鈴木慶一 Produced「東京ゴッドファーザーズ オリジナルサウンドトラック」(ASIN:B0000DJWN3)

東京ゴッドファーザーズ


現在上映中の(名古屋ではまだやってませんが)、今敏監督のアニメのサントラ盤。目玉はムーンライダーズ名義の新曲であるエンディング・テーマ「No.9」。ベートーヴェンの「第9」は第3楽章で終わっていたら、とてつもない名曲になっていたのになあ、最終楽章のがちゃがちゃ感はなんとかならないのか。なーんて不遜な?ことを思っているワタクシですが、ムーンライダーズが久しぶりに集った新曲が「歓喜の歌」のカヴァーと聞いたときは、一体あれをどう料理するのかお手並み拝見といったところでした。しかしその後、それがレゲエでアレンジされているというのを知ったときにはちょっぴりヤな予感が・・・。ムーンライダーズとレゲエの取り合わせって相性いいとは思えないんですね。もろポリスの「モダン・ラヴァーズ」はまだしも、全編レゲエのセルフ・カヴァー・アルバム。CM曲になったはいいが、それでいいんかいといいたくなる脱力ソング「海の家」など、うーんあんまりいい思い出がないなあ。「ダイナマイトとクールガイ」くらいかな。でも「AOR」は一番聴かないムーンライダーズのアルバムだったりするので、正直音が流れ出すまでは不安でした。ところが実際に流れてきたのは、これぞムーンライダーズといいたくなるようなサウンドで、慶一が語っていた「突き抜け破れたレゲエ」に納得。かつての名曲「スカンピン」と「物は壊れる、人は死ぬ、三つ数えて目をつぶれ」の<ぶちゃむくれヴァージョン>といってもいい痛快なカヴァーでした。途中ラジオヴォイスになったり、後半は怒涛のユニゾンコーラスで押しまくるとこなど、正にライダーズ印で一安心といったところ。その他の曲は作中のキャラクターやシチュエーションに応じて作曲者を振り分けた、小曲が並びます。「コトバとサウンドのせめぎあい」がムーンライダーズ最大の魅力と考えているので、インスト中心のこのサントラをオリジナル・アルバムと同一視はできませんが、聴いていてポップで楽しいし、6人の個性がちゃんと反映されているのは流石です。この勢いで来年こそはオリジナル・アルバムを!