星のつぶやき このページをアンテナに追加 RSSフィード


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2017-01-01

[]年末の後始末 21:33 年末の後始末を含むブックマーク

みなさま、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


さて、昨日のエントリで12月30日にも出撃したことに触れましたが、大晦日から元旦にかけて、その時に撮影したものの画像処理をやっていました。

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30日は、28日とほぼ同時刻に公園に機材を展開し、19時ごろから撮影開始。ターゲットはさんかく座の渦巻星雲M33です。これも以前撮ったことのある対象ですが、カタログの数値(5.5等)の割に淡く「証拠写真」以上のものにはなりませんでした。これを、もう少し見栄えがするよう撮り直そうと思ったのです。

しかし、この日は28日に比べて空の透明度が悪く、そのせいで光害の影響も顕著。しかも年末とはいえ早い時間帯なので、元々光害は激しくなりがちです。果たしてこの状態で淡いM33がまともに写るかどうか……。とはいえ、いまさら機材を組み替えてターゲットを変更するわけにもいかないので、なんとかなると信じて強行します。

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えぇと……ゴクウツリワルクネ?


その場の「撮って出し」では中心部がごくうっすらと確認できるだけ。覚悟していたこととはいえ、なかなか厳しいことになりそうです。


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22時前からはもう1つのターゲット、オリオン座の馬頭星雲を狙います。こちらも2013年の年末以来。当時は写ったこと自体で喜んでいた記憶がありますが、それから3年。さすがにもう少しきれいに撮りたいものです。

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こちらはさすがに「撮って出し」の状態でも対象が確認できます。これだけ見えていれば、あとはどうにでもなるでしょう*1


今回は先のものも含め、ISO100、15分の設定で撮影していますが、深夜に近づくに従って光害の程度は軽くなって、バックグラウンドは明らかに暗くなっていきました。もし深夜から撮り始めたなら、20分まで露出時間を延ばしても行けそうでしたが……この日も28日同様、日付が変わるころから雲が湧き出して空を覆い始めましたので、結果的には欲張らずに正解でした。

長時間露出を行うやり方は、こういう突発的な天気の変化などに弱いので、このあたりはバランスですね。


そして、撮ってきたデータを大晦日から元旦にかけて処理。まずは組しやすいと思われた馬頭星雲から。

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2016年12月30日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

3年前とは比べ物になりません。馬のシルエットの背景となっている散光星雲IC434の周辺に広がる淡いガスも見えますし、暗黒星雲の濃淡もある程度わかります。最微等級3等前後の東京都心からの撮影でこれなら、自分で言うのもなんですが上出来ではないでしょうか。

一見、背景が色ムラっぽく見えますが、この領域は星間ガスが大量にあって散光星雲、反射星雲、暗黒星雲が入り乱れているので、本当にこういうもののようです。一部、フラットが合ってない可能性もありますが、全体にわたってカラフルすぎて、正直判断がつきません。その意味で、空の暗いところで分子雲とか狙っている人たちは本当にすごいと思います。


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2016年12月30日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

お次はM33。こちらは案の定、光害カブリがひどいうえ、散光星雲と違って「色を手掛かりに星雲を抽出、強調する」といったことができないので、処理には非常に苦労させられました。それでも、ひとまず腕がしっかり見える程度にはなったので、とりあえず満足すべきなのでしょう。2015年当時のものよりは確実によくなっています。なお、今回は、清涼感を出すために腕の部分がやや青っぽくなるよう調整をしてみました。よく見かける処理ですが、多少は雰囲気が出たでしょうか?

しかしそれでも、そもそもが淡くてメリハリに乏しい星雲なので、絵としてはインパクトに欠ける印象です。あとはナローバンド撮影などを併用して、腕の中のHα領域を目立たせることができれば、また印象は違ってくるのだろうとは思います。

[]前年の積み残し 00:26 前年の積み残しを含むブックマーク

実は11月に「アンドロメダ大星雲」ことM31を撮っていたのですが、光害カブリのあまりのひどさに処理を諦めて放置していました。

しかし今回、M33がなんとかなったということで、その余勢をかってこれも処理してしまうことに。そうして出てきた結果がこちら。

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2016年11月5日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO200, 露出480秒×16コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

どうにかこうにか、周縁部の淡い腕まで抽出することができました。ちゃんと画像処理できれば都心からでも存在感は抜群です。とりあえず、過去2回(こちらこちら)よりはよく写ったかと思います。

ただ、M33もそうですが、やはり都心からだと系外銀河はなかなかの難物です。先にも書いたように「色を手掛かりに強調処理を行う」ということができないので、素の状態での画像の良しあしが最終的な画像の出来栄えを左右する感じです。

*1:この時点で、すでに判断基準が普通の人から乖離しているような気はしますが、気にしたら負け。

オヤジオヤジ 2017/01/02 09:23 昨年中、色々、技術的なご指導感謝しております。
今年も、よろしくお願いいたします。
生画像と画像処理後、お見事ですね。特に、馬頭星雲、本当に素晴らしいです。
都内の公園の生画像は納得ですが、画像処理はマジックに思えますよ。(笑)
今年は、ダークとかダークフラットとか、一度もやったことないので、トライしてみたい2017年にしたいと思います。

HIROPONHIROPON 2017/01/02 13:21 今回の馬頭星雲は、今の自分が持つ「小手先テクニック」をありったけブチ込んだので、
そう言っていただけると嬉しいです。まぁ、本当はそんな処理が必要ないような所に
行ければいいんですけどね……orz

> ダークとかダークフラットとか
面倒事も多いけど、フラットはぜひに。完璧を目指すと悩みが増えるし苦しいしで大変ですが、
たとえフラットを合わせきれなかったとしても、センサーからの読み出しに伴うパターンノイズなどを
キャンセルできるだけでも効果は大きいです。

上の写真みたいな強烈な画像処理を施すならなおさら。

ASI1600だとチップ面積が小さくて周辺減光や光害カブリの影響が出にくい上に、系外銀河など
見かけの小さい天体を狙っている分には「フラットエイド」である程度対応できてしまうので、
比較的必要性が薄いのは確かですが……。

上杉蒼太上杉蒼太 2017/01/03 08:35 あけましておめでとうございます。
昨年は大変役に立つ記事や情報を多数掲載していただいて、本当にありがとうございました。
都心からの撮影は本当に大変かと思いますが、馬頭星雲の写真は私が撮ったものよりよく写っていると思います。光害のある時はISOを下げたほうが良いのは間違い無さそうです。今度写す時試してみます。

HIROPONHIROPON 2017/01/03 23:53 こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

カメラの各種データを見る限り、感度設定を下げるとダイナミックレンジが広がるなど、飽和を防ぐ以外にも
利点がありそうです。ただ、デジカメは内部処理が完全にブラックボックスなので、常に理屈通りにいくとは
限らないのが厄介なところ。いろいろと実験してみてください(^^;

そうそう、そちらに触発されて撮ったM1、おかげさまで以前よりはだいぶマシな感じの写りになりました(^^)