Ochi Brothers『Beating The Earth』

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BEATING THE EARTH

BEATING THE EARTH

Ochi Brothersとは越智義朗、越智義久の兄弟によるパーカッション・デュオ。世界各地のフィールド・ワークで得た体験を踏まえた、独自の活動を続けていて、三宅一生コレクションの音楽を手がけたことで話題を集めたこともあります。
このアルバムはオノ・セイゲン主宰のサイデラ・レコードから2001年にリリースされたもので、プロデュース、ミキシング、マスタリングも全てオノ・セイゲンが手がけています。民族楽器だけではなく、自作の楽器も操り様々なパーカッションが響き渡る内容なのですが、どの曲も適度にリラックスした雰囲気をもち、柔軟なグルーヴが紡ぎだされているのが魅力的。大きな音で鳴らしても、今、これを聴きながら書いている私のように部屋で心地よいようにつくられているのです。これは越智兄弟による息のあった演奏の素晴らしさはもちろん、オノ・セイゲンの貢献も見逃すことはできません。徒に低音を強調したりすることはなく、自然なバランスで楽器の特徴を捉えた音像はオノ・セイゲンならではのものでしょう。聴いていると録音現場の空気感まで感じられて、この音楽を一種のアンビエント・ミュージックとしても機能できるものにしているのです。耳に優しい音質なんだけれど、決してソフト・フォーカスな感じではなく、個々の楽器の音色は鮮やかに記録されています。
強烈なビートで燃え上がりたい!という人には肩透かしとなるかもしれませんが、リズムの波をゆったりと漂う楽しさを堪能したいなら、このアルバムは快適な時間を約束してくれることでしょう。

関連リンク

・公式サイトhttp://sound.m78.com/ochi-bros/index.html

<過去の日記から〜パーカッションが活躍するアルバム〜>
・燃え上がりたい人は、ルイ・ヴェガ・プレゼンツ・ルイシート・キンテーロ『パーカッション・マッドネス』をどうぞ
http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20060605
・打楽器の使い方が特徴的な作曲家、ジョリヴェの作品集
http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20050207
エスニックなビートを操つり、多彩なサウンドを産み出すヴィンセント・アトミクス
http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20050117
チャーリー・ワッツが挑んだ冒険的なアルバム
http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20040207
富樫雅彦の代表作
http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20031013