星のつぶやき このページをアンテナに追加 RSSフィード


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2017-04-30

[]久々の本格出撃 23:40 久々の本格出撃を含むブックマーク

冬の間は晴天続きで、月さえなければ出撃していましたが、春になるとなかなかそうもいかず。しかしこの週末は比較的天気がいい予報だったので、3月頭以来、ほぼ2か月ぶりにいつもの公園に出撃してきました。


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出撃したのは金曜の夜、仕事が終わって帰宅してからです。少々風があったので、この日は小さくて風の影響を受けづらいミニボーグ60EDをチョイス。夜半くらいまでは「おとめ座銀河団」をまとめて収め、その後は東の空から昇ってきた夏の天体を狙う計画です。

しかし、改めて調べてみると天文薄明の始まる時間がずいぶん早くなっていてビックリ。3時過ぎには明るくなってきてしまうので、かなりテキパキ作業しないと予定枚数をこなすのがキツくなりそうです。


というわけで、まずは鏡筒をおとめ座の方向に。具体的には「マルカリアン・チェーン」の通称で知られるM84〜NGC4477にかけての領域を中心とした場所を狙います。このあたりに見える銀河は、腕などがハッキリしない楕円銀河が多めなので、クローズアップで撮ると正直面白みに欠けるのですが、ほどほどの画角で捉えるとたくさんの銀河が写りこんで興味深い眺めになります。


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2017年4月28日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出600秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

そしてこちらが成果物ですが……個々の銀河の視直径が小さい上に色彩にも乏しいため、想像以上に「地味」です。後ろの予定が詰まっていたとはいえ、露出ももう少しかけた方がよかったかもしれません。

それでも、オリジナル画像を眺めていると、驚くほど多くの銀河が写りこんでいます。盗用等の危険があるのでここにはオリジナルをアップロードできませんが、Astrometry.netで注釈を入れて1/2に縮小したものを上げておきます。メシエカタログやニュージェネラルカタログ(NGC)、インデックスカタログ(IC)でナンバリングされているものに限っても、全部で70個近くの銀河が写りこんでいます。

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上の写真から、マルカリアン・チェーンの部分をトリミングしたのがこちら。

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写真としては、やはりこちらの方が構図が締まっていい感じです。ちなみに、このマルカリアン・チェーンを構成する銀河は、そのうちの少なくとも7つは共通する固有運動をしているとのこと。つまり、これらは見かけ上近くに見えているわけではなく、実際にお互いが近距離にあるということです。なんともすごい構造があったものです。


午前1時ごろにマルカリアン・チェーンの撮影を終え、天文薄明開始までの2時間で次の目標を狙います。何を撮るかですが……M16は昨年撮ったばかりですし、M8〜M20のあたりはこの時間だと高度があまりに低い*1。そこで、2013年以来撮っていないオメガ星雲」*2ことM17を久しぶりに狙ってみることにしました。


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マルカリアン・チェーンを撮っていた時もそうでしたが、この夜は空の透明度が今一つで、高度の低い天体にはなかなか厳しい条件でした。マルチフラットナーを付けてF値が比較的暗い(F6.3)にもかかわらず、光害の影響が強く出てバックグラウンドがかなり明るくなってしまいます。

それでも後処理の力を信じて撮影完遂。その後、ゴリゴリ処理をして出てきた結果がこちら。


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2017年4月29日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

4年前に比べると格段によく写っています。今回はM17本体のみならず、周囲の淡いガスもだいぶ炙り出すことができました。とはいえ、以前も感じましたが中心部の明るいガスとの輝度差が大きい上、星が多い領域なので、うるささを抑えつつきれいに表現しようとすると案外難しい対象のように思います。撮るだけなら割と簡単なんですけどね……。

ちなみに、右下にある赤っぽい領域はIC4701という別の散光星雲。これに限らず、この領域は至る所にガスが広がっているので、フラット補正をやっていてもどれがガスでどれがカブリか、判断が付きづらくて苦労しました。他の人の撮った写真と見比べた限り、大きく間違ってはいなさそうです。

[]K型経緯台実戦投入 23:40 K型経緯台実戦投入を含むブックマーク

先日購入したK型経緯台ですが、先に書いた通り、機材とアリミゾ側の押さえネジのノブが干渉しかねないという問題がありました。そこで、かねてからの計画通り、アルカスイス互換のクイックシュー&プレートを購入しました。

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買ったのは、セットで比較的安かったスリックのDS-30です。これをK型経緯台のアリガタに取り付けます。

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無事、高さが稼げて機材とアリミゾ側の押さえネジとの干渉を避けることができるようになりました。

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金曜の夜は、これに双眼鏡を載せて撮影の合間に観望していたのですが、不快なガタやたわみは一切感じられず、微動の操作も大変快適でした。使いづらさがしばしば指摘されるクランプについても、頻繁にいじるものでないこともあってか、自分は特に不満は感じませんでした。

当たり前ですがカメラ用の雲台とでは快適さが段違い。こんなことならもっと早く買えばよかったという気分です(^^;


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なお、「なんちゃってアルカスイス化」したことで、ミニボーグもそのまま載せられるように。安定性もよく、気軽な観望にさらに活躍できそうです。

*1:午前1時の段階でM8は20度ほどしか高度がありません。

*2:以前から不思議なのですが、いったいどこをどう見るとΩなのか……謎です。