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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2016-10-01

フレッド・ピアスの『外来種は本当に悪者か?』

Date: Sat, 1 Oct 2016 04:24:14 +0900

ピアスの本は、結構論議を呼んでいるみたいですね。ごめんなさい、まだ読んでいません。「外来種排斥運動」を批判する人、(池田清彦さん)それに反発する人が反応しているようですね。しかし、自然保護に取り組んでいる人の中にも、この岸由二さんのように、堂々とこの本を「ほめる」【解説】もあります(わが横浜市の水源林である山梨県道志村の養老の森の主役である養老孟司さんも、どちらかといえばほめていると思います)。どちらも、まず、そのことを理解すべきかもしれません。

 この匿名サイトはわかりやすい書評だと思います。外来種対策は人間のためであり、「自然のため」ではない。外来種がすべて悪という設定自体藁人形である。

 そして、岸さんの解説のように、自然保護運動自体が進化し続けている(逆に言えば、ピアスの本が的外れだったとは言えない)。そしておそらくは(岸さんや養老さんが感心しているところからみると)、ピアスの著書の中にも、評者が感心するような実例や論述が含まれているのでしょう。

 当然ながら自然保護運動にも教条的な側面はあります。しかし、それを批判するだけならば、それと「同じ穴の狢」ということになるでしょう。

 ただし、養老さんの書評ではそんなことまで読み取れない【】。もっとわかりやすい書評が必要ですね。(読んでいないので、ごめんなさい)

2016-09-27

日本の環境影響評価が「死んだ日」

Date: Tue, 13 Sep 2016 08:21:06 +0900

道北の風力発電7事業環境影響評価(EIA)準備書に対する、北海道知事意見が出た。事業者にとって極めて厳しい意見がついている。しかし、以前、審議会の「品格」に苦言を呈したようなことはない。今回は「事業をやめさせるために無理難題を付ける」とあからさまに言うようなことはなく、EIA制度の趣旨を踏まえた意見だと思う(そのほうが、実は、事業者にとっては手厳しい)。やはり、公開の審議会の場での議論を踏まえれば、変えていただけるものだ。(引き続きのお願い、膨大な準備書を「宿題」で読み込む時間にも委員報酬検討していただきたい。これは事業者が代わって支払うわけにはいかない)

 さて、環境大臣意見はどうだろうか。こちらは自治体意見と異なり、密室で、おそらく一握りの匿名担当者が意見を決める。津軽十三湖のときのように「マガンが1000羽当たる」などと大臣に言わせても、だれも責任を取ることはないだろう。環境自身が日本のEIA制度の趣旨を踏まえた発言ができるかが、今回の鍵である。

 環境省も多様である。野鳥を守れという自然環境局から、地球温暖化の1.5度目標を掲げる地球環境局まである。EIAは総合政策局が担当する。EIAは多様なStakeholderの合意形成を図る場である。それが密室の省内でできているのか、そもそも各担当者自分の任務だけでなく、俯瞰的環境政策を理解しているかが問われている。

Date: Tue, 27 Sep 2016 20:54:25 +0900

道北の風力発電7事業に対する環境大臣意見が出た。

 日本の環境影響評価とパリ協定が死んだ日となるかもしれません。少なくとも前者は確度が高い。

  • 道知事意見のほうがはるかにEIA制度の趣旨理解している。読み比べてみるとよい。
  • せっかく事後に影響があったときに事業者が対処するよう道知事が求めていたのに、設置自身を阻むような環境省意見になってしまった。順応的管理のよき前例となる機会がつまれてしまった。
  • 回避、低減、代償措置を実行可能範囲でとるという環境省告示を自ら否定してしまっている。
  • 道知事意見と異なり、公開の審議会のような場所で書かれた意見ではない。
  • マガンやハクチョウは世界的にもほとんど衝突事例がない。本当に危険があるとわかってから保全措置をとっても遅くはないはずだ。逆に、接近すれば止めると命じられたら、動かし続けても鳥のほうが回避するということは証明できないだろう。
  • オジロワシも移動経路の風車まで取りやめが指示されている。移動経路にある風車については回避することは環境省も認識していたはずである。

 環境省が問答無用事業を止めることができるという前例を歓迎する人もいるかもしれない。【いずれにしても】、知事意見をどう出すかを苦労している自治体の審議会は、今までとやり方ががらりと変わることは確かだろう。

2016-09-26

ワシントン条約の象牙問題

Date: Mon, 26 Sep 2016 16:32:53 +0900

日本では連日、CITES象牙問題が大きく報道されています。

  1. この数年間で密猟、主に中国での密売が増えた。、ケニアで個体数が急減し、新たにケニアで8000牙を摘発【焼却】した
  2. 報道では密輸先が中国とは限定されていない。密猟が附属書II【輸出許可証が必要】で持続的利用を目指すジンバブエなどではなく附属書Iで輸出禁止しているケニアで行われているという説明もあまりない。
  3. そのうえで、中国が市場閉鎖を言っているのに日本だけが継続を主張して孤立しているという主張である。また、日本で自然環境研究センター密売教唆したという記事東京新聞記事2016.1.12)もあるが、これは事実でないと聞いている。

私の意見

  • アフリカゾウの保護には二つの方法がある。市場を合法化して適正管理する方法と、禁猟にして資源価値自体をなくすことだ。どちらが有効かは一概に言えないが、前者のジンバブエと日本で特に現在問題はない。前者は合法的な市場取引できるならわざわざ危険を冒して密売しないと期待する「太陽」政策であり、後者は力でねじ伏せる「北風」政策だ。後者のケニアで密猟密輸密売が横行して機能せず、中国に流れている。後者の規制を強化するために市場閉鎖が提案されているが、前者でうまくいっている取り組みまでも否定するものである。
  • 生物多様性条約では、自然資源価値(生態系サービス)が自然保護の論拠であり、持続可能な利用を推奨している。乱獲や密輸は取り締まるべきだが、そのために持続可能な利用の取り組みまでも否定すべきものではない。
  • 持続的利用でなく、禁猟して保護することで、保護団体などから多額の寄付を得ることもできる。それも一つの方法である。しかし、この方法で守られる自然は限られている。また、逆にゾウも増えすぎると獣害問題を引き起こし、別の予算が必要になる。
  • しかし、ケニアなどからの密輸品を売買している中国が市場閉鎖をするのは、密猟と乱獲を阻むうえで有効かもしれない。その決断を尊重すべきである。だからと言って合法的に取引きしている日本が閉鎖する必要はない。それは、中国が閉鎖した後、数年で密猟密輸がどうなるかを見ればわかるだろう。中国で依然として密売が続いて市場閉鎖の効果がないか、中国だけの市場閉鎖で密猟と個体数減少に歯止めがかかるかであれば、日本の主張は認められるだろう。
  • WWFジャパン取引調査部門であるTraffic East Asia Japanによると、日本の象牙取引縮小しつつある。たしかに個人海外密輸品を購入して持ち込んでネット取引をするようなケースも摘発されているが、これは違法性の周知不足が原因で、密売業者仕業ではないだろう。日本国内から海外密売されているものもCITES違反だが、これはもともと密猟品ではなく、合法的に持ち込まれた象牙を違法に高値で輸出していると思われる。

 いずれにしても、極めて厳しい世論である。今の世の中、持続的利用を推奨する取り組みが国際合意になるとは限らない。

2016-09-24

オジロワシの生物学的潜在間引き数(PBR)と風力発電環境影響評価

松田裕之・谷圭一郎(横浜国大)・島田泰夫(日本気象協会)

近年、累積影響が環境影響評価(EIA)でよく議論されるようになったが、希少猛禽類オジロワシの衝突死が北海道全体でどこまで許容されるかは1事業者の裁量を超えており、本来国が指針を作るべきである。個体群の存続可能性への影響が重要とすれば、PBR(生物学的潜在間引き数)という指標がその目安となる。マガンについては実際の衝突事例がほとんどなく、PBRよりけた違いに少ないことは明らかだが、オジロワシについてはそうではない。留鳥と越冬群の扱い方、直接の知見のない自然増加率の値にもよるが、すでにPBRを超えた人為死亡があるとも言える。他方、越冬群だけでなく、留鳥も依然として増え続けている。本研究では、シナリオ別のオジロワシのPBRの試算を示し、順応的管理を含む今後の風発EIAへの適用方法議論する。(→個体群生態学会第32回大会講演要旨・参考資料

2016-09-07

hymatsuda2016-09-07

ドイツのハイキングにいくと風車に対する景観の価値観が変わる

2013年9月8日Facebookより)

フランクフルト近郊のヘッセン公園に行く。狩猟用の櫓が各地にある。北海道が真似したい光景だ風車も多く、風車が見えない場所がないほどだ(1,2,3)。福島事故以後、特に増えたという。日本では環境影響評価時間がかかり、まだこれから。違いを実感した。

【日本の環境影響評価で騒音の意見で】35dB【が求められるとは】ほかの事業との差がありすぎる。日本人はよほど風発が嫌いなんですね。