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横浜国大 松田裕之 公開書簡

2016-11-22

Science Forum South Africaに参加します

Date: Tue, 22 Nov 2016 11:18:43 +0900

来月8日、JSTからの依頼で、プレトリアでの標記会合で知床の話を紹介させていただくことにしました。

 SDGsの中でも貧困などと並んで環境では海を重視しているということで、科学者が海洋保全にいかにかかわるかの例として話すつもりです。

【なお、ユネスコ人間生物圏(MAB)計画では、SDGsに沿う活動をすることを戦略的に位置づけています。】

2016-11-08

オジロワシの風力発電への衝突リスクの累積影響の許容限度

Date: Tue, 8 Nov 2016 15:56:33 +0900

【「風力発電の鳥衝突と希少猛禽類の絶滅リスク」と題する】企画集会を日本生態学会大会早稲田大学)にて申請中です。

また、11月3-4日の個体群生態学会(札幌定山渓)において、以下の発表を行いました*1。オジロワシの衝突リスクの累積的影響並びに許容限度について、多くの生態学者と議論することができました。

 留鳥と渡り鳥を区別しないということでしたら、自然増加率を9%とするとき、北海道全体でオジロワシの衝突死が年間25羽程度の発見まで許容されると私は思います(留鳥に限れば10羽程度)。発表の場で議論して実感したことは、今も個体数が増え続けていて、それがモニタリングできているということが説得力を増していたということです。自然増加率は不確実ですが(海外では19%という論文もあります)、減っていなければ、この算定根拠で大きな間違いはないと思っていただけたと思います。

 そのうちに、当たりやすい風車や気象条件、季節などが分かってくれば、さらに衝突を減らすことができると思います。今は、移動経路も餌場も回避率を同じように仮定していますが、餌場に比べて、道北のような移動経路上の風車は回避率が高いと考えられます。

 個体群学会では、サケの遡上時期の河川は餌場であるという議論もありました。その季節に稼働制限するなどすれば対処できるという議論になりました。

 風況のよいところならば、稼働制限しても、むしろ悪いところに比べて発電量は増えると思います。

*1:ここにPBRの案を置きました。想定される予防側と非予防側(事業者側)の意見も「想定問答」のように載せていますが、ご意見ありましたらお願いします。反映させていただきます。

2016-11-01

象牙取引の摘発はおとり捜査ではないか

Date: Tue, 11 Oct 2016 13:34:31 +0900

東京新聞2016.1.12付報道だけでは、【象牙保持者を装うEIAという団体調査員が電話で】正直に違法品であると相談して、昭和以前といえば登録できると【自然環境研究センター職員が】指南したと読めると思います。これは由々しきことです。【2016.10.17の産経新聞も同様です。】

 文書【の図3】を読む限り、EIAなる動物愛護団体自然研に対して「覆面捜査員は父親が所持していた象牙を昭和時代から見ていたが、それを証明するものがないという想定で登録相談を持ち掛けている。それに対して、昭和のものなら合法だと答えているだけだ。」と思います。違法なものを昭和といえば大丈夫と指南はしていない

 【取材内容は上記文書の通りだとすれば、】このような覆面捜査は、囮捜査だと思います。「違法取引指南」(東京新聞見出し)とか「促進」(本文)という言い方は、覆面捜査員が嘘をついている時に成立します。つまり、ただの覆面捜査でなく囮捜査だと思います。

今後、東京新聞【】の取材拒否します

Date: Tue, 01 Nov 2016 23:18:57 +0900

 自然研と環境省の見解、ありがとうございます。

 私は今後、東京新聞と産経新聞の取材拒否します。あんな【】捜査の結果をそのままうのみにするような報道機関取材には、どんな罠が仕掛けられているか、わかったものではありません。

 なぜそう考えないのかがわかりません。

【2016.11.2追記=産経新聞の10.17の記事(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161017-00000082-san-soci =加藤園子記者の署名記事、現在ネット上からは削除)では、EIA操作を無批判に引用していたと思いますが、9.26の上記の記事は批判的でした(たいへん失礼しました)。産経新聞については続報を待ちたいと思います。】

環境団体EIAが自然研に象牙違法取引を持ち掛けたときの電話の会話の英訳です。これはEIA自身のサイトのようですね。(元の電話相談は日本語と聞いています)

日本語の前半

日本語の後半

どうやら、一度目の電話だけでは「違法取引指南」と言えないと思って、二度目の電話をかけていたようですね。

2016-10-30

本来の風力の環境影響評価とは

Date: Sun, 30 Oct 2016 23:23:39 +0900

風力発電のEIAですが、再生可能エネルギー推進との兼ね合いから、以下のことが必要だと思います。

1)風力発電の増設目標、それを達成するためにどこにどれだけ建てたらよいかの基本的な考え方。

2)風発の環境影響について、騒音、鳥衝突リスク、景観などの定量的な許容限度(これらの影響はゼロにはできません)

3)1と2が相反する場合の、トレードオフを解決するための調整原則

たとえば、

1)日本風力発電協会は陸上風発を2030年度までに26GW、50年度までに38GWという目標を掲げています。私見では、パリ協定を達成するにはこれが最低水準と思います。2015年度までに認可された風発は10GWだそうです。全体として、現在の3倍近く30年度までに必要ということです。

2)騒音は住宅地のそばに建てると影響は避けられません。鳥衝突リスクは、地域個体群の存続が保証されることが必要と思います。

3)これらが矛盾する場合には、風発以外の気候変動対策の一層の推進、風発による鳥衝突リスクを代償する保全策などが検討すべきでしょう。

しかし、実際の風発のEIAでは

1)環境省は風発の設置目標を持たずにパリ協定を唱えている

2)鳥衝突リスクも個体群の存続などの許容水準がなく、風車の設置取りやめなどを担当者主観的に意見を述べている。それを環境省地球環境局も認めている。

3)1と2のどちらの目標もなく、そのトレードオフの解決という発想そのものがない

では、どのようにして環境大臣意見が述べられているかといえば、事前に事業者と折衝し、事業者が容認した内容ということのようです。当然、事業者が本当に認めるはずはありません。要するに、事業者が我慢しそうなギリギリの線を、環境省が得た感触から判断しているということです。

 事業者は事業採算性により判断します。地球環境と希少鳥類の保全の両立という総合的な視点ではない。それを考えるのが本来の環境省の役割のはずです。

 日本の環境影響評価は腐っています。

2016-10-07

ワシントン条約と象牙−市場閉鎖と資源管理、どちらが有効

2016.10.7 10:00

象牙市場について書きました(WEBRONZA)。ゾウは禁猟政策のケニアでは減り、附属書IIに格下げしたジンバブエなどで増えている。どちらが有効かを考えるべきだ。格下げ後2回だけ輸出されているが、本来もっと緩和を目指していたところ、国際世論はそれどころではなくなりつつある。

 いくつか論点が【想定され】ます。

  1. 「象牙を今後も有用自然資源とみなすかどうか。」たとえば鯨肉は、多くの欧米人資源とみなさないし、ほかの人が食べることも反倫理的と考える。この発想を【ゾウに対しても】とれば、私の意見は論外でしょう。しかし、対象種が絶滅しないなら、自分の選択を他人強制すべきではないと私は思います。多くの欧米人が菜食主義になっています。彼らにとって、家畜も含めて動物は資源供給サービス)ではなくなりつつあると思います。それは彼らの「選択の自由」ですが、強制される筋合いはないと私は思います。
  2. 「一方で象を利用している中で他方で市場閉鎖して保護できるか。」CITESには【たとえば】類似種規定があり、一方で保護すべき資源区別できないものは他方でも取引禁止すべきという論理があります。高価なものであれば、Traceabilityの確保やDNA鑑定も含めて手段があるはずで、現に違法取引の摘発が可能です。しかし、議論を経てジンバブエなどのアフリカゾウを附属書I(禁輸)からII(許可証が必要)に格下げし、南アのアフリカゾウも格下げに追加したはずです。【IIに格下げ後2回だけ合法的に輸出したが、常時輸出できるようにしたほうが、密輸しづらくなるという意見もあったはずです。】それがうまく機能していないという主張ならば、再びIIからIにすればよい。実際にその提案検討されたと思います。しかし、可決要件(2/3)をとれそうもなく、やめたのでしょう(要確認)。そうであれば、本来のCITESマターではない国内市場閉鎖という法的拘束力のない決議を行う正統性も、私には疑問です。中国が市場閉鎖するのは中国の内政問題で、わざわざ決議を上げなくてもよかったこと。(日本も含めて違法取引をCITESが監視し、評価するというのは良いと思います。)
  3. 「違法取引がある以上、閉鎖すべき」。これは資源有用性を否定している方の発想だと思います。それならば、(悪質な)交通違反があるなら自動車廃止すべきという意見と、論理的には同じことでしょう。規則を守れば社会的有益であるとみなしているはずです【】。違反を厳しく取り締まるほど秩序が保たれるかといえば、これも疑問です。【イエロー】カードを多用するサッカー審判のほうが良い試合を保てるとは限りません。結局は、規則とその趣旨理解してもらうことが重要です。