おばちゃん、ざ・せんちめんたる。
- 作者: ヒグチユウコ
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2014/12/01
- メディア: 大型本
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- 作者: カレルチャペック,Karel Capek,伴田良輔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/10/01
- メディア: 文庫
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こういうらぶりぃなモノも読んでたのに備忘載せるの忘れるあたりが。
特にねこの泣き顔が、もうたまらなく切なくて切なくて。
しかし我が家のねこたちはそういう感傷モードの飼い主を「なに?このおばちゃんキモチ悪っ」て顔で2匹して迷惑そうに避けていくんだなこれが。
いろいろ変わるけど相変わらず。
1ヶ月更新もせず空けて8月も下旬。
フロアも席も変わらないけど一応今月から異動ということでシゴトの中身というか比重がなかなかの変化。ひとえに周りのフォローのおかげでどうにかこうにか。
早いところ戦力外から脱出せねばという焦りの一方、周りの応援とか期待がどうあれ、そのとき自分にやれることだけ粛々やるしかできない性格なもので、傍で大変な盛況のリオ・オリンピックに触発されることも一切なく結局マイペースで暮らす。我ながら揺るぎないわ情けないくらい。
オリンピックやポケモンGOで盛り上がって周りと分かちあえる方がよほど人生としてはシアワセに違いないし、そこに水差すつもりは毛頭ない。
自分が盛り上がれるとすればせいぜい「真田丸」がいいとこだけど、またそれをリアルに誰かと語り合いたいという気も特になく、それで全然問題ないしなんの不満もないんだが。
つらいとすれば自分が興味もないことで場をつなぐためだけに話題にしなければいけなかったりするシチュエーション。つくづく社会人としての最低限のスキルがいまだ身につかない。
ここ1か月のおもだった読了。
- 作者: 町田康
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/05/12
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- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1951/02/10
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- 作者: 泉鏡花
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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- 作者: 山白朝子
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- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/08
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いつもの「どこを切っても町田康」。義経の一人称ナラティブでのっけからハルク・ホーガンが出てきてしまうあたり。
「婦系図」は9月の新橋演舞場の予習。前はどちらかというと苦手にしていた泉鏡花だけど、少しずつ面白さに目覚めてきた(今頃)。
「私のサイクロプス」がむしろ、依然自分にとってはあまり得意でないジャンル、というのを読んで再確認した感じ。そんなにおどろおどろしくもないし、登場人物の性格がちゃんと際立っててそこは面白いんだけど。
「裏表〜」については別に10月からの国立劇場での通し狂言予習ということではないんだけど。そもそもまだ行くか(行けるか)確定したワケでもないし。
グレゴール・ザムザに起こったことが吉良上野介にも起こったように、大石内蔵助にも起こったという解釈が腑落ちすぎる。
そうなる前を、ワタシは知らない。
梅雨明け宣言がなかなか出ないので、ていうからでもないのだけど。
- 作者: 永井荷風
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1987/03/16
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松崎は法学博士の学位を持ち、もと木挽町辺にあった某省の高等官であったが、一時世間の耳目を聳動させた疑獄事件に連座して刑罰を受けた。しかしそれがため出獄の後は一生遊んで暮らせるだけの私財をつくり、子孫も既に成長し立身の途についているものもある。疑獄事件で収監される時まで幾年間、麹町の屋敷から抱車で通勤したその当時、毎日目にした銀座通と、震災後も日に日に変わっていく今日の光景を比較すると、唯夢のようだというより外はない。夢のようだというのは、今日の羅馬人が羅馬の古都を思うような深刻な心持をいうのではない。西洋文明を模倣した都市の光景もここに至れば驚異の極、何となく一種の悲哀を催さしめる。この悲哀は街くのさまよりもむしろここに生活する女給の境遇について、さらにいっそう痛切に感じられる。君江のような、生まれながらにして女子の羞恥と貞操の観念とを欠いている女は、女給の中には彼一人のみでなく、まだ沢山あるにちがいない。君江は同じ売笑婦でも従来の芸娼妓とは全く性質を異にしたもので、西洋の都会に蔓延しているなる。私娼と同型のものである。ああいう女が東京に現れて来たのも、これを要するに時代の空気からだと思えは時勢の変遷ほど驚くべきものはない。翻って自分の身を省みれば、あの当時、法廷に引出されて涜職の罪を宣告せられながら胸中には別に深く愧る心も怒らなかった。これもまた時代の空気のなす所であったのかも知れない。月日はそれから二十年あまり過ぎている。一時はあれほど喧しく世の噂に上ったこの親父が、今日泰然として銀座該街頭のカッフェーに飲んでいても、誰一人これを知って怪しみ咎めるものもない。歳月は功罪ともにこれを忘却の中に葬り去ってしまう。これこそ誠に夢のようだと言わなければなるまい。松崎は世間に対すると共にまた自分の生涯に対しても同じように半ば慷慨し半ば冷嘲したいような鎮痛な心持になる。そして人間の世は過去も将来もなく唯その日その日の苦楽が存するばかりで、毀誉も褒貶も共に深く意図するにはおよばないような気がしてくる。果たして然りとすれば、自分の生涯などは人間の最幸福なるものと思わなければならない。年は六十になってなお病なく、二十の女給を捉えて世を憚らず往々青年の如く戯れて更に愧る心さえない。この一事だけでもその幸福は遥に王侯に優る所があるだろうと、松崎博士は覚えず声を出して笑おうとした。
戦争を経て昭和が終わって、次の平成もひょっとしたら終わろうとしているかもしれないけど、世の中ある意味そういうとこは当時からずっとそんな感じかもと思ったりして。
7月折り返し。
読了本の備忘録ばかりとなりつつあるけど、ここのところ書き留めるより忘れる勢いが激しくて、他の話題を上げる暇が足らない。
- 作者: 坪内祐三
- 出版社/メーカー: 扶桑社
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坪内さんの文章はすごく淡々とし過ぎていて、実際にはそこで起こることの是非についての理屈としてまた感情としての判断と行動があったはずなんだけど、言葉としてそれは一切書かずただあったこととして書いてある、そこが逆に印象的。
- 作者: 南日本新聞社,南日本新聞=
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1999/05/01
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高野野十郎にしてもそうなんだけど、他のことすべて擲ってしまわなくてはあそこまでの作品は結実しないものなのだろう。観ている自分が拒絶されるかみたいな気分にさえなるけど、それでもやっぱり目をそらすこともできないくらい魅入られてしまう。
奄美の記念美術館、いつかは行きたいリストのトップにずっとあるけどまだ実現できていない。
以下は近況。
8月の歌舞伎座、またしても3階席取れずで2等席。1回の後ろの方。ここ最近のチケットのあまりの俊寛丈春ぶりに、いよいよ松竹歌舞伎会もしくは猿之助さまファンクラブの入会を検討するべきか。歌舞伎会は実質クレカでこれ以上カードも増やしたくないし、確かに猿之助さんを中心に観たいし観てるけど、猿之助さん出てなくても9月は新派公演も非常に気になってるし。
…観劇道楽はそろそろ、なんて言ってて結局煩悩は尽きず。
遊ぶことばかり書き連ねているけど、シゴトも先月今月とえらく中身の配分が変わったところへ来月からはさらにまた別の枠の業務配分が当てられることになる。
シゴト振る方も受ける方も不向せめてきであることは承知の、そういう事情。せめて最小限にとどめるよう努めたい。自分の能力不足でカイシャにかけるダメージも自分の生活が蒙る主に体力的・時間的なダメージも。という消極的ながら精一杯の、来月以降への心構え。
ヒトビトの黄昏。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/06/15
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でもそうやって啄木花袋で散々好き放題やっといて、自分や自分の家族の話の時は一切そういうのなしで例によって無機的なほどに妙に澄まして、かと思えば胃カメラの写真を何枚も何枚もカラーで晒すとか、そういうとこ含めて”タカハシゲンイチロウ”という表現なんだろう、きっと。
前半のそういう調子に比べて後半の、漱石「こころ」の”K”とはなにものか、という考察とのギャップもまた激しい1冊だけど、通じて日本文学への愛は愛なんだ、きっと。
- 作者: 獅子文六
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/04/10
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43歳で人生の黄昏に立たされる庶民的なイメージが売りのテレビタレントが主人公。いまだったら50代前後くらいの感覚かな。仕事も落ち目、これまで尽くしてきた年下の内縁の夫も新人女優に持ってかれ、でいいとこなしなまんまで小説はラストシーンを迎えちゃうのだけど、その時点では読んでる方はすっかり主人公に肩入れして、小説に書かれていないこの先で主人公がきっと人生挽回しててほしいと願わずにはいられないようできてる。
挽回、とつい書いてみたところではたと人生の勝ち負けって何だろうなんて改めて考える。いや、悪い人でなくても結局は自分の理屈に都合よいようにしか相手を見ていない男2人を振り切った時点で、すでに彼女は勝っているんだけどね。
さがしものはなんですか自分篇。
針子ちゃん、残念ながら現時点で確認できるのは1匹のみ。とても残念。うっかり蚊避けスプレーなど鉢の近くで使った自分の過ちのような気がして痛恨。
さてネコたち。
まちこさんは最近せっせとロビー活動に余念がなく、しっぽ立ててお尻の穴丸見えにしてすりすり。
この活動で得られるものって、せいぜい1日1本のチュールぐらいで、しかも貰うときは何にもしないはるももれなくお相伴。
今朝はレジ袋いたずらしてるうちに絡まってパニック起こして暴れてそこいらじゅうなぎ倒した挙句に「ひどいひどいおばちゃんひどい」と押入れに引きこもりを決める。
ワタシ?悪いのワタシ?
と釈然としないまま片付けして時間になったので出かけたんだけど、まぁいたずらされるような場所に置いてた自分がやっぱりいかんのね。
夜帰ってきたら、いつもの定位置(本棚の上に置いた体重計の上)。ようやく機嫌は直したらしい。
でも後ではるに場所取られてう〜ってなってたけど。
- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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特に「東京」をテーマにしたモノとなるとあぁごめんなさいワタシ地方出身者なんで…と後ずさりしてきた。川本三郎氏の文章も同様、ってこの文庫の解説やっぱり川本氏か。
いま読んでみると、もうそんなに変な引っかかりも感じなくなってた。むしろ自分の中になんか変なコダワリがあったんだろう。
小林氏が書いているのは地方出身に蹂躙される東京云々とかいうことでなくって、実際とは違うイメージで商業化されていく「下町情緒」なるものへの違和感なのかも。
かなり広範囲な時期に書かれた散文集。
「永井荷風は東京が破壊される時に必ず読まれる」(『ある荷風論』)、「荷風は不自由な時代を生きたが、<庶民的>だったことなど一度もなかった。死ぬまで<精神貴族>であった。」(「荷風の身長』)に膝を打つ。
いやワタシも荷風の何を分かっているワケじゃないんだけど、特に後の一文の方。自分はそういうモノに憧れてというか、そういうのを探して本を読み続けてたんじゃないだろうかと。貧乏イコールミゼラブル以外の答えがほしくていまだ本の世界の片隅でウロウロしてて、しかも最先端の作品よりは昭和へさらに古典へと向いてしまうのは、そういうことだったのかと、極私的な事由に自分でようやく納得。
- 作者: 中勘助
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しかもその生々しさを露醜的にでなく、淡々とした筆致で描かれてるのがすごい。
これが描かれた大正の時代より表現はずいぶんと自由というか好き勝手にいろんなヒトがいろんなコトを書き散らしているのだけど、でもこんな風に焦点をきちんと絞ってクリアに書ける書き手はむしろ現代にはそうそうお目にかかれなくなっているのかもしれない。
さっきから別に、現代文学をdisってやろうとして書いてるワケじゃないんですが。
この話はまたいずれ、取り急ぎ備忘。