菅野よう子『song to fly』

Song to fly

Song to fly

オリジナル・アルバムを出すことには興味がない、と公言している菅野よう子にとっては珍しい本人名義の作品ですが、ゲーム音楽を中心にまとめられたもので、本人はオリジナル・アルバムと意識はしていないそうです。ただし、本人がどう思ってようと菅野作品の中でも屈指のクオリティを誇る一枚であることは疑いようがありません。題名通り“歌”の比重が高いアルバムですが、ブルガリアン・ポリフォニー全開の「Atomic Bird」、トム・ウェイツがミュージカル・ナンバーを歌っているような「Next Time」、Gabriela Robin名義のファニーなヴォーカルが楽しい「ABC Mouse Parade」、今回のセレクト合戦に選んだビートルズ・オマージュ「Nowhere and Everywhere」、ワルシャワ・フィルとコーラスによるクラシカルな「The Ship」「Hallelujah」など強力な楽曲がずらりと並んだ様は壮観。レッテル付けなど不可能なのを承知でいうと“アヴァンギャルド・ニュー・エイジ・ミュージック”か“超刺激的癒し系”でしょうか(^^;)。『アルジュナ』とは違った意味合いでプログレ度が高い傑作です。