号までに掲げるもののほか、当該農林水産物等を特定するために必要な事項
(8) 第2号から前号までに掲げるもののほか、当該農林水産物等について農林水産省令で定める事項
(9) 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
2・3 (略)

この規定を受けた省令の規定は、次の「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律施行規則」第6条の規定である。

(申請書の記載事項等)
第6条 法第7条第1項第7号の農林水産物等を特定するために必要な事項は、次に掲げる事項とする。
(1) 申請農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
(2) 申請農林水産物等がその生産地において生産されてきた実績
2 法第7条第1項第8号の農林水産省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
(1) 申請農林水産物等の名称について法第13条第1項第4号ロの該当の有無
(2) 申請農林水産物等の名称について法第13条第1項第4号ロに該当する場合には、次に掲げる事項
イ〜ト (略)
3 法第7条第1項第9号の農林水産省令で定める事項は、同条第2項の規定により申請書に添付すべき書類の目録とする。
4 (略)

この申請書の記載事項に係る省令への委任は、法第7条第1項第7号から第9号までに区分けしており、一見すると具体的な委任の仕方であり、好ましい書き方にも見えるが、省令の規定を見ると同項第7号と同項第8号を分けて書いた意味がよく分からないし、結局のところ同項第9号の規定があるので、ここまでこだわって書く意味がどれほどあるのか疑問が無くもない。
農林水産物等に関することも委任するのだということを明示して同項第7号から第9号までをまとめて書くのであれば、「前各号に掲げるもののほか……」とすることができないので、「その他」が重なるが、第7号として次のように書くことができるのではないだろうか。

その他当該農林水産物等その他の事項*1について農林水産省令で定める事項

*1:「その他当該農林水産物等を特定するために必要な事項その他の事項」としてもよいだろう。