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「CLS-CCD for EOS APS-C」実戦投入

東京の梅雨入りは例年6月第一週〜第二週といったあたり。そろそろ秒読み段階ですが、金曜夜には貴重な晴れ間が。月没が0時55分、天文薄明開始が2時40分と、暗夜は正味2時間ほどしかありませんが、次はいつ晴れるか分かりませんので、仕事が終わり次第、いつもの公園に出撃しました。


今回の目的は、1月に買ったOPTOLONGの「CLS-CCD for EOS APS-C」のテストです。輝線星雲に向いた(というか、それ以外には使えない)フィルターなので、撮影対象は惑星状星雲や超新星残骸、反射星雲の領域がない散光星雲といったあたりになります。

夜半には風が弱くなってくる予報だったので、EdgeHD800でM27あたりでも狙うつもりで一度出発したのですが、実際に外に出てみると5m/s程度の風が吹き続けていて収まる気配がなかったので、引き返してED103Sに積み替えました。結果的にこの判断は良かったようで、夜の間はずっと4〜5m/sの風が吹き続けていました。

ED103S+レデューサーEDで狙うは、はくちょう座の網状星雲の東側領域NGC6992-5です。ここは昨年も撮影していて、奇しくも気象条件や空の状態も似たような感じ。フィルターの特性等を見るにはちょうどいいでしょう。


こうして出てきた結果がこちら。



2017年6月3日 ED103S+レデューサーED(D103mm, f533mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, OPTOLONG CLS-CCD for EOS APS-C使用
ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理


ガッツリ処理してしまうと結果はあまり変わりませんが、画像を弄っていた印象としては、光害カット効果とコントラスト向上効果はLPS-P2より高そうな感じです。下の写真は「撮って出し」のものですが、この時点ですでに星雲がハッキリ見えているのが分かります。



また、光害カット効果が大きい分、カブリ補正も楽な感じがします*1


一方で、光量がLPS-P2よりさらに低下するので、露光量はたっぷり確保する必要がありそうです。今回の露光量でも足りないくらいで、普段こちらで撮っている感覚からすると、さらに1.5〜2倍の露光量がほしいところ。

せっかくコントラストの高い画像が得られるのに、露出不足になりやすいという面ではマイナスで、トータルで見るとLPS-P2とどちらがいいかは微妙なところです。


露出不足対策には、現状、コマあたりの露出量を伸ばすしかありませんが、労力含め、あまり現実的ではないような気もします。やはりF値の明るさは正義なのか……orz

*1:周辺減光についても、いつもはフラットがうまく決まらないED103S+レデューサーEDの組み合わせですが、今回は端までほぼきっちり決まってくれました。ちなみに昨年の網状星雲の写真でもフラットが決まらず、トリミングを余儀なくされています。もしかすると「CLS-CCD for EOS APS-C」購入の記事内で指摘したLPS-P2の蒸着ムラが普段のフラット補正を邪魔していた可能性はあります。