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カメラ三脚購入

この夏の東京はまったくもってひどい天気で、最後に出撃したのが7月29日。丸々2か月はご無沙汰している計算で、こうなると機材に関心が向くのはいたしかたなく……(^^;

というのはともかく、ここしばらく新しいカメラ三脚の購入をずっと考えていました。

購入理由

今現在、私は三脚を2本持っています。


1つはベルボンのカーボン三脚「エル・カルマーニュ333」。全高1100mm(エレベータ使用時1450mm)、最低高205mmの小型三脚です。小型な分、推奨積載量は2kgと控えめですが、K-5IIsと普及価格帯のレンズとの組み合わせでは十分な強度。三脚自体の重さは1kgを切っていて、持ち運びも気になりません。というわけで、こちらはもっぱら野山を持ち歩くときに使っています。

もう1本は、同じくベルボンの「CX-560」(リンク先は色違いの同等品)。十数年前、一眼レフ購入前に買った三脚で、サイズの割に低価格(当時たしか1万円を切っていたはず)という理由だけで手に入れたものです。カメラの三脚としてももちろん使いましたが、出番としては双眼鏡使用時の架台としての使用の方が多かった気がします。


で、この後者の三脚なのですが、改めてスペックを確認すると全高1170mm(エレベータ使用時1500mm)、推奨積載量2kgと、「エル・カルマーニュ333」と大差ありません。プラスチック部品も多くて強度にもやや難あり……ということで、この際、より大きく頑丈な三脚に交換することにしました。


目的は従来と同じく撮影&双眼鏡固定用。さらに、できれば手持ちのミニボーグを載せてフィールドスコープ的な使い方もできるようにしたいところです。さらにさらに、現時点での具体的な予定はありませんが、ポタ赤等を使っての星野写真にも対応できるくらいの能力があればいうことありません。


これらの目的をブレークダウンすると

  • 三脚の大きさとしては、脚を伸ばしたときに最高部が目線のやや下に来る(つまり、カメラなどを取り付けるとファインダーが目の高さに来る)、いわゆる「中型三脚」の範疇のもの。
  • 重さや縮小長よりは頑丈さを重視するが、フィールドスコープ用途も考えると可搬性も多少は。
  • 運用の柔軟性を確保するため、雲台は交換が可能であること。

……といったあたりが最低限の条件になります。


これらの点を考えた結果、実績なども踏まえてマンフロットの製品が候補として挙がりました*1。具体的には以下のの二択です。

Manfrotto プロ三脚 055シリーズ アルミ 3段 + RC2付3Way雲台キット MK055XPRO3-3W

Manfrotto プロ三脚 055シリーズ アルミ 3段 + RC2付3Way雲台キット MK055XPRO3-3W

雲台とのキットにしたのは、雲台が割安で入手できるから。また、自由雲台ではなく3ウェイ雲台とのセットにしたのは、双眼鏡や望遠鏡の操作にはこちらの方が向いているためです。特に、マンフロットの3ウェイ雲台はフリクションを簡単に調節できるため、機材の重さによってはフリーストップ経緯台的な使い方も可能です。

055か190か?

マンフロットの三脚はサイズなどによっていくつかのラインに分かれていますが、中型三脚の中核をなすのが055シリーズと190シリーズです。両者は機能面ではほぼ同一で、違いは単純にサイズと耐荷重だけといってよいでしょう。しかも、その差は決して大きくないので非常に迷うことになります。

重さ

MK055XPRO3-3Wは3.5kg、MK190XPRO3-3Wは3kgで、その差は約500g。数字だけ見ると小さいように思えますが、ペットボトル1本分と思えばそれなりの違いです。実際に持って比べてみると、055の方は相当な重量感があります。安定性は間違いないところですが……。

この重量の差は、脚の長さの違いに加え、脚の太さの違いが大きく効いています。055の1段目は190の1段目より一回り太く、055の2段目が190の1段目と、055の3段目が190の2段目と同じ太さになっています。文字通り055の方が190より一回り大きく、後述する耐荷重の違いもここからきています。


ちなみに、同じ055シリーズ、190シリーズでも、カーボン製のものだとそれぞれ500gほど軽量になります。そのかわり値段は倍近くになるので、予算、そして軽さにどこまで重きを置くかによって選択肢は変わってくるでしょう。

耐荷重

MK055XPRO3-3Wは8kg、MK190XPRO3-3Wは6kgとなっています。三脚の耐荷重はあくまでも「ここまで載せても壊れない」という目安の意味合いが強く、実使用においては耐荷重の半分程度に収めるのが望ましいといわれています。ということは、前者は4kg、後者は3kgくらいまでが実用的ということになります。今のところ、手持ちの機材で最も重い組み合わせでも1.5kg前後なので、どちらも能力的には十分です。

また、もし今後ポータブル赤道儀などを使いたくなった場合も、たとえば……

雲台を外して*2手持ちの低重心ガイドマウント(520g)を装着→ポラリエ(740g)を搭載→「エル・カルマーニュ333」から自由雲台(180g)を外して取付→カメラ+レンズ(約1.5kg)を搭載

という組み合わせで合計約3kgなので、これもどちらでも対応可能です。もちろん、耐荷重の大きい055の方が余裕があるのは確か。もっともこの目的の場合、脚を伸ばさず使うのが普通であることを考えれば、耐荷重の見積もり自体はもう少し甘く考えてもよさそうに思います。

全伸高

三脚の脚を伸ばし切ったときの高さですが、MK055XPRO3-3Wは1530mm(エレベータ使用時1830mm)、MK190XPRO3-3Wは1480mm(エレベータ使用時1730mm)となっています。前述のように、三脚においてはカメラファインダー/双眼鏡/望遠鏡の見口の高さが目線の位置に来るのが理想ですが、身長約170cmの自分にとって055は少々高すぎです。「大は小を兼ねる」で、脚を縮めれば対応可能ではありますが、いちいち脚の長さを調節しなければならないのは面倒です。


というわけで、最終的に重量や全伸高を勘案してMK190XPRO3-3Wを購入しました*3。MK055XPRO3-3Wとは最後まで本当に迷ったのですが、安定性がいいとは言ってもやはり少々大きすぎる印象です。重さについても、MK190XPRO3-3Wを買って持ち帰る時にそれなりに重く感じたので、これにもう500g加わると屋外に持ち出すこと自体が嫌になる可能性が高そうです。

3kgとか3.5kgとか、天体望遠鏡に比べればどうということのない重量ですが、使用時の気合の入り具合にもよるのでしょうか……(^^;

*1:ジッツォはさすがに予算オーバー。国産三脚は雲台の作りがイマイチなのに加え、ラインナップがカーボンに偏り気味。VanguardやBENRO、SIRUIといった中国メーカーの製品は、面白いギミックを備えたものが多いものの、三脚の「基礎体力」への信頼性がどうしても……。

*2:雲台の自重がなくなる分、055では9kg、190では7kgに耐荷重がアップする。

*3:買ったのはちょうど1週間前。で、今見てみたら10月3日から「マンフロット株式会社10周年記念キャンペーン」を実施中とのこと。間が悪すぎるだろ……orz