拓殖のあと

はてなダイアリーから引き継ぎました。(2018年8月31日)

〈帝国〉化するイギリス

「帝国」化するイギリス―17世紀の商業社会と文化の諸相

「帝国」化するイギリス―17世紀の商業社会と文化の諸相

著者のお一人Mickeyさんからご恵贈いただきました。ありがとうございました。
早速昨日から読み始めているのですが、正直なまら面白い。
Mickeyさんのアンボン島ネタ(特にドライデン『アンボン』)は以前にお聞きしたのだが、これが英蘭の緊張関係と、その中における海洋主権論というコンテクストに置かれると、なるほどこれほど(陳腐な言い方だが)アンビバレントなテクストとして読めるのかと感心。と同時に、この論はグロティウスとその反駁者たちの議論もふまえた論なわけで、さすがにラテン語原典ではなく英訳が議論の元になっているわけだが、それにしても17世紀やる人は大変だなーと今更ながら嘆息でもある。
Eさんの「第四の男メドウズ」論文もとにかく知らない話がてんこ盛りで(もちろんメドウズなる人など知りませんでした)、例えばタイトルの中の言葉「ノルウェイの森」ってなんだろと思って読むとこれがガチで北欧との関係論の話だったりして、素朴に勉強になる。しかも謎解き風味のスタイルも楽しい。
このあとまだ論文が三本あるのだが、今日の夜に耽読するのが楽しみなのである。*1

*1:論文二本読んだだけでこれだけ勉強になり、さらに昨今の日欧の〈帝国〉論〔特に文献情報〕がわかってしまって、ハードカバーで2500円とは、こりゃ激安でしょう。

書評

立命館のNさんが拙著を『京都新聞』(5月21日)で書評して下さいました。「ファシズム時代、知識人は非力だった。しかし非力ななりに戦った知識人の足跡を追うことなしに、非力なことでは同じ穴のむじなである私たちもまた、とうてい時代と渡り合うことなどできない」と結論して下さっているわけですが、この言葉は肝に銘じて仕事したいと思います。