アウトドアスポーツクラブについて思う

不圖渠は、總有生徒の目が、諄々と何やら話を續けてゐる校長を見てゐるのでなく、渠自身に注がれてゐるのに氣が附いた。例の事ながら、何となき滿足が渠の情を唆かした。そして、幽かに脣を歪めて微笑んだ。其處にも此處にも、幽かに微笑んだ生徒の顏が見えた。
 校長の話の濟んで了ふまでも、渠は其處から動かなかつた。
 それから生徒は、痩せた體の何處から出るかと許り高い渠の號令で、各々その新しい教室に導かれた。
 四人の職員が再び職員室に顏を合せたのは、もう十一時に間のない頃であつた。學年の初めは諸帳簿の綴變へやら、前年度の調べ物の殘りやらで、雜務が仲々多い。四人はこれといふ話もなく、十二時が打つまでも孜々とそれを行つてゐた。
『安藤先生。』と孝子は呼んだ。
『ハ。』
『今日の新入生は合計で四十八名でございます。

エフェ研究所の説明・紹介

いや、いた。氏は博士親子がもたれている太い樹のうしろに、腰をぬかさんばかりにがたがたとふるえていた。紙のように白い顔、丸い頭といわず額といわずくびといわずふきだしている大粒の汗は、水をかぶったようであった。
 玉太郎は、気が遠くなりかけて、はっとわれにもどった。
 いったいこれはどうしたのか。
「うわーッ」
 玉太郎は、その場の光景に気絶しそうになり、自分でもどうしてそんな声が出たかと思うほどのすごい金切り声を発した。
 でも、誰だって、これを見れば、金切り声を出さずにはいられないだろう。だって、沼の中からぬっと恐竜が長い首をつきだして、もう一息でツルガ博士やネリをぱくりとのんでしまう姿勢をとっているのだった。
 そこへ玉太郎が金切声を発したものであるから、恐竜の耳にもとどいたと見え、恐竜はくるっと首を横にまげて、玉太郎をきっとにらんだ。玉太郎は、氷の雨を全身にあびたように、がたがたふるえ出した。
 が、ここで気絶しては、自分が背負っている重大な義務がはたせないと思いなおして、けんめいにこらえた。
「今だ。早くにげなさい。ツルガ博士。ネリーさーん」
 玉太郎は、全力をあげて、やっとそれだけのことをいった。
 と、恐竜はとつぜんどぼんと、沼の中に姿を消してしまった。
 沼の表面には、はげしい波紋が起って、岸のところへ波がざぶりとうちあげた。
 竪琴が急調をふくんで鳴りひびいた。ツルガ博士の手が、竪琴の糸の上を嵐のようにはしっているのだ。
 ネリが、父親の博士にだきつくようにして、その耳に何かささやいている。
 そのとき玉太郎は、とつぜん大きな身体にだきつかれた。

住宅ローン 金利動向 2013

A・cappellersの説明・紹介

「うん、水兵ナイフは、あったが、これをお前がにぎって、どうするつもりかね」
 竹見は、ハルクにいわれたとおり、ズボンのポケットから水兵ナイフを出して、刃を起してやったものの、このとぎすまされた水兵ナイフを、重態のハルクににぎらせていいものかどうかについて、竹見は迷った。
「はやく、は、はやく、こっちへ呉れ。な、なにをぐずぐずしている……」
「はやく渡せといっても、お前、これをにぎってどうするつもりか」
 ハルクは、くるしさのあまり、このナイフでわれとわが咽喉をかききって、自殺するのではなかろうか、そう思った竹見は、友にナイフを手わたすことを、ためらった。
「ええい、こっちへよこせ!」
 とつぜんハルクは、半身をおこすと、竹見の手から、ナイフをうばった。が、ナイフをうばったというだけのことだ。そのまま、また土間にかおを伏せて、うんうんと、高くうなりだした。
「ほら、そんな無理をするから、余計にくるしくなるじゃないか。おい、ハルク、おれが、これから出かけて、医者をさがして、呼んできてやる」
「い、医者なんか、だめだ。お、おれは、自分で、やるんだ」
 と、いったかと思うと、ハルクは、とつぜん、むくむくと起きあがった。
「おい、どうするんだ」
 ハルクは、無言で、いきなり、べりべりと音をさせて、右脚の入っているズボンを、ひきさいた。
「竹、おれのバンドをといて、右脚のつけ根を、お、思い切り、ぎゅっと縛ってくれ。早く、早くたのむ」
 ハルクは、歯をくいしばりつつ、自分の右の太ももを指した。
「あ、そうか、もっと上を、しばるんだな」
 竹は、ようやく合点がいって、ハルクがいったとおり、バンドをといて、太ももを、力のかぎり、ぎゅっとしめた。蛇毒は、ハルクのふくらはぎのむすび目をこえて、上へのぼってきたらしい。

ペギー・スーの結婚の噂

そうだなあ、博士は、火星にいたことがあるというから、きっと持っているとおもうが、はっきりしたことはしらない」
「先生、こんなことは、ないでしょうか。火星へついて、博士だけが下へおりて、いってしまう。あとに、先生とぼくとは、いきがくるしくなって、死んでしまう……」
「そんなことがあっては、たまらないね」
 と、先生は、ちょっと顔をくもらせたが、
「あ、そうだ。わたしたちの前にもう一人、火星へいっている男がいるのだよ。あの男はどうしたかしらん」
「へえ、ぼくたちの前に、火星へいっている人があるのですか。だれです、その人は……」
 と、千二少年は、おどろいた。
「それはね、佐々刑事だよ。警視庁にいた元気のいい刑事さんだ」
 と、新田先生は、説明した。
「ああ、あの人ですか。山梨県の山中で、火星の宇宙艇をうばって、逃げた人でしょう」
「そうだ、あの人だ。一時は、佐々刑事の無電がはいったものだが、このごろしばらく佐々刑事から、たよりをきかない。今どうしているのだろうか。おお、そうだ。この受信機で、佐々刑事の電波をさがしてみよう」
「それがいいですね」
 と、千二も、さんせいした。
 そこで、新田先生は、受話機を頭にかけ、受信機をはたらかせてみた。そうして、この前うけた時におぼえた波長のところへ、目盛盤をまわしてみた。
「どうですか。はいりますか」
「いや、きこえないね。このへんで、たしかにきこえたはずだが、今日は、ぴいっという、うなりの音も出ない」
 新田先生は、さらに、増幅器を加えたりしたが、空間は、寝しずまったようにしずかであった。

朝血圧