浅利芙美/ハタリブックスのお仕事 since 2009

大阪暮らしも三年生となった春。

2012年の桜。和歌山の和田さんちの裏山に咲く山桜を愛でたりしました。


週の半分をモハキハでカレーを煮込みコーヒーを淹れて過ごし、残り半分を物書き稼業と暮らしのあれこれに費やしているミスハタリ。

2003年から書き始めたこの「ミスハタリの冒険と計算」。読み返してみると膨大な量になってきました。最近ではすっかり更新もベリースローペースで、あいつは元気なのか、またどこかに旅をしているのか、と、更新されないことが風来坊ぶりを想像させているこの娯楽放談ですが、今年に入っていくつか旅も散歩も重ねてきたので、のんびりと更新していこうと思います。あ、未完で放ったらかしになっている結婚式顛末記もそろそろ再開します。

と、この機会に、浅利芙美(ハタリブックス)が書いた原稿やお仕事の紹介を、別ページに移行することにしました。働いたあれこれを一覧にしてみようと思った次第です。

【Fumi Asari & HATARIBOOKS works 2009-】
http://hataribooks.tumblr.com/

年明けにドカンと入った原稿料で、パソコンを新調したのよ。


旅と散歩をしていない時には、お仕事もしています。
文章を書いたり何かを考えたり。そんなご依頼、お待ちしています。

浅利芙美 info☆hataribooks.net(☆を@にかえてください)

2012年もよろしくどうぞ

旧年中に出会った素敵な出来事への感謝とともに、今年もよろしくのご挨拶をしましょう。

2003年からはじめたこの「ミスハタリの冒険と計算」。最初のころは観た映画や聴いた音楽のことを、入った温泉のこと、そして数々の旅で目にした風景のこと、たまにお仕事のことと、日々の雑事放談を記してきました。最近は、2010年に挙げた結婚式とパーティのことを連載しています。

今までこの「ミスハタリの冒険と計算」をきっかけにいくつもの出会いがあり、旧知の間柄がさらに深まり、なつかしい関係が復活することもありました。それもこれも、自分が書いた言葉が何かを呼び起こしてくれているのかと思うと、すこし感慨深いものです。勝新演じる座頭市でいうと「風を起こしてくるかいッ?」といったところです。

この場があることで、今年もまた風が吹きますように。

ハタリブックス/モハキハ
浅利芙美拝

【連載:wedding008/結婚式の招待状】 友人向け BBQ食事会

つづいて、主に友人を招いた「結婚パーティ」の招待状。

【友人向け】
友人向けのBBQパーティの招待状は、イベントのフライヤーのような感じに。デザインは友人Mさんとそのご主人Jくんにお願いしました。こういうときに新婦が編集者だと具体的な入稿指示が出せるので便利です。そりゃ本業だからね。

BBQの食材調達のためにも事前に人数把握をしたくて返信ハガキが必要なので、封筒で送ることにしました。

「出欠返事はメールか電話で」とするとうっかり忘れる人もいそうだし、ちゃんと返信ハガキが入っていることで「自分は2次会ではなくパーティに招かれた」という印象をもってもらえるのではないかと思ったのです。だからメールだけで誘うこともしなかったし、みんなに封書で招待を送って出欠のお返事は返信ハガキでもらいました。切手代や封筒代など多少コストと手間はかかりましたが、「ちゃんとお招きしたい」というわたしたちの気もちは伝わったと思います。返信ハガキも欠席の人も含めてほぼすべての方からいただけました。

A3サイズのマットな紙の半分を使って、両面に印刷してジャバラのようにして、四折りの8ページ仕立て(1枚の紙で2部取れるという経済的な仕組み)。お互いに招きたい友人を数えたら100人をゆうに超えロットが多くなったので印刷会社を利用しました。折りや留め加工は地道に家で手作業。

こちらも親族向けの招待状と同じく、紙はマット、紙色はクリーム、主な文字色はグレー、柔らかい印象のイラストと旧グッゲンハイム邸の写真を組み込んで、品のある感じに。折り畳んだ招待状を、帯状にしたトレーシングペーパーとマットな金色のマスキングテープで留めたら一通できあがり。


表の4ページは、ごあいさつ文・結婚パーティの概要・会場紹介・注意事項。

裏の4ページは、表紙・わたしの紹介・ひらくくんの紹介・会場写真とアクセスと地図。

この招待状にも、専門の結婚式場ではないことやスタッフが全員友人であることなどを書いておきました。会費制(3,000円)のためおつりが要らない準備をお願いしたり、庭でBBQをするのでその心積もりで来てね、など細かい案内も。

旧グッゲンハイム邸に行ったことがない人が「この場所に行ってみたいな」と思ってくれるように、そして「二次会ではなくてあくまで結婚式に招かれている」ということが伝わるように、また、事前に「相手はどんな人なのか」を想像できるように簡単なプロフィールも入れることで、招待状を受け取った時点でわくわくしてもらえるように作りました。

返信ハガキを同封してできあがり。今度は紙がさほど厚くないので80円切手で大丈夫でした。封筒はオフホワイトでシンプルなものに。

招待状は、結婚式にお招きする人に向けての最初のメッセージ。やっぱりここで「お祝いに行きたいな」と思ってもらえるかどうかが大事。特にわたしたちの場合は、海辺の塩屋という、三宮からも少し離れた、札幌や東京の友人だけでなく大阪の友人たちにとってもわざわざ出かける立地だったので、秋のイベントごとで遠出するのを楽しく思えるようにしたかったのです。

デザインセンスのよい友人の協力で、満足できるものができました。

【連載:wedding007/結婚式の招待状】 親族向け 挙式&親族食事会

「第一部:親族向けの挙式&食事会」と「第二部:友人向けのBBQパーティ」の二部仕立ての結婚式にしたので、招待状は2パターンを用意しました。紙モノは、本業が編集者であるわたしが担当。

もちろん第一部・第二部ともに招待状を郵送する前に、事前に電話やメールなどで軽い案内を出しておきました。その後、正式なご案内として八月半ばに招待状を送りました。結婚式の約二ヶ月前のことです。


【親族向け】
こちらはいわゆる一般的な形式にならって、奇をてらわず、わかりやすい招待状にしようと思いました。親戚中心ゆえに年配の方もいるので、英文表記だけとか文字が小さいとかそういう不便さもなく、シンプルで上品なデザインにしたいところ。

便箋・封筒は心斎橋にある「Winged Wheel」で購入しました。上質な紙質とデザイン性が特徴のショップです。オーダーで招待状デザインや印刷もしているとのこと。ウェブサイトではテンプレートや画像を無料でダウンロードすることもできます。わたしたちの場合はお互いの両親を含めても10通程度だったのではオーダーメイドにはせず、用紙や封筒のみをこちらで買って自分でデザインして自宅のプリンタで印刷することにしました。

結婚式は秋だし、全体を通して上品で落ち着いた雰囲気にしたかったので、カラーリングは「こげ茶×オフホワイト」に。台紙が深いこげ茶、中紙がオフホワイト、綴じ紐も白。厚みがあるマットな紙質を選びました。字体は明朝系で、文字色はスミ100%だと強すぎるのでよく見ると焦げ茶色とわかるくらいの色にして、文字間を広く、余白も贅沢に。職業柄、レイアウトや文字組みには神経質なもので。

そうそう、結婚式の招待状では「句読点を使わない」という決まりがあります。

そのほかは、目上の親戚に失礼のないよう一般的な文例を参考にしながらも、あくまで自分の言葉を選びながら文章を作りました。差出人は親ではなくわたしたちふたりです。

一般的な招待状ではこのようなのご挨拶状のほかに、結婚式場の地図や案内が一緒に入っています、あと仲のよい子からだと直筆のメッセージのカードとか。わたしたちの場合も、会場の地図と当日の案内を別紙で作って同封しました。

旧グッゲンハイム邸は結婚式の専門会場ではないこと、挙式は人前式で行うこと、人前式とはどのようなものかということ、当日のスタッフは全員わたしたちの友人であることを、この時点で伝えておきました。

会場が歴史的な建造物なので土足や喫煙は厳禁であること、挙式は屋内・庭で食事会のため靴の脱ぎ履きがあること、秋口なので羽織ものがあったほうがいいかも、なども。「ホテルや結婚式場のような至れり尽くせりではないという心積もりできてね」「でもできるかぎりリクエストに応えたいから、希望があったら先に言ってね」ということをこの段階でちゃんと伝えられたと思います。

出欠返事用の返信ハガキを同封。

これらを用意していた封筒に入れて一通完成。もちろん筆耕者なんていないので、自分でありったけの集中力を注いで宛名を書きます。使い慣れていない筆ペンは止めて、無理せずに太め(1.0芯)の水性ボールペンで。

そして慶事用の切手を。封筒だけでなく、返信用ハガキにも50円切手を。

http://www.post.japanpost.jp/kitte_hagaki/stamp/standard/index.html

と、ここで失敗。厚みのある招待状やら返信用ハガキやら案内文やらを入れた封筒はたいてい50gを超えるもの。それに気づかずに80円切手を貼って郵便局に持っていったため、窓口で90円切手を買いなおす羽目に。しかもはがれないようにしっかりと糊付けしていたので、泣く泣く80円切手の上から90円切手を貼る始末……。

うっかりポストに入れなくてよかった!

【連載:wedding006/結婚式までのクロニクル】 結婚式までの道のり


(↑挙式当日朝、花嫁になる前にまず台本と進行表と図面を広げて総監督のKさんと最終確認。新郎になる前の彼はハイエース(しかもロング)の運転とケーキや花の運搬。舞台裏はすごーく地味)


さて結婚式は10月16日。その一年ほど前に結婚雑誌を買って士気を高めてみましたが、意外にも最初はやることがない。一般的には「式場を押さえるのは約一年前までに」といわれていますが、それは人気の日取りや、結婚式向き式場を予約する場合の話であって、わたしたちが会場を本押さえしたのは約半年前。


ちょうど一年前の12月に塩屋の旧グッゲンハイム邸でのライヴをふたりで観にいく機会があり、帰りの電車に揺られながら「あの庭で」「結婚式ができたらいいな」とほぼ同時に話しだしました。そんな気もちを持ちながらも、実際に会場決定へと動き出したのは5月だったので、なんだか相当のんびりしていたものです。9月後半〜11月前半は結婚式やイベントの人気シーズンで、土日や祝日はすでに予約で埋まっている日もありました(特に大安の日曜日は結婚式で)。実はわたしたちも10月10日の大安の日曜日を最初考えていましたが、先約が入っていたため一週間後の土曜日に。

【約1年前(2009年10月)】
結婚雑誌を購入、イメージの切り抜き開始


【約6ヶ月前(2010年05月)】
会場見学・日程決め・申込・招待客に日程だけ伝える
帝国ホテルのブライダルフェアに行ってみる


【約5ヶ月前(2010年06月)】
手伝ってもらいたい友人にオファー・第1回企画ミーティング・食事会ケータリング依頼・会場下見


【約4ヶ月前(2010年07月)】
招待状制作・招待客リストアップ


【約3ヶ月前(2010年08月)】
招待状発送
ドレス試着(1回目)、ヘアメイク打ち合わせ


【約1ヶ月前(2010年09月)】
引出物・引菓子発注
ケーキ・装花&ブーケ発注
新郎衣裳試着・採寸・オーダー
会場へ図面提出・レンタル備品の依頼


【約1週間前(2010年10月)】
ドレス試着(2回目)・アクセサリー決定
進行表&MC台本作成・BGM編集開始・飲料や資材の買出し


【2日前】
新郎衣裳到着
MCを交えての最終ミーティング・結婚証明書の作成


【前日】
会場にドレス到着・会場設営・ヘアリハーサル&フェイシャルエス


【当日朝(午前4時まで)】
BGM完成・進行表&MC台本最終稿完成


【当日朝(午前6時から)】
飲料・備品・新郎衣裳・引出物・引菓子の運搬、ケーキ&装花のピックアップと運搬


【当日(2010年10月16日)】
挙式・親族食事会・BBQパーティ

5月に会場を決めたことで気もちが盛り上がったものの、まだまだやることがありません。すぐにしたことは、すべてを持ち込みになることがわかっていたので、手伝ってほしい友人知人に声をかけたこと、招きたい親族や友人たちに日程を電話やメールでお知らせしたこと。そして自分たちがやりたいことが現実的に実現できるかどうかを、ブライダル業界で働く二人のブレーンに話して一緒に揉みこんでいきました。

その頃にやっておいてよかったなと思うのは、結婚雑誌やブライダルカタログからの切り抜き。自分の好きなタイプのドレスや装花やカラーリング、演出や進行で取り入れたい要素などをファイリングして、打ち合わせ用の資料にしました。

雑誌をめくって「いいな」と手をとめたページをジョキジョキ切り抜く。そうすることで、自分はシンプルなフォルムで刺繍やレースをあしらった凝った質感のドレスが好きだということや、ヘアメイクはすっきりと大人めに仕上げたいということ、深い赤あるいはクラシカルな色のフラワーアレンジが好きで、調度品やテーブルウェアは白やこげ茶のカラーリングに惹かれ、乙女チックではなくシンプルで上品なデザインのアイテムを選ぶことがわかってきました。これは「やる気はあるのにまだやることがない」時期にこそできること。

同じ頃、帝国ホテルのブライダルフェアにも出かけました。これも行っておいてよかった! わたしたちの場合は「これは自分たちには必要ないな」と感じることが多かったのですが、一流ホテルで挙げた場合の食事や演出などを体験できるのは参考になるし、最新モデルのドレスのショーもあるし、一般的な費用(上代)の相場もわかるし、そもそも結婚前にしか行く必要のないイベントだし。せっかくなら自分が好きなホテルのブライダルフェアは行っておいたほうがいい。東京だったら、ペニンシュラコンラッドは行っておきたかったなあ。

わたしたちのスケジュールで、絶対的に遅かったのは衣裳決め。レンタルの場合は、ボヤボヤしていると他の人に借りられてしまうので、こればかりは早いほうがいいのかなと思います。とはいえ、あまり早い時期に決めてしまって体型が変わるといけないので(妊娠しちゃう人もいるだろうし)、半年前くらいでいいのかな。試着までに自分の着たいドレスのイメージを具体的にしておいて、実際に着てみてその形やデザインが自分に似合うかどうかを判断することになるので、人によっては時間や手間がかかるのかも。
わたしの場合は東京の事務所に出向いて、まず200着以上の写真から4着のドレスをピックアップし、実際に試着してタイプの違う2着まで絞り、大阪に送ってもらって友人と彼の前で試着して1着に決めました。その後、また東京の事務所で決めた一着を試着してヴェールやアクセサリーを選んだという流れ。東京に行く仕事と兼ねていたので、結構ぎりぎりになりました。しかし、ドレスが決まるとテンション上がるよね。
新郎衣裳はドレスに比べると選択肢が少なくて(200着以上あるドレスに対してメンズは10着程度)本当に申し訳なくなるくらいですが、ひらくくんには「自分の体型に合わないのを着るのはイヤ」という信念があって、「肩が張ってるのはイヤ」「色は黒がいい」「テカテカしていない素材で」「エナメル靴もイヤ、先っぽが尖ってるのもイヤ」という細かいこだわりがあったので、結局セミオーダーで。ギリギリのスケジュールで決めたのですが、オーダーメイドにして正解でした。ドレスにばかり目が行くけど、新郎衣裳はかなり重要。

おおむね結婚式というものは直前にバタつくものですが、前日〜当日朝の追い込み期にBGMを作ったり台本を書いたりという「実作業」ぶりが、わたしたちならではだったなと思います。

前日は神戸のホテルに部屋をとってエステを受けたり、札幌から来ている家族と食事をしたり、夜は早めに休んでハレの日に備えたい……なんて考えていたけれども、蓋を開けてみれば早朝からハイエースでケーキや花を運ぶ(しかも阪神高速が渋滞で遅刻する)という、ぜんっぜんゆったりしていない現実でした。それも楽しかったんだけどね。やっぱりちょっとハードだったよね。

【連載:wedding005/結婚式までのクロニクル】 入籍までの道のり


お祝いでルクルーゼの鍋をいただくと、一気に「結婚したなー」という実感がわきますね。


結婚は、結婚式を挙げる以外にもいろいろやること(あくまでやりたいことであって、やりたくなければやらなくてもいいことも多い)があります。恋人同士になって三日で結婚を決めて年が暮れるのも待たずに夫婦となったわたしたちの流れをざっとご紹介します。

2009年01月 出会い
2009年03月 再会
2009年04月 お付き合い開始・3日後に結婚することを決める
2009年05月 彼の家族に挨拶(in大阪)
2009年06月 プロポーズ
2009年09月 彼が実家へ挨拶(in札幌)
2009年10月 結婚指輪をオーダー
2009年11月 互いの両親を交えての食事会(in札幌)
2009年12月 入籍・ふたり暮らしスタート

【出会い】
この日の楽屋にて。人生とは偶然のめぐり合わせであると実感。



【プロポーズ】
プロポーズはわたしの誕生日。プレゼントに自分が先に署名した婚姻届をしのばせてくれました(が、最初ぜんぜん気づかなかった)。その婚姻届にサインをして10月のひらくくんの誕生日に渡しました。



【結婚相手の家族に会う】
ひらくくんの実家は和歌山ですが両親はよく大阪に来ているので、5月末にすぐにご挨拶。家族そろって焼肉を食べに行く流れになるも、その直前にシャツが破けるアクシデントがあり、まったく土地勘がない南船場をウロウロして「一時間後に結婚相手の家族とごはんを食べにいくので、清潔感と誠実さを感じさせる(それでいておしゃれな)服を頂戴!」と服屋に駆け込んで店員さんに苦笑いされたのもよい思い出です(結局、麻素材のシャツワンピースで手を打った)。

一方のわたしサイドは、5月に電話で突然「結婚することにしたー」と親に伝えてありつつも、三日以上の休みがとれたのが9月。実家に向かうタクシーの車内で、スーツ姿のひらくくんはピリッとした顔をしていました。初対面の父母に向かって彼が「結婚しようと思っているんです」と言ったので父は「それはいいんじゃないですかね」というような感じで応えていました。後から聞いた話では、父は「『お嬢さんを僕にください』なんて言われようものなら、『モノじゃないからあげにゃい』と言おうと思っていたけど、ひらくくんがああ言ったから『コイツらはそのあたりわかって結婚する気だな』とうれしかった」と言っていたそうです。



【両家の顔合わせ、のようなもの】
わたしたちは結納をしませんでした。結納という儀礼が身近ではないわたしたちには、昆布にのしをつけて恭しい口上を述べるようなイメージしか浮かばず、どんなに考えてもやる必要が感じられませんでした。互いの親のスタンスは「あちらが必要なら合わせるけど、地域の違いもあるし、正直必要ないと思う」。それぞれの親サイドに「嫁に出す」「嫁に貰う」というアタマがなかったので、結納ではなく、顔合わせの食事会という名目で「札幌でおいしいものを食べよう」ということに。お互いの父親がナイフ&フォークの洋風コースにはなじみがない、かしこまった雰囲気はちょっと苦手、双方の両親でお酒を呑むのはわたしの父親だけ(でもせめてビールくらいは呑ませてあげたい)、話がしやすい個室で、という条件でインターネットを駆使してしつこく探してみつけたのがこちら、「薄野 鮨金」さん。顔合わせである旨を伝え、店の大将にいろいろと気を遣っていただきました。

薄野 鮨金> http://s-sushikin.jp/

おいしいお寿司と少しのビール。ふだんはペラペラ喋らない互いの父が積極的に話してくれたおかげで、和気藹々とした会合になりました。この日はひらくくんがスーツ、わたしは母が若い頃に着ていたワンピース。双方の父親は背広で母親もスーツ。お店はわたしが選んで、食事会のお金はひらくくんが全額出してくれました。いや、本当はふたりでワリカンにしたかったんだけど、結局甘えてしまいました。わたしはサーチ力で奉仕。ひらくくんと彼の両親は札幌市内のホテルに宿泊し、翌日は実家に遊びに来てくれました。なんだか最初はふたりで盛り上がっていた結婚が、グンと近づいたのを感じた一日でした。

顔合わせの店選びは、結婚に対するスタンスや親のタイプでいろいろ。周囲に聞いてみると、多いのがホテルなどの格式あるレストラン。両方の家族が酒呑みだとやや高級な居酒屋の個室、というケースもありました。顔合わせの場に兄妹や祖父母にもその場に同席してもらったという友人もいたけど、食事会の費用はわたしたち(ただしくはひらくくん)が出すことに決めていたので、親まででテイッパイ。
店の大将と事前に電話で細かくやりとりをして、こちらのリクエスト(席やメニュー)にきっちり対応してくれたのと、スタッフの方が頻繁に個室に顔を出すこともなくほったらかしにしてくれてくつろげたのが良かったです。すすきのの高級寿司屋で八寸と握り一人前のコースで6,000円〜7,000円+お酒代といったあんばい。思い出に残る食事会なので、この機会を利用してふだん食べられないような贅沢をしてしまうがいいと思うの!


【婚約指輪とか結婚指輪とか】
結納をしなかったし、婚約指輪は不要と考えて省略。そのかわり、オーダーしてあった結婚指輪が入籍の一週間前に手元に届き、その日からわたしの指にはこの指輪だけが残りました。指輪についてはのちほどくわしく。



【入籍の日】
入籍日は12月6日。あまりこだわりがなく、大安の日曜日で、大安の中でもさらにめでたい日取りだったということで決めました。よく晴れた冬の朝、区役所の休日窓口にふたりで持ち込みました。

夫婦にとっての初めての記念日になるからきっと毎年お祝いをすることになるし、お互いの誕生日ではない月にするとイベント気分が増えていいなと考えていました。入籍にあたって本籍地から取り寄せた戸籍謄本を見ると、生まれたときから夫婦だった自分の親も、もともとは別の家の子どもたちで、そのふたりが出会って夫婦になっていたということに気づき、なんだか感慨深かったです。夫婦や家族って、自分たちでつくっていくものなんだなあ。姓は夫のものを名乗ることにし、本籍はひらくくんの実家がある和歌山県に置くことにしました。そういう細々としたいろいろを話し合っていく過程が、人生の階段を上ってるなあという実感とともにあって、面白かったです。



さて、次は結婚式までの道のり!

【連載:wedding004/序】 まわりのひとたちの協力あってこそ

「手づくりの結婚式」なんて言うけど、実際は「どこから・どこまで」そして「どんな具合に」ハンドメイドなのでしょう。自分たちの結婚式をふりかえって、どれだけまわりの人たちに助けられたかをここで明らかにします。




【プランニング全般・当日の監督】
ひらくくんがかつてアルバイトしていた結婚式場で音響部門の上司だったミスターKと、同じ式場の企画部勤めで今は違う式場の広報関係のお仕事をしているマドモアゼルMに、企画段階からブレーンに加わってもらいました。当日はキャプテンと呼ばれる全体指揮のポジションがKさんで、花嫁まわりや細々とした気遣いが必要なシーンはMちゃんが担当。大らかで柔らかいKさんとキリッとさばいていくMちゃん。特にMちゃんは今のウェディングシーンに明るいので、何か困ったり迷ったりしたときにはすかさず助け舟を出してくれたり、彼女の人脈でドレスや小物の手配やお花屋さんに無理をきいていただいたりもしました。この二人がいなかったら結婚式は挙げられなかったというくらいの恩人。


【挙式・パーティの司会】
挙式・親族食事会・BBQパーティの司会はすべてわたしの兄にお願いしました。兄は司会や講演、ラジオDJなど人前で喋ることが仕事の一部で、ときどき披露宴の司会も受けているようです。妹のわたしが聞いても耳馴染みがよい声質と正しい発音と語彙を持ち、大人数の前でもまったく物怖じしない性格。とはいえ、妹の結婚式で兄がMCをするなんてあまりないことなので、自己紹介をするまではみんなどこかの事務所から来たアナウンサーだと思っていたみたいです。


【写真撮影】
ミュージシャン&写真家として活躍している坂田律子ちゃん。りっちゃんとは数年来の友人。緊張しがちなハレ舞台でも油断してイイ顔をできる人に撮ってもらいたい! と東京から召還。センスも腕前も信頼できるし、しかも彼女はウェディング関係の仕事(スタジオ撮影からパーティのスナップまで)を手がけることも多いので、お祝いの場をコントロールすることに長けていて、当日の集合写真撮影でのハイテンションな笑顔誘導は本当に感動しました。花嫁はみんな彼女に撮ってもらうといいよ!


【親族食事会の料理】

大阪は新町にある「バロッコ」のケータリング。ひらくくんの友人でもあり大好きなお店で、祝いの宴はまずおいしい料理でしょ! と真っ先にこちらにお願いしました。わたしたちはオーナーのノブさんとシェフのたけこちゃんの絶対的なファンなので、予算と人数と「箸で食べられるコース料理」とだけリクエストして、あとは一切をお任せ。ああ、美しかったしおいしかったなあ(回想中)。当日は土曜日だったので、食事会のあと猛スピードで片付けをして夕方からの営業のために大阪に戻っていきました。


このほかにもウェディングケーキ、ネイル、ヘアメイク、前日エステ、着付け、食事会のお給仕やドリンクサーブ、招待状、そして音響やいくつかの生演奏。「お金はないけどこういうことをしたいの!」というわたしたちふたりのわがままに付き合ってくれたプロフェッショナルな友人たちはまだまだたくさんいますが、序が長くなると躓くので、その都度ご紹介していくことにして、ここでは感謝の投げキッスだけにとどめておきます。

関わってくれたみなさん、本当にありがとう(チュッ)。


では次に、結婚式にいたるまでのスケジュールをふりかえります。世の中の計画的なカレンダーはさておき、「あら、結婚式の準備って、意外と直前に詰め込めばなんとかなるのね」という安心と一抹の油断を与えることになると思います。