さよならテリー・ザ・キッド

2012/01/27

[]40歳独身オタクキモ楽しい日常系4コマ『おたくら』、まさかの書籍化!!

古参テキストサイト『一流ホームページ』でおなじみ、ゴトウさんが「ケータイ週アス」で描いてた4コマが書籍化されました。


この特設サイトから20個ほど試し読みできます。

さてこの本、帯であの桜玉吉先生(50歳)から

「行動」して「消費」する 俺の知ってるオタクだぁー!!

というコメントをもらっているようです。

そう、今はもう普通の人がちょっと漫画やアニメ好きなぐらいでオタクって気軽に自分で言えちゃう時代ですけども、ゴトウさんはまだオタクをカミングアウトするのはありえない時代から生き残ってるオタクです。僕なんかは「非オタからはオタクと思われ、マジオタからはヌルく思われる」ぐらいの中途半端存在なんですけど、そういう半端オタがこの漫画読むと「本物は違う」って思わされることが多いです。

週アスの記事とかに一応「オタクの日常系あるある4コマ」って書いてあるけど、ほぼ「ないない」ですよ。「オタクはだいたい限定版を買うので通常版持ってると逆に珍しがられる」とかはまだ理解できるけど、「万が一ということもあるので、声優と同じ名前のスパムは一応開いておく」とかが「あるある」なわけないだろ!

あと自分たちのやっている『オフ喜利』という大喜利イベントにゴトウさんも出てもらってるんですが、「大会への意気込みを語る」的なインタビュー映像を撮るときにも「一応こういうの用意してきたよ」ってちゃんとアニメTシャツ着てくるし、「大喜利への意気込みを語るんだけど、途中からアニメの感想にすりかわってる感じでいいのかな?」とか提案してくるし、しかもそのアニメ話が全然理解できないぐらいに濃くて早口なんですよ。会場で映像を流すと笑いも起きるけど女性客からはちょっと悲鳴も聞こえるっていう、「マジで気持ち悪い」と「可愛げがあるので笑える」のギリギリ中間ぐらいのキャラクターなんです。

真性のオタクって自分が見えなくなってるイメージなのに、なんでそんなにキモさを客観的に見れたうえで「普通の人から見たらこういうのが面白いはず」っていうサービス精神が感じられるのかが不思議でなりません。そのバランス感覚の良さが漫画にも表れていると思います。

しかもゴトウさんは落語好きなせいか、漫画でも4コマ(or8コマ)でちゃんと起承転結をつけてるので、よくある絵が可愛いだけのヌルいオチなし日常4コマの何百倍もおもしろいです。内容が『おたくら』ぐらいちゃんとしてて絵が美少女だったらめちゃくちゃ売れると思うんですが、『おたくら』は40歳キモオタが主人公っていうのが重要なのでそこら辺が難しい所ですね……。

まあ色々書きましたけど、上記の特設サイトから試し読みするのが一番魅力(とキモさ)が伝わりやすいと思うので、お時間ある方はぜひ見てみてください。

2011/09/01

[]奇跡のタイミングで世に出た漫画・アフタヌーン四季大賞『ZNTV東京支局』(ネタバレあり)

今月の『アフタヌーン』の付録として『四季賞ポータブル2011夏』という小冊子が付いてます

http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/13871

四季賞っていうのは、その名の通り季節ごとにやってるアフタヌーンの新人賞で、wikipediaによると「作品のジャンル、ページ数とも無制限という自由さが特徴で、月刊青年誌の賞としては応募数も多く(1回につき150〜200本ほどの応募がある)、レベルの高い新人賞として定評を得ている」だそうです。

で、今回の『2011夏』の大賞を取った『ZNTV東京支局』がとにかくすごかったです。

ツイッターの自分のTLにおいて数人が褒めてたので、ちょっと気になって「四季賞」で検索したら絶賛の声しかなかったから読んでみたんですが、「新人のわりにレベル高い」とかじゃなく、個人的には今年読んだ全漫画の中で一番衝撃を受けました。「マジでどこかさっさと映画化に動いたほうがいいんじゃないか?」と思うぐらい。

読み切りだから単行本にもならないと思うんで、ちょっと今からでもどうにかアフタヌーンを入手して、色んな人に読んでほしいです。詳しくは下にも書きますけど、今読まないといけないやつです、これは。

簡単に序盤のネタバレありであらすじを書いてみます。(でも本当はできればこれ読まずに先に漫画読んで欲しい!)

西暦2037年。18年前に落下した隕石のせいで東京は壊滅状態。再建は諦められ、高い壁で覆われた死の都となり、首都は大阪に移転している……という世界観でのお話

テレビ局・ZNTVの九州支部で働く記者・芹沢は、飲みの席で偉い人に蹴りを入れてしまい、「東京支社」に左遷されることに。「え、東京に支社なんかあるの?そもそもまだ人が住んでるの?」と疑問を持つ芹沢。

東京都を囲む「壁」を超える前に「中でなにがあっても知らないよ」という誓約書を書かされ、中に入るといきなり銃撃戦に巻き込まれる。

迎えに来た東京支社の人間の話だと、東京には住み慣れた街を離れづらい人の他にも、外の世界で居場所をなくした人や、無法地帯となった街で非合法な取引を行うアウトローも住み着いているとか。銃撃戦も日常茶飯事とのことで、ZNTVからも身を守るための装備が支給される。

「こんなに毎日事件が起きてるなら報道しがいがあるぞ」と張り切る芹沢だが、「あれ?外にいた時には、東京でこんなことが起きてるって聞いたことない」と気付く。

局の人間に話を聞くと、日本において東京のことは最大のトラウマであり、「なかったこと」にしたいために報道では抹殺されているらしい。

「じゃあこのテレビ局は何のために存在して、なんでわざわざ危険を犯してまでを取材しているのか」と上司に尋ねると、「意味は必ずあるはず」と。

そんな中、街で子供の遺体が発見される。東京にはアウトローの他に、隕石落下のあとに生まれた孤児もたくさん住んでおり、自力で廃材を外に売ったりして生活しているらしい。

見つかった遺体はレイプされた形跡があり、しかもその犯人は、一度は孤児たちの手によって捕まえられたもののワイロで保釈されたうえで再犯に及んだことが判明。

そこで怒りを覚えた孤児たちは犯人を拉致し、ZNTVに乗り込み、電波ジャックを敢行する。「この街で起きていることを全国に伝えろ。さもなくば……」

長くなりましたがこんな感じです。

そして、前半の「マスコミが伝えなくて、他の人にはなかったことになっているけど、どうにもならない胸糞悪い世界がある」という絶望からの、後半はTVジャックという事件を通じて「俺たちマスコミはこういう機会を待ってたぜ」と言わんばかりの局の人達対応がすごい。マスコミは本来こうあって欲しい!という理想の姿が描かれてるんですよ。

そしてこの漫画が、原発関連や韓流関連でマスコミの隠蔽体質が叩かれてる時期に発表されてるっていうのが奇跡だと思うんですよね。この賞の締切が4月なので、震災前から描いてるはずなんですよ。全179ページっていう単行本1冊分なみのボリュームがありますし。

で、179ページあるのに、構成力と「このテーマを伝えたい!」っていう力がとにかくハンパないので一気に読めちゃうんですよね。

そして読んだ後に気づいたんですが、作者のプロフィールには「報道の現場で働いていた」とあったので色々と納得しました。

「マスコミが言ってないこともあるけど、放送には世界を変える力があるから本当のことを伝えたい!」というテーマの力と、「このテーマを読者に伝えたい!」という作者の新人らしからぬ漫画力、そして今のタイミングっていう奇跡が合わさって、とんでもない漫画になってますよ。

あと今回の四季賞で谷口ジロー特別賞を取ったショートショート『FOUR SEASONS』の、「童貞にしか投げられない、48種類に変化する魔球セックス」を会得した非モテ男子が主人公の甲子園ギャグ『魔球セックス』も良かったです。

『ZNTV東京支局』と『魔球セックス』が同時に載ってる小冊子は『四季賞ポータブル2011夏』だけ!読もう!アフタヌーン!

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感想を書いてるとこをいくつか貼っておきます。

2011/08/31

[][]ももいろクローバーとアイドル戦国時代

という記事の「これまでアイドル興味なかった人が人生狂った感」が良かったので自分もももクロのことを書きます

ちなみに「最近売れかけてるももクロっていうのが気になってるけど何から見ればいいか分からない」という人は、上のやつ以外だと、

という記事もおすすめ

そんなわけで初心者向けまとめはもう既に書かれているので、僕は「プロレス・格闘技ファンの自分がももクロに興味を持ったきっかけ」という話をします。あくまで「プロレスファンはこういう入り口もあるよ」っていう程度で、「プロレスファンじゃないとももクロは楽しめないよ」って意味ではないですからね。


上で紹介したまとめ記事で画像動画を見てもらった人は、彼女たちに対して「可愛い」とか「キャラが立ってる」とか、「ダンスが奇妙なうえに運動量が過剰」などの印象を抱いたと思いますし、そこももちろん魅力だとは思うんですが、僕が彼女たちに興味を持ち始めたのは『真夜中のハーリー&レイス』というラジオ日本ラジオ番組で「アイドル戦国時代」について聞いたことがきっかけでした。

ハーリーレイス』はプロレス&格闘技実況をやっている清野アナパーソナリティで、プロレスラーやサブカル文化人ゲストに、主にプロレスの話をする超楽しい番組です。(ちなみに今週ゲストが「東京都北区赤羽」清野とおる先生、来週が「アメトーク」などでおなじみの加地倫三プロデューサー(テレビ朝日))

で、その『ハーリー&レイス』で、ちょうど1年前、昨年8月31日の回ゲストが吉田豪さんだったんですよ。そこで「プロレス的なものの見方」という話題から「最近のアイドルシーンは戦国時代で大変なことになってる」っていうのと、「その中でももいろクローバーっていうグループがやばい」っていうのを大変分かりやすく話してくれてて、僕はそれを聞いて「これは面白そう」って思って色々調べるようになったので、その吉田さんのトークを一部書き起こしてみたいと思います。

清野「最近だと『プロレスと一番ダブる』っていうのはなんですかね?」

吉田「ちょうど昨日、SKEvsももいろクローバーvsスマイレージっていう戦い(アイドルユニットサマーフェスティバル2010)を見て。ガチでしたねー。

ずっとSKE推してた人間はガッツリ凹んでて、『高田vsヒクソン以来のショックですよ……こんなショックな事はない』みたいな。僕ら客観的に見てる側は大喜びしてて『いやー今日のガチ楽しかった』って」

吉田「SKEっていうのは完全に戦闘集団してアピールされてるわけですよ、BUBKAとかで。全てを敵と認識して、敵に勝つために鍛えられてきたヤツらとしてやってたんですけど、それがももクロに完敗したんですよ。

ももクロってのは、『怪盗少女』の動画を見てほしいんですけど、女子プロとか見てる人も完全にハマると思いますよ。身体能力というか、過剰な動きだけでもすごいんですけど、それが(SKEを)食いに来たりとか、スマイレージっていうハロプロの王道が、完全な王道の強さを見せつけたんですよ。東京ドームに初めて全日本が来た時と同じぐらいの、三沢と小川が絡んだ時の三沢の凄さみたいな。『すげー、全然ガチでもやれるこの人たち!』みたいなものを見せつけたんですよ。ポテンシャルが圧倒的に違うっていう。

SKEってのはAKBの戦闘集団バージョンなんですけど、それに圧勝できるだけのポテンシャルを持ってるんですよ」

吉田「『俺たちが応援してたのは高田延彦だったのかもしれない』ってSKE側が言い出して。ずっと『Uインター最強』って言ってたけどそれが崩れたみたいな」

まずここら辺までがラジオ本編での内容だったんですけど。僕はアイドル界の現状には詳しくなかったんですが、

  • 複数のアイドルが出るイベントがあって、その中でどうやら「ももクロ」っていう運動能力が凄い子達が目立ってたらしいこと。
  • 大手であるハロプロのスマイレージも、王道パフォーマンスを見せつけたらしいこと。
  • “戦闘集団”として売っていたSKEは、ファンが凹むぐらいに差をつけられたらしいこと。

が分かりました。今は複数のアイドルが見比べられて、それぞれのファンもそれを戦いに見立ててるんだな、アイドル界っていまこんなことになってるのか!ってことが分かって、すげー面白かったです。

続いてポッドキャストではそこら辺をさらに掘り下げてました。

吉田「今回のももクロvsSKEvsスマイレージの話をまだしますけどね、何が面白いかっていうと、ももいろクローバーとスマイレージって、マネージャーがプロレスオタなんですよ。だからプロレス心があって、こういうような4つのグループが出るところは戦いだって概念があるわけですよ。交流戦じゃなくて対抗戦だっていう概念で望んでるわけですよ。潰し合いだ、的な」

清野「なるほど、光を消せみたいな」

吉田「ところがSKEはそれを分かってなかったんですよね。交流の場で、シングル曲をアピールしようみたいな、それだけで来ちゃってて、AKBのカバーとかしてアピールしようとか……違うんですよ。潰し合いで来てるほうが勝っちゃうんですよ」

清野「ああー」

吉田「面白いことになってる。かつてハロプロが実力測定の場に出る事ってなかったわけですよ。『うちは別格なんで鎖国して、メジャーなんで交流しませんよ』でやってきたのが、当然向こうもそうは言ってられない状態になってきて、AKBがこんだけデカくなってきて絡まざるを得ない状況になり始めた今が一番面白いんですよ。対抗戦黎明期みたいな。

昨日のももクロはFMWに乗り込んだブル中野的っていうか、『私たちのライブ見たいんだったらこっち来いや』的な爪痕がガッツリ残ったんですよ」

清野「すごい歴史的な日だったんですね、昨日は」

吉田「良かったですよ。だから最近交流戦が始まってるんですよね。交流戦にメジャーが混ざり始めてるのが今の段階なんですよ。24時間テレビで、AKBとモーニング娘。が絡んだこともあったんですけど、それ見ても『プロレスだ』と思ったんですよ。モーニング娘。はやっぱりデカいんですよね。身長的にもデカくて、キャリアがあるから安定感もあって、正直モーニング娘。なんか今まったく興味ないんですけど、ああやって並ぶと全女的なものがあるんですよ。JWPなんですよAKBが。ちっちゃくて可愛いし良く出来てんだけど、アイドルとしての可能性は絶対そっちのが高いんだけど、でもやっぱ全女すげえな!みたいになっちゃうんですよね」

吉田「戦いが始まったんですよ、ついに。アイドル戦国時代って言って、そこでマイクで上手いこと言えるグループも限られてるんですよね。昨日の会見でもそこで挑戦的なことを言えたのがやっぱりももクロとスマイレージだけで。スマイレージも初めてハロプロが作った対抗戦要員だったんですよ。外に打って出れるグループを初めて作って、他はAKB無視してたのにAKBの名前をことさらに口に出して『AKBに負けたくない』とか。過剰にそういうのを意識して作ったグループなんですよ」

清野「めちゃくちゃ戦略的に練られた集団なんですね」

マネージャーがプロレスオタだから、こういうフェス的な場所を戦いと捉えてるっていうのはめちゃくちゃ刺激的です。

少し前の、ももいろクローバーと神聖かまってちゃんのツーマンライブ「ももクロとかまってちゃん」でも、ももクロは「いきなり激しい曲ばかり7曲連続、休憩なしで踊る」っていう、凄いことに初挑戦してるんですよね。自分らのライブでもせいぜい続けて歌うのは3曲前後なのに。その上で「私たちのことを知ってる人は手を挙げて!」「今、手を挙げなかった人も、次は絶対挙げさせてあげるよ!」と宣戦布告っていう。完全にかまってちゃんのファンを持って帰る気マンマン。これが「潰し合いモード」ってことなんでしょうね。

さらに、マネージャーがプロレスオタ過ぎると、「対抗戦に強い」以外にもこんな特徴があるという話も。

吉田「ももいろクローバーっていうのは完全なプヲタなんですよ、マネージャーが。だからシリーズタイトルを『新春ジャイアントシリーズ』とか、『サマーファイトシリーズ』とか付けて、新日本と全日本のロゴマークのパロディでマーク作ったりとか、メジャーデビューをこないだした時の記者会見っていうのを、わざわざホテル借りて、全員ジャージで来て、辻アナ呼んでコールさせて、公開の体重測定やって、みたいな。どうかしてるんですよ。どこに向けて電波出してんだ?ってことやってんですよ」

清野「やり過ぎな感じもしますけど……」

吉田「やり過ぎです。誰が拾うんだって話じゃないですか。拾えるのは僕らぐらいですよ。一部の、プロレスを通ったアイドルオタしか拾えないから」

あとプロレスネタだけじゃなくって、まあレアなやつだとは思うんですけど、ライブでの寸劇でキン肉マンネタもやらされてたらしいです。

まあこの辺は分かる人だけ分かればいいと思うし、「プロレスが分からないからももクロが100パー楽しめなくて悲しい」って人が出てこないことを祈るばかり。非プロレスファンもあんまり深く考えず、単純に楽しんで欲しいです。

とはいえ、矛盾するようなこと言いますけど、「知識ゼロのままで見ても単純にすごさが伝わるけど、余計な知識が知れば知るほどハマる」というのも実にプロレス的なので、ももクロきっかけでプロレスファン増えないかなー、っていうのもちょっと思ってます。