仙波清彦とはにわオールスターズ『イン・コンサート』

イン・コンサート [DVD]

イン・コンサート [DVD]

これは貴重なコンサートの記録。なにしろ参加メンバーがものすごいです。仙波清彦がコンダクターとして全体をまとめ、渡辺香津美板倉文バカボン鈴木、渡辺等、吉田智、小林靖宏、松本治、坂田明矢口博康金子飛鳥斉藤ネコ久米大作清水一登村上秀一青山純、レイチ、阿部薫小川美潮、木元通子、木津茂理、三橋美香子etcといったツワモノが勢ぞろい。Wa-ha-haとKilling TimeとKylinが一緒になって、なおおつりが来るという豪華さ。4ドラムスに3ベースというリズム隊の贅沢なこと。パーカッションも多数加わっているし。これだけでもお腹いっぱいになりそうなのに、更に笛、三味線、琴、小鼓といった邦楽器陣も加わるという大所帯です。音だけ聴いていても充分楽しいのですが、こういったものはやはり映像で見たいものなので、正に待望のDVD化でした。
演奏された曲もヴァラエティに富んでいて、「ホーハイ節」といった民謡から「奇妙な果実」といったジャズ・スタンダード、ゲスト・ヴォーカリスト戸川純が歌った「リボンの騎士」まで、なんでもありの様相を呈しています。伝統邦楽、ロック、ジャズ、クラシック、ワールドミュージック等々といったジャンルの壁を軽くとびこえた音楽の坩堝にして極上のエンターテイメント。大人数による力押しだけではなく、それぞれの楽器群にスポットライトがちゃんと当たるような工夫に富んだアレンジも聴きどころです。小林靖宏のアコーディオンも埋もれずに要所要所でいい味出していました。これは録音エンジニアの小野誠彦の貢献も大きかったのでは?仙波はほとんどの曲で扇を手に指揮を取っているのですが、いくつかの曲では打楽器奏者の技も披露。中でも「オレカマ」のパーカッション・アンサンブルは本作のハイライトのひとつとなっています。
ゲスト・ヴォーカルとしては前述の戸川純の他にデーモン小暮ユニコーン奥田民生阿部義晴が参加。デーモン小暮の気取りっぷりは面白かったし、ユニコーンの曲「大迷惑」で客席は一番盛り上がっていた様子でしたが、これだけバックが豪華だと、ついサウンドの方に耳がいきがち。そんな中、たった一人で堂々とバックの厚みのあるサウンドに伍していたのはなんといっても小川美潮でしょう。彼女の天真爛漫な歌声はコンサートの祝祭的な雰囲気にピタリとはまっていました。