NGC4565を撮り終えた午前3時ごろからは、機材を組み替えて木星の撮影に。これが今シーズン初の木星撮影 & ASI290MM/MCの事実上のファーストライトになります*1。
接眼部以降がとんでもないことになっていますが、構成は昨シーズン同様(除 カメラ)以下の通り。
【7424】シュミカセ→M57/60AD〜【7601】M57/60延長筒SS〜【7505】2インチホルダーM〜【7396】50.8→31.7ADII(+Meade 3x TeleXtender)〜【7604】M57/60延長筒L〜【6010】ミニボーグ鏡筒DX-S〜【7352】M57回転装置DX〜【7522】M57→M36.4AD〜ZWO ADC(可変式大気色分散補正ウエッジプリズム)〜【7522】M57→M36.4AD(逆向き)〜【7459】M57→M57ADIII〜【7602】M57/60延長筒S〜【7506】2インチホルダーSS〜フリップミラー〜ASI290MM/MC
接眼部以降全体をボーグのリングによる「外骨格」で構成しているのがミソで、バローレンズ(Meade 3x TeleXtender)はこの「骨格」に内蔵している形。こうすることで、固定力の弱い31.7mmスリーブに荷重がかかってパーツががたついたり、光軸がずれたりするのを防いでいます。
外骨格自体も、最後のフリップミラーを除けばすべて「ねじ込み」で構成されているので、がたつきとは無縁です。
長さは……ピントの合う位置を探していたらこうなってしまいました(^^; 手元にあるパーツを無理やり組み合わせていることもあり、ちゃんと検討すればもう少しうまく組めそうな気もします。
さて、ASI290MM, MCをそれぞれPCに繋ぎ、Firecapture v2.6を多重起動した上で木星を導入します。このころには地上の風も収まっていましたし、シーイングが少しはマシになっているかと期待したのですが……PC画面上に映し出された木星はかなり大きく激しく揺らいでいます。
後でWindyで確認したところ、関東地方でシーイングに大きな影響を与えるといわれる高度3000m付近の気流、関東上空〜南方海上にかけてかなり激しい流れがあったようで、シーイングが悪いのも納得の状態でした。
ともあれ撮影開始です。取り込まれる動画を見てみると、ASI120MM, MCと比べると感度がずっと高いので、速いシャッター速度を使っているにもかかわらず、はるかに低ノイズです。ただし、フレームレートを高くできる分、転送データ量は多くなりがちなので、漫然とフル解像度でキャプチャするのではなく、積極的にROI*2を設定することをお勧めします。
また、今回カメラとPCとの接続にはエレコムから発売されている極細ケーブルを用いました(写真上)。長さは2mとやや短めですが、取り回しが良く、望遠鏡の動きを阻害しません。通常のケーブル(写真下)だと太いうえに固く、最大3mの長さがあるといっても使いづらいことこの上ないです。高速にデータの転送を行う関係上、厳重なシールドが必須なのは仕方がないのですが、この取り回しの悪さはなんとかしてほしいところ。極細ケーブルのラインナップにおいて最長が2mになっているのも同じ理由なので、結構切実な問題です。
エレコム USBケーブル USB3.0 A-Bタイプ スリム 2m ホワイト USB3-ABX20WH
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天文薄明が始まるころには撮影を終了。なお、終了直前に興味本位で火星もカメラに捉えてみたのですが、さすがにまだまだ小さく*3、シーイングが悪いことも相まって20cm鏡&現在の拡大撮影システムでは荷が勝ちすぎる印象でした。
帰宅後、撮影した動画ファイルをAutostakkert!3に放り込み、Registax6でウェーブレット処理。のち、ステライメージでLRGB合成して出てきた結果がこちら。
2018年3月25日4時13分13秒(日本時間)
セレストロンEdgeHD800+Meade 3x TeleXtender(D203mm, f6096mm) SXP赤道儀
L画像:ZWO ASI290MM, 10ms, 4500フレームをスタック
RGB画像:ZWO ASI290MC, 30ms, 1500フレームをスタック
シーイングが悪くて元動画の質が良くないので、いかにウェーブレット処理を行ったとはいえ物足りない写りなのは否めないところ*4。それでもASI120MM, MCよりはずっと低ノイズなので、処理自体は楽でした。
条件さえ揃えば、いい結果を叩き出してくれそうな雰囲気です。