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さよならテリー・ザ・キッド

2012/08/31

[]『仮面ライダーW』は大人が見ても面白かったよ、という話

『仮面ライダーフォーゼ』からライダーを見始めて、過去ライダーをオーズ→ディケイド→電王と遡って見て、次は『W』を一気見したんですが、まー面白かった。今んとこライダーでは一番好きかもしれません。皆さんにも見て欲しいので、どこらへんが好きだったかを若干ネタバレありで書きます。みんなも見よう、仮面ライダー!(おれの特撮友達が少ないので)(あと大人が見てお金を落とすとグッズの種類が増えて楽しいので)

仮面ライダーWで特に良いのは、敵怪人に特殊能力を持ってるやつが多いところです。

人間が怪人に変身するための「ガイアメモリ」ってのがあってですね、「メモリの名前=能力」なんですよ。

分かりやすいやつで言えば、天候を操って攻撃する「ウェザー」や、ゴキブリ型怪人に変身する「コックローチ」みたいな。その辺はもう明らかに戦闘に使えそうな能力なんですけど、ときどき「ライアー」(相手にウソを信じこませる)とか「ジーン」(遺伝子操作)とかは名前を聞いただけだとあんまり強そうじゃないのに、持ち主達は創意工夫を凝らして戦闘や犯罪に使ってるんですよ。

中でも感心したのは「イエスタデイ」で、能力は「刻印を打ち込んだ相手を、昨日と全く同じ行動を取らせる」っていう全然意味が分からないやつなんですが、具体的に言うと「対象がプールに飛び込んだ場面を翌日にビルの屋上で再現して飛び降りさせる」とかそういう方法で人を殺そうとするんです。この特殊すぎる能力、なんか映画とかに元ネタあるんですかね?

他の特撮にも特殊能力系はいないわけでもないですが(最近だとゴーバスターズのケシゴムロイド(体が小さい&データ消去)とか)、ここまで能力バトルに特化してるのは珍しいのではないかと思いますので、ジョジョ等の頭脳系能力バトルが好きな方にはオススメです。戦闘型の「ビースト」を、単体だと弱いけど瞬間移動能力を持つ「ゾーン」がサポートしてコンビだと超強い、みたいなのもあったりして、すげえジョジョっぽいです。

それでもたまに、特撮特有の「新発売のおもちゃが劇中に出たら超強い補正がかかる」みたいなやつもあるんですけどね……。

しかもライダーの変身前が探偵なので、「依頼人周りの『誰が』『どんな能力のメモリを』持ってるか」っていうのを推理するのが話の軸になってくるんですよ。メモリには能力の頭文字のアルファベットが書いてあるんで、例えば「D」のメモリでも、「死人を蘇らせる『デス』かと思いきや、偽物を作るだけの『ダミー』」みたいな引っ掛けもあったりとかします。

ドラマ部分に関しては、「背伸びした子供たちの間でメモリが出まわって問題になる」とか「娘が児童劇団のお芝居で主役になれなかったので、嫉妬に狂った母親が『オールド』のメモリを持つ怪人に頼んで主役の子を老婆にする」みたいな、街のゲスい犯罪に特撮的な要素がうまいこと絡んでるのも好きです。

あとは「テキ屋おっさんが友達をかばって10年服役して、出所してみたら好きだった女は元子分現在建設会社社長)の妻になってた」みたいなシブすぎる話とか、長澤奈央さんがただひたすらエロい回とか、あんまり子供向けじゃない回もちょいちょいあります。

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これ、日曜の朝に流したらダメじゃないですか?

あとこれ意外と個人的には大事なことだなーと気付かされたんですが、Wは単純にライダーのデザインがシンプルでかっこいいです。ディケイド(平成ライダー10周年)のあとなので原点に戻るってことらしいですが。フォーゼとか電王は、話は面白いけど最後まで見た目には馴染めなかったので、好みのライダーがずっと出てるっていうのは気持ちよかったです。

まあ、もうすぐ『仮面ライダーウイザード』始まるので、みんなと話を合わせるにはそっちを見たほうがいいと思いますが、自分みたいに最近仮面ライダーを見始めて、ちょっと昔のも見ようかな〜っていう人なんかには『W』がおすすめですよ。

2012/06/28

[]メタからベタへ、そこでやめときゃいいのにまたメタへ 『非公認戦隊アキバレンジャー』

http://www.akibaranger.jp/

『非公認戦隊アキバレンジャー』が終わってしまったので感想を書きます。作品の性質上、「ココらへんが面白かったよ」っていうとこを書くとどうしてもネタバレになるのでそこはご勘弁を。あとバンダイチャンネルで有料配信されてる1話と最新話は無料)ので興味を持った人は見てみてください。

始まる前は「秋葉原が舞台」「戦隊オタとかコスプレイヤーが変身する」「作中アイテム『ズキューン葵』のフィギュアが変身アイテム」「敵組織の名は『ステマ乙』」「痛車がロボに変形」などの情報から、「おいおい戦隊パロディなんてプロにも同人にもやりつくされてるから難しいんじゃねーの?わざわざ東映さん自らやる必要ある?」と思いつつ、東映さんがやるなら一応見てみるか……日南響子かわいいしな……みたいな感じで見始めました。

1話目を実際に見て、小ネタもさることながら、クライマックスシーンの

敵幹部「(アキバレンジャーを追い詰めた後、怪人に)あとは任せたわ」

レッド「フッフッフ……言ってしまったな、そのセリフを!スーパー戦隊における敵幹部の『あとは任せた』は!悪者どもの鉄板敗北フラグだ!」

ブルー「さっきと戦力は変わらないのに負ける気がしない!」

イエロー「スペック二の次にゃ!」

レッド「そう!スペックだけで決まる勝ち負けなんて、スーパー戦隊にはあり得ない!」

というやりとりでハートをわしづかみにされました。メタギャグなのに無駄に熱い!確かに特撮って、スペックがどうのとか作戦がどうのとかよりも「人々が平和を願う気持ちが生んだ奇跡」的なやつで大逆転勝利したりする(特に映画だと顕著)ので、「スペックだけで勝ち負けは決まらない」というセリフにはその辺も含まれてるんじゃないでしょうか。

その他のパロディ部分に関しても、「大人が全力で馬鹿をやる」という素晴らしさに感動します。確かにパロディのアイデア自体は同人誌等とかぶる部分ももしかしたらあるのかもしれないけど、「本物の戦隊の映像を使う」とか「敵幹部が穂花」とか「1/1サイズのハイクオリティ変身アイテム(定価12600円)を実際に売る」とかはパロディではできないわけですよ。

それに番組キャッチフレーズに「良い子は見ちゃダメ!」というのがありますが、これは単にマニアックなネタとかちょいエロシーンがあるから見ちゃダメ!という意味ではないそうで、番組公式ページには

見ちゃダメ、という最大の理由は、本作品が「スーパー戦隊シリーズ」に関するメタフィクションであること。なかでも「スーパー戦隊シリーズはテレビで放送されるフィクション」といったことに言及してしまう部分。これは「過去の戦隊は歴史の中に実在したヒーローである」の視点で展開したゴーカイジャーなどとは真っ向から反するものであり。……まあそんな話を良い子に見られると困るという訳ですね。

とあります。確かに良い子はスーパー戦隊を実在のものとして信じて見て欲しい!それなのに公式でこんなことやるのは東映としてもリスクがあるはずで、実際、アキバレンジャーフィギュア発売時には、普通に本屋に置いてある特撮雑誌・フィギュア誌の表紙になってたので、いつ通りすがりのチビッ子達が「お父さんアレなーに?」って興味を抱かないか個人的に心配してました。

「大人が全力で馬鹿をやる」と一言でいえば陳腐になってしまいますが、こんなふざけた内容でも地上波番組なわけだし、番組の企画やおもちゃの販売を実現させるために、たくさんの大人たちがお金時間かけてるんだなーとか想像すると泣けます。大人が全力で馬鹿やろうとするとなかなか難しいですよね……。

そんなわけで、1話で「東映が本気でパロディやるとこうなるんだな」っていうことに感動し、2話で「え、公認戦隊のキャラも出るの?」とビビり、5話のイエロー母上京回で泣いて「あれ?これもうパロディとか関係なく普通に好きだわ」とハマっていきました。

そして後半に入った7話で、これまで「アキバレンジャーは妄想世界脳内)で戦ってるだけ」という設定が崩れ、敵幹部マルシーナが現実に進出してきたあたりから話は一気にシリアスに。博士親子の因縁など、急に話の縦軸がしっかりしてきます。

9話でいよいよ現実と妄想の壁が壊れ、秋葉原の住民が「ステマ乙」の怪人襲われて阿鼻叫喚という地獄絵図に!(ただし被害は「熱々の餅チーズ明太もんじゃを全身に貼り付けられる」という、熱いのは熱いけど死なない程度のやつ)

それなのに現実世界だからアキバレンジャーは変身できない!ヒロインが襲われるけど妄想じゃないから全く歯が立たずにピンチ!やっぱり妄想と現実の戦いは違う……という展開からのレッド覚醒!&主題歌BGM!

「俺は、妄想と現実の壁を壊すほどの痛い男!現実だろうがどこだろうが、変身して戦ってやるんだ!」

という、ダサかっこいいセリフからのリアル変身!という熱いシーンが最高すぎました。こういう「メタを突き詰めてベタになる」みたいな展開は大好き!

さらにそこから、「敵組織の内紛→普通にかっこいい新幹部登場」「アキバレンジャーが変身するごとに博士の身体を蝕むのであと数回変身すると博士が死ぬ設定追加」「痛いレッドがペンタゴンにスカウトされて、爽やかな新レッド登場」など、10〜11話はもうなんか普通に面白い話になってしまいます。特に11話なんか、わざわざオープニングナレーションをシンケンジャーの宮田浩徳さんに変えたり、オープニング曲も2番にしたり、戦闘時の名乗りも敵怪人デザインをこれまでのふざけたやつから正統派になってたりしました。「日曜の朝やれよ」としか言いようのない完全な戦隊物。

え、1クールしかないのにここから第2部!?そしてまさか、このシリアスなのが本編!?

しかし!

11話の途中でレッドが「もしかしてこの世界は『アキバレンジャー』という番組で、俺達はその登場人物なのでは?」「新キャラ登場はただのテコ入れなのでは?」と気づいてしまう超展開。さらには、それを信じない他のメンバーのために、画面下部に流れる「番組から素敵なプレゼントがあるぞ!詳しくはアキバレンジャー番組ホームページで!」というテロップを手づかみして見せつけ信じさせるという超荒業。めちゃくちゃすぎる!

ギャグだった前半から一気に終盤でまともになって、そのままかっこ良く終わったらそれはそれで伝説になったはずなんですよ。こっちは勝手に「この現実と妄想の壁が破れた後の世界のシリアスさを描くためにこれまでふざけてたのかー!前フリ長すぎてシビれる!」「この良い意味での裏切られ方、まどか☆マギカを見た時以来!」とか思ってたのに!驚きを返せ!

そんなこんなで、総集編を除くと最終話となる第12話では「番組外現実の黒幕原作者・八手三郎だ!」「八手三郎はこの番組を打ち切りにしようとしている!登場人物がその存在に気づいたら話を思い通りに進められないからな!」ということで、「番組を終わらせようとする力」とか「最終回フラグ」という概念的なものに抗い、最後には「オワリ」という文字のCGと戦って終わるという、悪ふざけそのもので終わってしまいましたとさ。

でも「メタからベタへ」っていう展開そのものが割といろんなとこで使われすぎてベタにはなっている気もするので、そこからさらに一捻り加えて「メタ→ベタ→メタ」で落として「最後までくだらねーw」って思わせてくれたのはこの番組らしかった気がします。いつもふざけてる人がかっこつけたあとにテレ隠しでまたふざける、みたいな。

こんなことやったら色んな意味で2期は難しそうな気はするんですけど、超面白かったのでぜひとも続編に期待したいです!

非公認戦隊アキバレンジャー 1 [DVD]

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余談ですが、「メタからベタに行って、そこでやめときゃいいのに最後にオチをつける」といえば、自分が見た中で一番感動したプロレス興行である「マッスルハウス4」と同じ構成だな、と思いました。

2012/05/25

[]生き様なんて5番目だ! 卯月妙子『人間仮免中』

卯月妙子さんの『人間仮免中』を読みました。

「人間仮免中」では、波乱に満ちた人生を送る卯月の近況が見られる。統合失調症の悪化など、複雑な事情を抱え長らく筆を置いていた卯月。物語は25歳年上の男性と恋に落ちたことからまり、様々な苦難を乗り越えながら2人が愛を育んでいく様子を描いている。

コミックナタリー - 「実録企画モノ」の卯月妙子、10年ぶり近況描いた新作

卯月妙子さんのことは「AVうんこ食ったりしてた人」程度の認識でよく知らなかったんですが、

このあたり読んで皆さんの熱量が異常なのが気になって読んでみたんですけど、とにかく疲れました。「こういう人生もあるのか」系のコミックエッセイだと吾妻ひでお先生の「失踪日記」とかあると思うんですけど、あれ読んだ時の何十倍もぐったり。

旦那借金が原因でAVに出たり、その後旦那が投身自殺を図って1年半植物人間になったあと亡くなったりっていう壮絶な過去を持ってる作者と、それでも好きになってくれた25歳年上の恋人ボビー。統合失調症の卯月さんと癇癪持ちだけどいい男ボビーの、「見ててハラハラさせるけどなんだかんだ言ってラブラブな2人の日常」が描かれてて、「いろいろあったけど生きてて良かったね」と思って読んでたら、ボビーが保証人になってた会社が潰れて6000万円失うことに。

そこで「これからはいかに安く旨く飲むか考えようぜ!」「デートは公園で健康的に!」みたいな話をし始めたので、「金はないけど逆にこっちのほうが幸せな日常」みたいな話になるのかと思ったら、ヨガ占いにハマって根拠のない万能感を得だした卯月さんが自分勝手に薬を減らして、いきなり「これからおいらはミラクルを起こすんだ!」「バンジーで運試しだ!」って感じで歩道橋からダイブ奇跡的に身体は無傷だったけど、顔面から着地したので頭蓋骨ごとズレて片目が片目は失明したうえに変な位置にズレる大怪我。

このあたりまではまだ(内容は重いけど)テンポ良く読めたんですが、そのケガでの入院生活のあたりはきつかったです。統合失調症の幻聴とか幻覚を、よくこんな覚えてるなっていうぐらい書いてるくだりがしばらく続くのがとにかくいろんな意味で辛くて……。

具体的に言うと、「笑われてる幻聴」とかはまだ軽いほうで、看護婦さんたちが「顔面投的」(身体をベッドに拘束して顔面に鉄球をぶつけて頭蓋骨を砕く安楽死のやり方)の話をしてて(もちろん幻覚)、それに卯月さんは怯えてるんだけど、コマの外に「注・顔面投的なんてものはこの世に存在しません」とか書いてたりするんですよ。あと自分の遺体をスカトロマニアのおじいさんの遺体と一緒にすり潰されて、それをボビーが食べる幻覚とか。こんなもん、ちょっとずつ休憩入れないとしか読めない!

それでも最終的には「親・息子・恋人・友人・病院の人たち、周りの人に支えられて生きてる!」っていう結論になって、ベタといえばこれ以上ベタな話はないんですけど、それまでの過程が壮絶な分、本の帯にもある「生きてるだけで最高だ!」の説得力がとんでもないなと思いました。

個人的には、卯月さんが薬の副作用でうんこ漏らしたとこでボビーが言った

お漏らしなんて気にすんな!

いいか?

1に、この世にあること!

2に、この世に快くあること!

生き様なんて5番目だ!!

というセリフがとても印象的でした。

自分の周囲にいる能力の高い人に嫉妬したり、ネットとかでよく見る意識の高い人達を見て「おれ才能もないし、別に出世欲とかねえなあ……」ってヘコんだりすることも多かったんですけど、とりあえず生きるぞー!