「同法」とできないだろうか

会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第91号)
水産業協同組合法の一部改正に伴う経過措置)
第80条 この法律の施行の際現に前条の規定による改正前の水産業協同組合法以下この項において「旧水協法」という。)第34条第11項(旧水協法第92条第3項、第96条第3項、第100条第3項及び第100条の8第3項において準用する場合を含む。)に規定する者に該当する者を監事に選任している水産業協同組合(漁業生産組合を除く。)の監事については、この法律の施行後最初に終了する事業年度に関する通常総会終結の時までは、前条の規定による改正後の水産業協同組合法以下この項において「新水協法」という。)第34条第11項(新水協法第92条第3項、第96条第3項、第100条第3項及び第100条の8第3項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 (略)

上記規定では、法律の略称が2か所置かれているが、2か所ともその略称を用いているのは、1か所だけである。そのため、これを「同法」と置き換えることができないかどうかであるが、いずれも括弧書きの中で用いられているため、括弧書きがある場合の「同法」の用法(法制執務研究会『新訂ワークブック法制執務』P190参照)、つまり、「同法」が指している法律が何であるか疑義を生じるかどうかによって決めればよいであろう。
そうすると、まず「旧水協法第92条第3項……」の部分は、その直前に法律名を引用している部分は1か所であるから、「同法」としても疑義が生じることはなく、したがって、「旧水協法」という略称は、必要ない。
次に「新水協法第92条第3項……」の部分であるが、これは括弧内で使われているので、「同法」とした場合、直前の括弧内の法律名を指すことになるのではないかと考えられなくもないが、これは疑義が生じる例として挙げられるその逆の場合とは違うので、ここも「同法」として問題はないだろう。
したがって、上記の規定は、2か所とも略称を置く必要はないということになる。