Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

吹雪の元日

寺嫁になって約8年。山形での正月は9回目だ。寺の嫁らしいことはあまりしていないが、さすがに9回も正月準備していると”相場観”なるものは身に付いてくる。準備するもの、掃除の内容と所要時間。子供たちはどう過ごさせればよいか、等々。今年は夫の体調が悪く(といっても風邪気味だっただけだけど)、住職に寝込まれると困るので、早め早めのスケジュールで大晦日は10時には就寝。今日、夫は何とか持ちこたえた。
元日(今日)はお客様(檀家さん)120軒、1軒あたり2人が平均で、ひとり2杯(お代わり必修)なので、お茶480杯を入れた計算になる。私は次女の子守などでその1/6も入れていないが、お茶の葉300gが茶殻になった。ブラボー!
天気は大荒れだった。粉雪が一日中降り続いて、風が吹くと吹雪。
しかし、この吹雪の中、ただでさえ雪の多い高台の寺に檀家さんはよくいらっしゃってくれるものだ。視界ゼロメートル。事故が起きなくてよかった。
寺の前の県道は、除雪車が来るのが遅れて運転しにくく、視界ゼロのうえに時速20キロ。皆さんご苦労様です。一番の難所は寺に登る道(私道)だったそうだが。大きな国道は丹念に除雪されるので走りやすいが、狭い道になると除雪の優先度が低くなるらしい。
寺の境内も車が混雑して、交通整理をした。普段より皆さん車を慎重に動かすので時間がかかるのだ。雪まみれになって家に入ったら次女が私を求めて大泣きしていた。全然動じない私も強くなった。
近所の檀家さんは寺まで歩いていらっしゃるが、雪道に慣れているはずなのに、凍った道で滑っていた方(男性)。様子を想像して不謹慎ながらプッと吹き出してしまった。すみませんね、こんな日に寺に来させて。
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自然は言うことをきかない。この辺の人の忍耐強さ、謙虚さは雪と戦うことで生まれるんだろうなあ。私も謙虚にならないと。

顔と名前が一致すると楽しい

今日いらした檀家さん200名超のうち、顔と名前が一致する人の割合、約6割。私も結構すごいかも、と自分で自分を褒める。顔と名前が一致し、家族構成が浮かぶようになると、お茶を出しながらの会話も俄然楽しくなる。「お兄ちゃん、今年、中学に上がりますか」「息子さん正月は帰っていらっしゃいますか」(←もちろん山形弁で)など当意即妙な質問ができ、相手が「ほだっし(そうです)」と返してくれると嬉しい。朝寝坊したいだろう元日に、苦労して寺にいらっしゃるのだもの、こちらとしても楽しい会話をサービスしなくてはね。