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2017-02-05

[]4年越しのリベンジ 22:14 4年越しのリベンジを含むブックマーク

年明け以降、晴れの週末が多くてうれしい限り。天候不順だった昨年の鬱憤を晴らす勢いで出撃を重ねています。このあたり、「遠征」できないしないスタイルだと財布に優しくて助かります(^^;

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というわけで月没後の金曜深夜、いつもの公園へ。これで今年4回目の出撃です。

GPVの予報では、この夜は朝まで雲の心配はなさそう。一方、地上の風がそこそこあって長焦点鏡では厳しそうだったので、この日は、以前からやってみたかった別の組み合わせを試してみました。


こちらの記事の末尾に書きましたが、ビクセン屈折望遠鏡の接眼部にある「SX60→50.8アダプター」を外すと、ここを介してボーグの各種パーツを接続していくことができます。そこで今回は、【7601】M57/60延長筒SSを逆向きにねじ込み、【7459】M57→M57ADIIIで向きを逆転。その後ろに【7352】M57回転装置DXと【7108】マルチフラットナー1.08×DGを取り付けました。

これにより、焦点距離は795mm→859mmに伸び、F値も7.7→8.3に暗くなりますが、そのかわり周辺部の像が大幅に改善されるはずです。また、これだけの焦点距離があれば、比較的大型の系外銀河ならそれなりの迫力で写りますし、一方でガイドの難易度は比較的低いはず。Fが暗いといってもF10が標準のシュミカセ系に比べたら明るいですし、光軸調整の必要もないので、取り回しは案外いいのではないかと思います。


これで狙うは、まずは「しし座のトリオ」ことM65、M66、NGC3628の3つの系外銀河しし座の後ろ足の付け根付近にある、地球から約3500万光年離れた小さな銀河群です。

ここは4年ほど前に一度撮ったことがあるのですが、当時は露出の加減が分からなかったこともあり、明らかに露出不足でした。特にNGC3628は他の2つに比べて暗く、幽霊のような写り方。そこで今回も低感度&長時間露出を試みます。


そうやって出てきた結果がこちら。

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2017年2月4日 ED103S+マルチフラットナー1.08×DG(D103mm, f859mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO100, 露出900秒×8コマ

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

右下の整った形の銀河がM65、左下のやや崩れた形のがM66、真横を向いたやや暗めの銀河がNGC3628です。それぞれの銀河の表情がお互い全く違っていて、撮って楽しい領域です。

欲を言えば、M66のHα領域の色が出てくれればなぁ、とかNGC3628のディテールがもっと欲しいとかありますが、あまり欲を言ってもバチが当たるでしょう。



しし座のトリオ」撮影後は、4年前のもう1つの「無念」を晴らすべく次の標的へ旋回。おおぐま座にある「回転花火銀河」ことM101です。

これも4年前に撮っているのですが、事前に淡いとは聞いていたものの想像をはるかに超えた淡さで、当時は単なる証拠写真以上にはなりませんでした。今回は、なんとか愛称通りの立派な渦巻を捉えたいところです。


ところが、調子に乗っていたのが災いしたか、子午線超えを見越してTelescope Eastの姿勢でM101を導入しようとしたところ、カメラが架台のピラーに衝突!あわてて赤道儀を止めましたが……ギアなどに損傷がないことを祈るのみです。


子午線超え」前後の動作に関係する架台の設定を変更して再導入後、撮影を再開しますが、このトラブルで天文薄明開始までの時間がカツカツに。それでも、なんとか天文薄明開始4分後までに全撮影を終了しました。空の暗いところだと薄明にかかるかどうかは死活問題なのでしょうけど、都心の場合、元々の空が明るすぎるので、ちょっとオーバーするくらいでは影響はほとんどなかったようです*1

写り具合はちょうどM33と同じような感じで、中心部はかろうじて見えるものの、腕の部分は撮って出しでは全く分かりません。それでも、中心部すらまともに見えなかった4年前に比べると雲泥の差です。

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2017年2月4日 ED103S+マルチフラットナー1.08×DG(D103mm, f859mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO100, 露出900秒×8コマ

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

処理の結果、ようやく名前通りの立派な姿を現してくれました。撮影地点の北には渋谷新宿が控えているため、北天の天体は光害にまみれて撮影&処理が至難なのですが、どうにかなったようです。

*1:逆に言えば、常に薄暮の中で撮っているようなものですが……orz

KENKEN 2017/02/05 23:20 こんばんは!
Twitterを見ながら
「どんな宇宙が浮かび上がってくるかな〜」
なんて思っていましたが・・・

脱帽!もう声も出ません!
以前からも格段の進歩
マゾさココに極まるって感じでしょうか
(当然褒め言葉です 笑)
NGC3628の暗黒帯もよく出ていますね〜

色々な技術と努力の積み重ねとは思いますが
自分も荒川の土手から試してみたくなります(笑)

th2546th2546 2017/02/06 09:38 トリオ、回転花火共に素晴らしいですね。私も両方とも自宅から挑戦した事がありますが画像処理がなかなか大変で直ぐ放り投げてしまいます。

忍者忍者 2017/02/06 10:48 トライアングルは大変きれいで、4年前以降の研究成果はすごいですね。そこを垣間見たくお教え願えないでしょうか。RGBを分割して処理をしていると伺いました。私もやってみようとNIK CollectionのSilverEfexProで分割をやろうとしましたが、天文ガイドの説明通りにいきません。当ツール以外で処理をされていますか?

MattMatt 2017/02/06 20:16 HIROPONさん
いつも楽しくタダ見させておりました。
初めてコメントさせて頂きます。 自営ブログではDeepskyadventurerを名乗ってますが、長いので Matt と名乗らせてください。

それにしてもISO100で900秒って貴方様は一体何者でしょう??
都心の光害地近くということで仕方ないかもしれませんが普通の人は諦めるとおもうのでがすが、きちんと素晴らしい作品に仕上げる技術は脱帽です!!
この回転花火銀河には参りました。 これからもきれいな作品を期待してます。

HIROPONHIROPON 2017/02/06 21:28 KENさん>
ようやく積年の恨み……じゃなかった、課題をひとまずはクリアできた感じです。
特にM101は案の定、難敵でした……orz

NGC3628は、シーイングのいい時に長焦点で狙ってみても面白いかもしれませんね。
もっぱらトリオでの撮影ばかりで、これだけをクローズアップしたものって案外見かけない気がします。

HIROPONHIROPON 2017/02/06 21:31 th2546さん>
確かに処理は大変で、かなりインチキ臭い手段を重ねてようやく、といった感じです。
ここでは縮小されているので目立ちませんが、実物を見ると結構アラが……(^^;

ただ、逆に言えば、縮小前提なら破綻寸前でも誤魔化しようはあるということで、
高望みしなければそれなりに見られるものにはなると思います。

ガチで雑誌入選を目指すような方向ばかりだと気疲れしてしまいますから、
このくらいユルいのも楽しみ方としてアリかと思ってます( ̄▽ ̄)

上杉蒼太上杉蒼太 2017/02/06 21:45 とても素晴らしい写真ばかりで感激しました。系外銀河スキーにはたまりませんね。しし座の銀河トリオといい、M101といい春になったらちゃんと撮ってみたいです。私も昨年M101を撮ったのですが、酷い出来でした……。

HIROPONHIROPON 2017/02/06 21:45 忍者さん>
私の場合、メインの処理はもっぱらステライメージです。
RGB分割はフラット補正の段階ですね。

(1) 撮ったライトフレームは、それぞれダークを引いて現像し、これをRGB分解します。
  これで、撮影枚数×3のファイルが出来上がります。

(2) 別途作成したフラットフレームも同様に。こちらはコンポジット後の処理なので、
  3枚の画像になります。

(3) 次に、RGBごとにフラットを合わせこんでいきます。(1)で作成したRのファイルを
  どれか1つ選び、(2)で作成したRのフラット画像でフラット補正を行います。
  そして、フラット補正後の画像を強調して補正の具合を確認。過修正ならガンマの
  数値を下げ、負修正ならガンマの数値を挙げてフラット補正をやり直します。
  これを繰り返し、背景がほぼ光害による傾斜カブリのみになるよう、パラメータを
  追い込みます。パラメータが決まったら、すべてのRファイルをこのパラメータで
  補正します。G、Bも同様に。

(4) フラット補正後のファイルをそれぞれRGB合成し、コンポジット。

(5) コンポジット後の画像に対し、ステライメージのカブリ補正をかけて光害によるカブリを除去。

(3)〜(4)の段階は何回も試行錯誤が必要になりますが、ここは根気よく。これでおおよそ
背景は均一になりますが、どうしてもムラが残る場合は、トリミングをするなり、
「フラットエイド」を使うなり。フラットエイドを使うとなんだか負けたような気が
するのですが、状況によっては致し方なし、です。

なお、現像後画像でのフラット補正は、ベイヤー配列の補間処理が入るので画素レベルで見ると
正確ではないのですが、画像全体を見渡した時に違和感がなければいいか、と割り切ってます。

HIROPONHIROPON 2017/02/06 21:54 Mattさん>
ようこそおいでくださいました。お名前はあちこちでかねがね…。

公共交通機関以外の移動手段を持ち合わせてないので、必要に駆られていろいろ試した結果、
今のような撮り方になりました。昨今のデジタル技術はすごいので、やってみれば都心でも
案外なんとかなるものです。

1コマ900秒といっても、昔と違って手動ガイドというわけでもないですしね(^^;

もっとも、最近はこのまま露出時間がエスカレートして、一天体あたり数晩かけるようなことに
なるんじゃないかと、自分でちょっと怖かったりするのですが……( ̄▽ ̄;ゞ

HIROPONHIROPON 2017/02/06 22:03 上杉さん>
M101、本当に淡いですよねぇ。

7等台というカタログ上の数値は、星雲全体を1点に集めるとそのくらいの明るさ、と
いうことなのでしょうけど、それにしても……という感じです。

しかしメシャンやメシエはアレを口径8cm前後の小望遠鏡で見つけてたわけで……。
当時の空の暗さと彼らの鋭眼がなせる業でしょうか。

忍者忍者 2017/02/07 20:24 コメントありがとうございます。
ベイヤー読み込みは行わず、RAWでダーク他後RGB分割するということですか。
NIKCollectionでのRGB分割がやっと解ってきました。一応光害は少ない環境下、コンポジット後のレタッチを輝度中心で手を加えてやってみようと思っています。

HIROPONHIROPON 2017/02/07 21:42 ええ。RAWの状態でダーク引きだけ行っておいて現像→三色分解→各色ごとにフラット補正という手順です。

RAP2やRStackerだとRAWのまま、R, G, Bごとのフラット補正が行えるので、各色について「ライトフレームと
明度分布を合わせたフラットフレーム」をそれぞれ作成すれば正確な補正ができる計算ですが……
これはこれで、難易度がかなり高そうな気がします(^^;

kojiro-inukaikojiro-inukai 2017/02/13 18:30 ご無沙汰してます^^
これは素晴らしい変態的(笑)リザルトですね。都心の公園?は見晴らしが良くて羨ましいです^^シーイングも良さそう^^

HIROPONHIROPON 2017/02/13 21:30 や、こちらこそご無沙汰してます(^^;ゞ

> 変態的(笑)リザルト

ようやく……本当にようやくといった感じですが、今の機材・環境での「撮り方」を
処理方法を含め、つかんできた感じです。せっかくの「これ以上ないというくらいの悪環境」なので
「変態道」を突き詰めてやろうと思います(笑)

> 公園

直接比較したわけではないですが、芝生の面積が大きいですし、南側は放熱源になる住宅からも
離れているので、たしかにシーイングはいいかもしれません。

そのかわり、芝生が水分を含むせいか、都心にしてはめずらしく結露が発生しがちなのが
難点でしょうか。それほど強烈なものでないのがまだ救いですが……(^^;