『旧ベルギー領コンゴ地方の伝統音楽』

旧ベルギー領コンゴ地方の伝統音楽

旧ベルギー領コンゴ地方の伝統音楽

アフリカ音楽を愛好する人にとってはバイブルとも言われている歴史的音源です。1935年から1936年にかけてのフィールド録音で、部族の合唱や太鼓演奏、儀式の様子などが収録されています。なかでもピグミーの音楽はこのアルバムによって初めて本格的に紹介されたというのですから、資料としてもきわめて重要なものといえるでしょう。
このCDはオフィス・サンビーニャの田中勝則氏がオリジナルのSPを入手し、それがLPより音質がすぐれていたので復刻に踏み切ったそうですが、確かに戦前の録音とは思えない、太くて力強い、臨場感のあるサウンドになっていることに驚かされます。マンベトゥ族の迫力ある合唱、ピグミーの合唱のイノセンス、ワトゥシ家王家の躍動感ある太鼓のビートなどが生々しく迫ってくるのです。歴史も文化も異にする民族の音楽がどうしてここまで日本に住む自分の心をゆさぶるのか。人と音楽の根源的な関わりについて考えさせてくれる、素晴らしい音源だと思います。